【七つの魔剣が支配する 2】 宇野 朴人/ミユキ ルリア 電撃文庫

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学園内の事件を解決し、一目置かれる存在となったナナオとオリバー。しかしそれは、魔法使いとしての研鑽に励む同級生たちの、矜持と野心に火を点けた。誰が一年生でいちばん強いのか?その問いに結論を出すために、お互いのメダルを奪い合う、バトルロイヤルの開催が告げられる。ナナオやオリバーを倒すべく、次々と名乗りを上げる強者たち、そしてこの機に乗じる存在が動き出し―。一方、その盛り上がりをよそに、ある大きな変化がピートを襲う。彼の体に隠された秘密が明かされ、それは大きな可能性を少年にもたらすのだが―。運命の魔剣を巡る、至高の魔法×剣術バトルファンタジー第2巻!

ヤバイこれヤバイこれ、おもしろいー、本当に面白いぞ!
凄まじく語彙が貧困になってしまったのですが、まずはゴチャゴチャと言葉をひねるよりもシンプルに言ってしまいたかったんです。
うー、なんかすごい密度で読んだ気になっているのですが本の厚さ結構なものだったんだろうか。電書で買ってるとそのへんがわからないんですよね。
さて、先だっての第一巻の感想では楽しい楽しい阿鼻叫喚の地獄絵図と称した学園生活ですが、ほんと殺意高いわー。常時命がけ、というのは比喩ではないのでしょう。油断すると即座に死んでしまいそうだし、油断してなくても不可抗力で死にそうだし、一年時は比較的安全を取り計らってもらっているのだけれど、これ学年が進むとどんどん自己責任になっていくんですよね。というか、学校側で生徒を守ろうという積極的な意志をまったく感じないんですよ。どんな危険地帯に学校が存在していても、学校側に生徒を守ろうという意志と体制があるならある程度の秩序だった安全な道筋というものが出来るものなんだけれど、ここまで生徒を突き放している学校というのはそうそう見たことがない。まあ、学校の上層部が主人公にとっての敵サイド、というのも大きいのだろうけれど。
問題はやはり、彼らが主人公にとっては敵であっても、皆にとっての敵ではないというところなのか。ミシェーラとは登場人物たちにとっては密かに、しかし状況的にはもろに敵対フラグ立ってるもんなあ、これ。ナナオとに関してはなおさらに。
そうなんだよなあ、面白いことにオリバーのカリスマ性とナナオのカリスマ性って並び立っていなくて、それぞれ独自に深く接して言葉を交わした相手を魅了しているのである。なんていうんだろう、オリバーとナナオの二人が一緒にその人を落とすのではなく、あくまで別々に、なんですよね。同じ相手であっても、オリバーとナナオ、二人の言葉が響いているのはその人の中の別の部分のような気がするのです。二人共、その言動は魂そのものを揺さぶるような、その人のそれまでの価値観そのものを覆すような、行き詰まった閉塞を切り開くよう……な鮮烈であり、重厚そのものの衝撃なんですけど、その届いている場所が異なっているような感覚がするんですよねえ。
それは相容れぬものではなく、並び立つことが可能な異なる別位であるのでしょうけれど、だからといって混じり入って一つになるようなものでは決してないような。
なんだろうね、これ。将来、オリバーとナナオが死命を賭すことになったとき、それはただ二人の間のことだけに収まらないのだという示唆なんだろうかこれは。
そうなんですよねえ、この物語ってオリバーとナナオのものであるのだろうけれど、彼ら二人に限定してしまうにはあまりにも他のキャラクターにもスポットがあたり、掘り下げが積極的に進められているんですよね。入学の際に意気投合してグループと相成ったミシェーラやピート、ガイにカティという六人組だけでも凄まじい密度でガンガン掘り下げ、お互いの関係をぐいぐいと縮めて絡めて昇華させていっているのみならず、周りの同じ一年の同学年の面々や上級生たちも取りこぼすことなく一人ひとり丁寧に取り上げて、彩り鮮やかにキャラクターを立たせていってるんですよ。
コーンフォリスとフェイのコンビなんか、あれズルいくらいじゃないですか。あれだけ覚悟決めきって頑張る幼馴染二人とか、感情移入しちゃいますよ。
カティのバイタリティはますます図太さと現実性を増してますし、ピートとシェラもなんかすげえ要素ぶっこんできましたし。一年生同士の本気の勝負は実に見応えありました……ってところで終わっていれば、まだ普通の魔法学園ものっぽかったんでしょうね。
最後の最後に、このキンバリーという学園の闇を、生徒たちが自ら選び自ら踏み入る闇の濃さ、深さ、おぞましさを「さあ、めしあがれ」とばかりに差し出してきましたよこのやろう。
あとがきの煽りがまた効くんですよね、これ。好きに生きて好きに死ね。その意味と味わいを、次巻にて堪能させられそう、ワクワク。

1巻感想