【ゴブリンスレイヤー 7】  蝸牛くも/神奈月 昇 GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「結婚することになったみたい」故郷からの報せを受け、そう呟いた妖精弓手。かくして一党は、森人の里に行くこととなった。またその旅には牛飼娘と受付嬢の姿も―。一方、ゴブリン退治のおりに発見された石版をゴブリンスレイヤーから託され、剣の乙女は鑑定を行う。「古い…とても古い文字ですわね」川を上り、森人の里を目指す一党だが、現るは小鬼の影…。さらに森人の里には、密林の奥に潜むと言われている、古きものが現れるという事件が起きていた―。蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第7弾!

密林の奥に古代獣の影を見た! 激流を下る探検隊に立ちふさがる謎の原住民の襲撃! 誰も踏み入ったことのない河の源流に古代遺跡を発見!
と、エルフの里への帰郷行のはずが、完全にノリが某バラエティの探検隊番組か古い冒険映画な感じでした。
エルフの森って、欧州の深い森というイメージでアマゾンやアフリカの密林ってイメージではなかったはずなのですが、モケーレ・ムベンベの登場で思いっきりそっちに首抱えられて持っていかれたような勢いで。
考えてみると、筏で急流を下っていると両岸からゴブリンたちが襲ってきたり、犠牲者たちの串刺しトーテムポールとか完全に人食い原住民の襲撃を受ける、というノリですし、今回牛飼娘と受付嬢の非戦闘員も一緒に同行していたところなんぞ、秘境探検映画では特に戦えるわけではないヒロインの若い女性が一緒についてきていたり、というのはあるあるネタですし、そんな若い女性が探検行の途中で水浴び!というのはもうお約束もいいところですし。
今回はもうゴブスレ探検隊!で良かったんじゃないですかね!?
さすがに、肝心のエルフの里はちゃんと一般的なエルフの里してましたけれど。良かった。
エルフの中でも変わり者であろう妖精弓手と違って、普通のエルフはやっぱりプライド高くて異種族嫌いで、という評判はあるようでしたけれど、こうして訪ねてみると何だかんだといい人ばかりで、最初は居丈高だった妖精弓手の義兄となるエルフも、すぐに良い人っぷりを晒してくれて、というか弓手とその姉に二千年に渡って振り回され続けた苦労人、という風情が滲み出てしまっていましたね。妖精弓手の奔放っぷりに苦言を呈す鉱人のおっさんと意気投合してしまってたのが、なんとも微苦笑を誘われました。
この妹をしてあの姉あり、というわけで自由な妹に対して落ち着いたお姉さんという登場でしたけれど、中身はあんまり実は大差もないようで、義兄さんもこうなるとよくプロポーズ出来ました、と誉めたくなるところであります。しかし、金床な妹に対してお姉さんの方はご立派なものをお持ちで。
あれ、妹の方は本当にまだ成長過程なんだろうか。エルフ的にはまだ本当に少女みたいだし。
ただ、少女であっても自由奔放さは失われていなくても、外界で様々な経験を経た妖精弓手は大人、とは言わずとも、悠久を生きるという意味を噛み締めて飲み下すだけのものを得てるのでありましょう。
いずれ味わうことになるその意味の苦さ、辛さを想像して、しかし飲み込むだけの決意を。定命の者たちと、最後まで付き合って寄り添って見届ける決意を。彼女はちゃんと考えた上で受け入れている。それは今の楽しさに引きずられているだけで、実際に経験した時に崩れ落ちてしまう可能性はあっても、一つの大人への階段の上がり方であり、成長と言えるはず。
森の中に居るだけでは、得られなかったもの。ただ自由なだけではない、自由に伴う責任を自覚したもの。お姉さんが心配しながらも目を細めるというのもわかるというものです。

さて、結婚式への出席というイベントにも関わらず、やっぱりやることはゴブリン退治。同じゴブリンとはいえ、密林の奥地に潜む謎の原住民的ゴブリンのボスと言ったら、やっぱりシャーマンだったりするのは当然のこと。ここまで人里離れていると、ゴブスレさんがやりたかったかなりド派手な巣穴ぶっ壊しイベントも好き放題できるわけで、ゴブスレさんとしても大満足だったのではないでしょうか。
とは言え、相手がロードとかチャンピオンという強敵でなくても、状況次第で或いはサイコロの目次第であっさりと全滅してしまうのがこの世界の冒険というもの。今回も僅か一手で絶体絶命に陥って、これ先の水の都の一戦に匹敵する今まででも有数のピンチだったんじゃないでしょうか。
それを覆したのは、神官少女の思わぬ奇跡の使い方でありましたが、さすがにあれは神様から怒られたかー。本来の奇跡の使い方とは違うを通り越して正反対すぎましたもんね。さすがにゴブスレさんに毒されすぎたというべきか。信仰の力の使い方としては、許されないものでありました。
でも、一回はちゃんと効果を発揮するのを許し、次からは許しませんよと警告を発してくれて、その後は咎めなしとペナルティ無しで許してくれる慈愛神さま、マジで優しいです。
これは信仰心も増しますわー。

シリーズ感想