【暗黒騎士様といっしょ! ~勘違いから始まる迷宮攻略~】  笹木さくま/乾 和音(artumph)  ファミ通文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「暗黒騎士様、迷宮を踏破して帝国を救ってください!」
助けたエルフの少女は駆け出し冒険者アルバにそう頼み込んできた。どんな願いも叶うという迷宮には帝国を滅ぼす秘密が隠されている。帝国の民を助けたいと懇願するエルフの少女・第七皇女ルーファ。勘違いでも「女の子の頼みを断るのは格好悪いよね」と祖父からもらった漆黒の全身鎧と鮮血のごとき赤い魔剣を携えアルバは、少女たちと迷宮攻略に挑む!伝説の暗黒騎士による新たな伝説がいま始まる!?
いや、これ暗黒騎士鎧マジでカッコよくないですか? もはや全身鎧じゃなくて強化外骨格とかそういうレベルですし。ただスタイリッシュすぎるのはともかくとして、顔はガチで怖いんですけど。あの血塗れの武器といい、製作者の爺ちゃんの趣味相当にアレなんじゃないだろうか。ってか、これでよく普通に街に入れたなあ。これは普通に不審者でしょっ引いても職務の範囲だと思うぞ、衛兵の人。
ただ、暗黒騎士の中の人は呑気すぎるんですよね。わりと脳内ではペラペラと目まぐるしいくらい考えているのに、それを表に口に出して言わないものだから完全に無口な人である。この凶悪な顔面兜で何も喋らなかったらそりゃ怖いわ!
挙げ句、途中から喋らなくてもある程度意思疎通が出来る、というか勝手に考えてることをかなり正確に読み取ってくれるガーネットが一緒に行動することになったせいで、とりあえず伝わればいいやな案件はガーネットに読み取ってもらうことにして、横着して本気で喋らなくなっちゃうし。
その上、田舎者を極めているせいか自分の価値観で勝手に決め込んで判断しているせいで、勘違いが加速する上に相手とお互い考えることが違っても喋らないから齟齬の修正が叶わないので、どんどんそれぞれが思い込んだまま突き進んじゃうんですよね。相手のルーファもあんまり相手の話聞かない、というか自分で決めたら相手の話も意見もあんまり聞かないタイプだし。
一応、ガーネットという意思疎通の橋渡し役がいるんだけれど、アルバもルーファも結局人の話聞かないので全く橋渡しになってないんですよね。この子、なんのためにいるんだろう、と思えてくるくらい。ツッコミ役? 誰にも聞いてもらえないツッコミ役というのもなかなか寂しいですよ? アルバの理解者であるはずなのに、ガーネットの方は誰も理解してもらえないという。ヒロインとしても、なんか聞き役察し役で目いっぱいになってしまっていて、それ以外の存在感が微妙に足りないのがなんともはや。
最低限、肝心の迷宮攻略してください、というルーファの願いは届いているんだけれど、それ以外の細やかな部分の意思疎通はほとんど図れていないまま、というのはこれパーティーものとしてはどうなんだろう、と思うところなんですよね。アルバのあの途方もない暢気さ、世間知らずなぽややんなところは、中身の正体が明らかになったとき微妙に納得がいったのですが。人間の男の子ならもう少しちゃんと考えたほうが、と思ってたんだけれど、なんというか妖精さんなら仕方ない、みたいな?
ともあれ、今のところ一緒の方向を向いているにも関わらず、勘違いと齟齬が重なって本当の根本的な部分ではバラバラなままなようにも思えるんですよね。少なくとも、せめてちゃんと意思の疎通はしてほしい。

笹木さくま作品感想