【おっさん、不労所得で帝国を導く 2】  藍藤 唯/タジマ粒子  Novel 0

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リュウ・クレソン就職の危機!? 美人秘書な後輩が(働けと)迫り来る――

かつては帝庁にその人ありと謳われた有能な若手魔導師。
現在は不労所得を原資に、趣味に邁進する怠惰な地方領主。
――その名は、リュウ・クレソン。

教え子達が持ち込んだ無理難題を解決し、再び悠々自適な生活に戻っていたリュウ。
そんな彼の元を、クルーエルの秘書にしてかつての後輩、ヘレーネが訪れる。

聞けば、イルミーナ、ラピス、パテルの3人で立ち上げた航空輸送事業に関わる仕事でクルーエルが忙殺されており、最終的に全てへレーネに任されることになったのだという。
そこで「先輩が3人をほっぽり出して辞めたのが悪いんです!」という暴論をひっさげ、問題解決の依頼に来たというのだが……。

「先輩、働かずに食べるご飯は美味しいですか?」
「逆に、働くと疲れちゃって味覚鈍らない?」

それでも絶対に働かない! 不労所得で自由に生きたい全ての人に捧げる禁労系ファンタジー第二弾!
前回、死ぬほど働かされる人に恨まれて刺されかねないぞと感想書いてたのですが、マジでヘレーネさんがそんな感じだった!
あらすじの文調からしても表紙絵から見るヘレーネのイメージからも、余裕を持ちつつかつての先輩にマウント取りつつ利用して使い倒そうとする敏腕キャリアウーマン、という感じだったのですが、そんな余裕とか微塵もなかった! ガチ泣きじゃないか。ウリウリと迫りながら働けー♪という感じでは全然なく、は・た・ら・けー(ガチ泣き)という風でヘレーネさん必死である。まあ必死にもなりますよね、これ。ガチで過労死案件ですし。クルーエル師、下の彼女がこれだけ仕事抱えてしまっていることに気づかないって、彼自身も相当に一杯一杯だったというのもよくわかる。実際、過労でぶっ倒れてしまうわけですしね。そして、その分もヘレーネさんに降り掛かってくるという、なんという典型的ブラック仕事環境!!
これでヘレーネさんがまだワーカーホリックの類ならマシ、というのも違うのだけれど仕事が好きならともかくとして、彼女って別に仕事好きなんじゃなくて生活のために働いているだけなんですよね。出来たら働きたくないし、なるべく楽したい人間なのです。なまじ仕事が出来てしまい、またそれを放り投げてしまうような無責任さとは程遠い人間だっただけに、余計に彼女のもとに仕事が集まってきてしまうという悪循環。さらに上司にも目をつけられ、もとい目をかけられてよし、この仕事も任せちゃうぞ、と完全に善意で難易度の高い仕事が投げつけられてしまうわけで。
泣く。これは泣く。
クルーエル師、ヘレーネさんに相手側のイルミーナとの関係が良好かどうか確かめてから仕事振ってるので、かなり気を使ってくれているのわかるんですけどねー。それ以外の状況が悪すぎたw
あと、ヘレーネの普段の冷静沈着で極めて優秀な能吏という装いが完璧すぎたんでしょうね。直属の上司であるクルーエル師も、かつての同輩だったリュウも彼女の素についてはまったく知らなかったわけですし。
酔っ払うと本性現すヘレーネさん、なかなか可愛いです。傍から見ている分には!
ただ今回は案件の推移が非常にわかりにくかったのも確かであります。複雑に入り組んだ利害関係を紐づけしていくと、裏で暗躍していた人物が浮き上がってくるのですが問題になっている不動産の土地関係の部分がややこしい割に肝心の部分が抽象的でどこでトラブっているのかけっこうわかりにくかったんですよね。いや、大事なところは恣意的に仕事が滞らせてられた挙げ句に各部署の連絡が行き届かなくなって無茶苦茶な状態になってしまった、というところなんだろうけれど問題をスパッと快刀乱麻に解決して、というのが問題の詳細部分がややこしい分なくなってしまってて、なんか何がどうなったのかわからないうちになんとか山場を超えて解決の方向に向かった、という感じになってるんですよね。
まあ、実際現実はそんなもんなんでしょうし、それどころか現実はそもそも問題解決しないまま最悪を回避できたら重畳、くらいで収まるのが妥当なのかもしれませんが。
それでも、エンタテインメントとしてはもうちょいスパッと問題を詳らかにしてそれをゴッドハンドよろしくキレイに解体して、というのを望んでしまうものでして、一巻ではある程度その体を成していただけにねえ。
今回は主人公のはずのリュウも、状況が掴めずに終始動きが鈍いままで現実的には橋渡し役に徹していたようですし。というか、今回リュウはちゃんと報酬とか貰ってるんだろうか。事実上、ヘレーネの依頼で動いていたようなものなので、相応の対価は貰って然るべきだと思うのだけれど。タダ働きは行けない!
ただこの人、不労所得で趣味に生きているくせに仕事に関してはやりがいとか誇りとか言っちゃう人なだけに……。うん、不労所得で生きてる人にそういうこと言われたら、現場で忙しすぎて死にかけてるヘレーネさんとしては、その殺意は正義!
ラストに爆発して酔っ払ったままえらいさん方を片っ端に言葉でなで斬りにしていくヘレーネさん、最高でした。

1巻感想