【神域のカンピオーネス 4.英雄界ヒューペルボレア】 丈月 城/BUNBUN ダッシュエックス文庫

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女神イザナミの日本侵攻と黄泉醜女と呼ばれる凶悪ゾンビによる未曽有の危機を救った六波羅蓮たち。しかし太陽神アポロンに王女カサンドラを奪われてしまう。神々の遠い故郷ヒューペルボレアに向かったという情報をもとにふたりを追って、六波羅蓮と鳥羽梨於奈は未知なる神域の門を探す。鳥羽茉実花、聖徳太子、そして『謎の貴婦人』に助けられ、ついにやってきた世界。そこはほとんどの陸地が水没した“滅びたあとの世界”であった…!果てなき海を渡り、島から島へと巡る蓮。恐るべき障碍を乗り越えアポロンとカサンドラを探し出すことはできるのか―。新たなる「神殺し」との出会いが神域でのバトルを過熱させる!!

この主人公、あれだな、悪い男だな! 決していい加減な男ではないというのは、その軽薄な言動とは裏腹の姿からわかってはいるんだけれど、もうすでに婚約者がいる身でわりと平然と「こういう気持ちに順番つけるの、僕は嫌だな」とか言っちゃえるのはさすがにちょっとマズいと思うぞ。そこはまず、梨於奈の許可をとってからでないと。
その点、かの別世界の魔王様はエリカにそのへんの管理を任されてたというか舵を握られていたので奥の院に関しては比較的安定していたのですが。
でも蓮の口八丁はペロッと梨於奈くらいは真正面から承諾させてしまいそうですが。
その梨於奈さんといえば、王子様を待つ囚われのお姫様を地で行っているカサンドラと違って、愛しの婚約者さまに身代わりの生贄としてえらい目にあわされていましたが、まあこの娘もこれまで傍若無人にあれこれやらかして来た身ですから、ここいらでちょいとビシッと決して敵わない先達から指導いただけたというのも良い経験になったんじゃないでしょうか。まったく懲りてなさそうなところが、このお嬢様のさすがというところであいますが。
その梨於奈を弟子として鍛えることになったのが……またぞろ、狼公に引き続いて別世界から平然と現れてくれた白蓮王さま。案の定、天上天下唯我独尊なあのお姐さまであります。
バージョンチェンジして出ていたヴォバン公と違って、この人そのまま素で出てきたぞ。素で、というと物凄い大災厄として封印措置されてたあのプロの迷子もしれっと登場していましたけれど、あの調子だとこの作品中は封印されっぱなしなんだろうなあ、あれ。まあ、しれっと自分で封印なんとか解いてフラフラ最前線のど真ん中に迷いでてくる可能性もなきにしもあらずですけれど、そのときは世界滅亡待ったなしの状況なんでしょうねえ。
そんな世界滅亡させる気満々なのが、こちらの世界のアテネとアポロン。アテネに関しては前作カンピオーネでもだいぶページを割いて殆ど準ヒロイン的な立ち位置で活躍もしていたので十分その来歴については語られているのだけれど、アポロンに関しては前作でヴォバンの権能であったことからそれを通じて色々と興味深い内容が語られはしたものの、アポロンの神話をその原型から追う形での詳細な話は未だされていなかっただけに、今回は存分にアポロンについて語り尽くしたという感じである。やっぱり太陽神としての姿はほとんど見られることはなかったんだけれど、ヒューペルボレアをはじめとして彼の神としての歩みの話は興味深かった。内容に関しては作者独自解釈のトンデモ話、という作者自身のお墨付きではあるものの、こういう神の原型をたどる話というのは前作から実に楽しませてもらっている。
しかし、ヴォバンや翠蓮姐さんは魔王内戦の時のあれで飛ばされたというのはわかっているんだけれど、槍の女神さまはどういう経緯あってこっちのブランデッリ一族の守護神なんかやってるんだろう。

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