【転生したらスライムだった件 3】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

オークロードとの激戦を制し、ジュラの森に平穏の日々が戻ってきた。リザードマンのガビル、ソウカ等も仲間に加わり、意図せず勢力を拡大していくリムル。なりゆきでジュラの森大同盟の盟主となったリムルだったが、そんなことは意に介さず町造りに精を出していた。そこへドワーフ王国の王、ガゼル・ドワルゴが訪れ事態は急変する。さらには魔王の中でも別格の強さを誇る“破壊の暴君”ミリム・ナーヴァまで現れる始末。一筋縄ではいかない王と魔王に対して、スライムのリムルはどう立ち回るのか!?

アニメが思いの外見ていて楽しかったのですが、どうやら原作から端折られたところが結構ある模様で、ならば原作の小説の方も読んでみるか、と手をとってみた次第。典型的な販促に引っかかっているパターンだけれど、良い作品に巡り会える手段としてはやはり良いものなのではないでしょうか。
アニメ化の処理が良かっただけで原作は微妙、という展開とはならずちゃんと小説の方も読んでて面白いと思う以上に「楽しい」と思える作品でした、良かった。
リムル無双というよりも、「ジュラの森大同盟」という多種族が寄り集まって集落を、大きな街を、ひいては一大国家として成立していく姿に心くすぐられるものがあっただけに、この三巻はまさにそのスポット。ガゼル・ドワルゴ陛下の来訪がその直接のきっかけとなったわけですが、魔物や亜人だけの閉じたサークルとなるのではなく、ドワーフの大国家であるドワーフ王国や人間の王国とも友好を結んで仲良くやっていく、というあたりは特に野心や志があるわけではないリムルの、しかし無関心や停滞を望むではないふわふわとしながらも前向きで楽観的な姿勢が良い形で出てるんですよね。
リムルって、特にあれしろこれしろとは指示していなくて、集まってきた連中に好きにやらせているんだけれど、その中で魔物同士仲良く人間とも仲良くという漠然とした指針を、しかし曖昧ではなく明確な形で示しているのが、「ジュラの森大同盟」という集まりの国家的指針となっているあたり、結構指導者としての資質はあるんでしょうね、これ。
それがひいては、ミリムという魔王との友誼、「親友」という関係の成り立ちに繋がってもいくわけで。リムルも色々と考えてたり思惑はあるんだけれど、根本的なところであんまり作為がないっぽいので、このミリムとの友達関係も損得だのは表向きで自然に成り立った感があるので、そりゃ「ジュラの森大同盟」にとってはミリムとその盟主であるリムルが親友となり、ミリムが実質ジュラの森の守護者みたいになった、というのは政治的にも大きいんですけれど、そういうの抜きなお互いからのただの好意が気持ち良かったんですよね。
リムルは、ほんとそういう下心があるんだけれどその嫌らしさをあんまり感じさせないあっけらかんとしたキャラクターが主人公としても良いですなあ。
一方で魔王側の方はクレイマンが色々と暗躍しているのだけれど、わりと得ている情報に穴があるというか知らないまま進行している部分があるせいか、時々的はずれな分析をしていることがあってなんか面白いですね、こいつ。ただ、着々と〆るところはしめているだけに、油断ならない相手という認識は揺らがないのですけれど。魔王フレイに関してはてっきりカリュブディス関係でリムルの方に関わってくるかと思ったら、クレイマンの方ではたして殆ど労なく貸しを与えることになってましたし。あの道化連中がどうしてカリュブディスをああいった形で復活させたのか、ちゃんとはっきりした理由があったのか。ただ、これでカリオンがリムルと交流することになったというのは完全に想定がっぽいのが、しかもそれに気づいてないあたりがクレイマン、けっこう隙を見せてるように見える部分なんだなあ。
あと、リムルってわりとミリムには厳しい、てそりゃ魔王として自由にあの力を振るわれたらたまらないという理由はわかるんだけれど、何気にびしばしお仕置きしてるんだけれど、ミリムよりもシオンの方にもちゃんとお仕置きしといた方がいいんじゃないだろうか。独断専行の悪い例としてはむしろシオンの方がだいぶ質悪そうなんだけれど、リムルってシオンには甘いというかあんまり小言言わないのねえ。

ともあれ、原作も面白かったので以降の続刊もまとめて購入。折を見て読み進めていく予定です。