【浅草鬼嫁日記 六 あやかし夫婦は今ひとたび降臨する。】 友麻碧 /あやとき  富士見L文庫

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茨木真紀は、鬼の姫“茨木童子”だった前世を持つ女子高生。同じく元“酒呑童子”の天酒馨や、前世からの仲間たちとともに、浅草で賑やかな今世を送っていた。ところがそんな浅草あやかし界隈に大事件が勃発!あやかしを商売道具にする悪しき人間「狩人」に、次々と捕えられているというのだ。助けに行こうにも敵の正体は不明。頼れる味方も今は囚われの身。そこで真紀たちは、普段は犬猿の仲である陰陽局の津場木茜たちと協力することにして―!?捕われた仲間たちを救うため、浅草の最強チームが推参します!
表紙絵、茨木童子に酒呑童子とその眷属たち勢揃いでの百鬼夜行、という感じで勇ましくも格好良いデザインで非常にお気に入りなんですけど、よく見たら足元にちっちゃい手鞠河童たちがたくさん居るじゃないですかーー! しかも、みんな木の枝持って戦闘態勢ですよ、なにこれ可愛すぎるw
惜しむらくは虎さんと熊ちゃんのコンビがいないところか。これ以上人を増やすとごっちゃになっちゃうから仕方ないんだろうけれど、今回はほんとに身内総動員してのカチコミだっただけに全員集合は見たかったなあ。
全員集合と言えば、今回でとうとう茨木童子の眷属と酒呑童子の幹部が出揃ったことになるんですね。感慨深いと言えば感慨深いのだけれど、まさか大和組長がそうだったとは……。
いやあ、個人的にはこの人、馨たちとは縁もゆかりも無い今世ではじめて縁が出来た人であってほしくもあったんですよね。浅草のまとめ役として術師としての能力を殆ど持たないままで頑張り認められ慕われて、馨も真紀もこの人には本当にお世話になってきたじゃないですか。すっごく気にかけてもらって大事に大事に守ってきてくれたわけですよ。そこに前世からの縁、なんてものは関係なくその優しさも包容力も人徳も器の大きさも、大和さんがこの生まれで培っていたものである、というのは認めるところなんですけれど、それでも何の縁も柵もないところからこの大和さんには馨や真紀ちゃんを庇護してくれていた人、であった方がなんか尊い感じがしてよかったんですよね。彼の前世は今の馨たちとの間に培われた関係には余計な要素ではなかったかな、と。
ただ、馨からすればこれはこれで嬉しい真実ではあったんですよね。自分の身内が生まれ変わってもなお、こうやって縁が結ばれてこうして自分たちを何くれとなく守ってくれていた、ということは。
大和さん本人が何にも知らないまま、というのはそれで良かったんじゃないかと。こればっかりは馨たちの側が知っていれば良いことですもんね。大和さんが馨たちを慈しんでくれるのは、前世関係ないことなのですから。
しかし、もう一つの生まれ変わりの方は難儀な話になってきたなあ。ライは雷獣のライではなく……そっちのライだったのか。しかも、ただの前世の人物からの生まれ変わりなら、清明ほどでしゃばった存在にはならなくても、この生まれで新しい関係というのも紡げたのかもしれませんが、それどころじゃないもんなあ。
しかも、大和さんみたいに本人が知らない真実、なんてもんじゃなくライ本人はどうやらほぼ全容を把握しているようですし。そうなると、彼の真紀へのあの凄まじく未練がましいというか捨てられた子犬みたいな態度もわかってしまうわけで。
まさか、なんの障害もないだろうと思われた真紀ちゃんと馨の鉄板夫婦関係に、本格的なお付き合いの開始という進展なのか後退なのか微妙によくわからない変化が訪れた矢先に、こんな波紋を生じさせる大岩が投げ込まれるとは。
これ、真紀ちゃんの男気が試されるところなんじゃないだろうか。いや、男気というのもなんなんだけれど。馨が一番、と断言しているあたりなんぞ優柔不断の欠片もない気風の良さなんですが、相手はけっこう繊細そうなだけにどう対処すればいいのやら。
しかしこれ、叶先生てば以前意味深に真紀ちゃん、由理、馨にそれぞれ嘘をついている、と指摘して実際真紀と由理には大きな嘘があったのだけれど、馨に関してはこれ馨まったくご存じない話ですよね!? しかもこれ、安易に馨自身には知られてしまうとえらいことになってしまう案件だし。
真紀ちゃん、大丈夫なんだろうか。繊細に対処しないといけないの、相手さんだけじゃなくて馨にも該当するんだけど。真紀ちゃん、気配りも出来るし安易に下手こいてダレかを傷つけてしまうような言動はしない子でその点信頼感はあるんだけれど、それと同じくらい大雑把なところがあるだけに心配も尽きない!

心配といえば、凛音の方も渡欧時代の向こうの吸血鬼一族との関係がややこしいことになっているようで。凛音自身はもう真紀ちゃんのことどうこうしようとは思ってないみたいだし、殆ど眷属時代と変わらない距離感なんだけど……ってか、呼んだらどこからともなく出てくる、呼べば来てくれるってどれだけはべってるんだよ、て話なんだけれど、これだけ元の木阿弥になりながら向こうとの縁が切れてないというのは、それだけ柵みたいなものが出来ているということだし、まだ凛音関係のトラブルはつきまといそう。
ミクズも、スイの決死の活躍で残機減らせたものの、あっち側の猫さんといい食えない相手ばかりだし面倒は尽きないなあ。

シリーズ感想