【転生したらスライムだった件 4】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔物の主スライムのリムルは、魔国連邦の盟主として着々と勢力を強めていた。魔王カリオンの支配する『獣王国ユーラザニア』との国交、さらにはドワーフ王国ともより良好な関係を築き上げ、盤石の態勢を整えつつあった。そんな折、リムルはある夢を見る。それは自ら捕食した“爆炎の支配者”井沢静江からの、教え子だった子供達を救って欲しいという悲痛な叫び、そしてリムルは子供達に会うべく『イングラシ王国』へと旅立つ―爆炎の想いを受け継ぐ者として。

おお、確かにだいぶアニメでは内容が端折られていたのがよくわかる、アニメ第一期終了までが描かれた第4巻。
でも、確かに端折られた場面ってストーリー的にも重要な場面ではあるんだけれど、ここを描かないとストーリーが成り立たないとかキャラにブレが生じてしまう、というわけではないところを見ると、かなり厳選して慎重に取捨選択していたのもわかるんですね。自分みたいに後から原作をこうして読んだ側からすると、アニメ側との齟齬は殆ど感じませんでしたし、うまいこと作ってたんじゃないかなあ。
というわけで、魔国連邦という国家として成立した以上は、周辺各国との密な外交も重要になってくるわけで、ドワーフ王国の兄弟子陛下の指導を受けもって、ユーラザニアやブルムンド王国ともちゃんと交渉を行うことに。いや、ご近所同士の挨拶程度じゃなく、ちゃんと使者立てて国交結んでたんだ。ベニマルは片腕にふさわしい貫禄はあるんだけれど、彼も彼で鬼人マインドは揺るがないんでやっぱりまともにあれこれ出来るのって、リグルドやリグルのゴブリン衆なんだよなあ。ハイオークのゲルドも渋いくらい落ち着いた安定的な性格してるんだけれど、彼は工部方でどちらかというと技術職っぽいし。
そう考えると、魔国ってドワーフの親方衆も含めて技術・研究職に幹部たちのウェイトが置かれていて、政治や商経に関する人材が欠けているのが実際国家運営はじめてみると見えてくるわけで。
そんな中で鬼人衆が重きを成すのもわかるんだけれど、これもどちらかというと他に人がいないからであいつら戦闘脳だしなあw ただ、ドワルゴンも獣王国も腕っぷしがものをいいそうな国だけに、相性はいいのかもしれないが。
そんな中で、大商人であるミョルマニルさんを勧誘できたのはこの巻でも大きな成果なんじゃないだろうか。アニメではドラゴンに襲われていたところをちょいと助けた縁、という体になってましたけれど、こっちだとおなじ場面でも命がけで通りすがりの母子を助けたり、売り物のポーションただで配って兵士たちを支援してたり、と非常に侠気ある格好いいところを見せていたんですよね。これでただのお人好しというのではなく、裏稼業の方に貸金までやってる強面なところもあるだけに、頼もしい人が加わってくれたという感じ。
仲間というわけじゃないですけど、隣国のブルムンド王国もギルド長の盟友である男爵がいい意味でくせ者であり、何気に人畜無害そうな良い人な感じの国王さまもあの人柄で人材をよく動かしている良い王様みたいなので、そういう国々とちゃんと利益を出し合えるWin−Winの関係な友好を結べたというのは国の始まりとしては幸先良いものだったんじゃないでしょうか。
しかし、リムルって身内に甘いだけじゃなくて打ち解けてその人柄を気に入った相手にはとことん甘いんですなあ。カバルたち三馬鹿冒険者たち、あの連中には結構世話になってるしなんだかんだいい奴らだけれど、ポンと馬車や優れものの武具をプレゼントしちゃうあたり、めちゃめちゃ可愛がってる風情ですし。ヨウムにもリムルの立場以上の肩入れしてますしねえ。
思えば、この御仁ってスライムになる以前の人間時代、前世は短いシーンだけでしたけれどそこだけでもわかるくらい、後輩くんを可愛がっていましたし、もともとこういうタイプの人だったって事なのでしょう。
ただ、子供の扱いに関してはちょっと雑だと思ったぞw
シズさんの心残りであった、中途半端な召喚によって莫大な力を内包してしまい、そのため寿命が残されていない子供たちを救うため、イングラシ王国へと旅立ったリムル。
そこで、シズさんの忘れ形見ともいうべき十歳前後の子供たちの先生になることになったのだけれど、何だかんだと今までリムルが付き合って可愛がってきた連中は一応大人な面々だったので、自己がしっかり確立されている連中は当たりが少々キツくてもそれに適応に対応してくれるけれど、子供たちはもうちょっと繊細だからね!?
いやまあ、反抗期な子供たち、繊細とは程遠かったのでリムルさんが腕まくりしてしまったのもわからなくはないのだけれど、これ見てたらシズさん苦笑案件だったろうなあ。何気にリムルのそれは同じ目線のガキ大将方式だったような気がしないでもない。それで懐かれたわけですから、問題はなかったのでしょうけれどw

クレイマン、これ見ていると全然黒幕じゃないじゃないですかー!
考えてみると、露骨に失敗はしていないけれど「こいつ、なんか企んでて策動してるな」というのを周辺の連中が、リムルみたいに直接知らない奴までそういう風に見てる時点で目立ちすぎているんですよねえ。黒幕としては。これに加えて、変に情報の入手に失敗してたり錯誤を起こしてたり、と隙も多いので、その中途半端さが妙に面白い立ち位置のキャラだなー、と思って見ていたのですが、こうなってくると釣り餌か実際の謀に対する身代わりの囮みたいなものなのか、という気がしてきたぞ。

妖精女王にして魔王の一角であるラミリスとの邂逅。非力だけれど世界の安定のために重要なポディションにいたり、技術的にも優れたものを持ってる彼女の存在が、魔王ってとにかく強い魔族なんでしょ?みたいな大雑把な認識を丁寧にほぐしてくれた感じがする。つまるところ、魔王とはもっと複雑な立ち位置なのだ。勇者から魔王に転身してしまったレオンなどのように。
肝心の勇者の方も、名乗ったやつが勇者だ、みたいな雑な扱いではなく結構難しい存在みたいだけれど。
ってか、ラミリスにけしかけられて壊したロボット、なんか新造した上に悪魔憑依させて新たなキャラ登場させちゃってるじゃないですかー。悪魔関係は今後まだ色々と踏み込んでいきそう。

とまあ、万事順調に物事は進み、子供たちのほうも上位精霊を憑依させることで肉体の崩壊を防ぐことがかなって解決。あとは魔国に戻るだけー、となったところで。
シズの教え子ヒナタ襲来。
シリーズ始まって以来の絶対絶命の大ピンチ! さらに魔国にも危機が迫り、という緊迫したところで次回へと続く、というこの構成! いやでも、実際の刊行時は次の巻も同時刊行だったそうなので流石です、流石です。

3巻感想