【ミリオタJK妹! 3 異世界の戦争に巻き込まれた兄妹は軍事知識チートで無双します】 内田 弘樹/野崎 つばた  GA文庫

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「癒やし系母性キャラにコロッとなびくなんて。まったくこれだから!」
麗しくも聡明な最強種族、長耳種。その長耳種たちが宗也たちとの同盟を申し入れてきたのだ。みぐが憤るように、いったんは長耳種の話に乗りかけた宗也たちだったが、やがて長耳種の真意が明らかになる。それは人類の奴隷化―人類を支配下に置き、魔法資源にしようというのだ。
「ああいうクソどもに二度と屈しないために俺達は戦争を学んでるんだ」
現実世界の歴史でも幾度となく繰り返されてきた悲劇。最悪の状況を打開すべく、宗也は宿敵・竜人種と盟約を結んで長耳種に挑む。人類の存亡を賭けた戦いが、今始まろうとしていた―。

この三巻で終了ですか。テーマがテーマだけにもっとロングスパンで積み上げていくものを見たかったのですが、仕方ないのか。
異世界転生モノや召喚モノで軍事を取り扱う作品というのは相応に見かけるのですが、意外とこう……その召喚された世界の文明レベルにあった知識の応用が多かったりで、概念そのものの先取りとしては、十数年から数百年程度するばかりだったり、技術だけ突出して高めたりとか。
せいぜい、近代からWW兇らいの有名な戦闘やらから引っ張ってくるくらいで、なんていうんだろう……戦闘教義――ドクトリンをガチで取り込んだような作品となるとあんまり見たことないんですよね。
古くは【A君(17)の戦争】なんかが有名になりますか。現代戦のドクトリンをふんだんに取り込んで、異世界の戦記モノをガチの近代戦争ものへと変貌させてしまった名作としては。
本作もその意味では、仮想戦記作家出身の内田さんの古典から最前線となる現代の非対称戦争に至るまでの知識を活きのいい生の情報として取り込み続けている方が、そのリアルタイムで更新されていく戦争のやり方という概念を、ファンタジー世界に見事にフィットさせた作品として非常に大きな特徴を有した逸品だったんですよね。
この三巻でも、敵国の攻撃が届かない領域からの一方的な弾道弾攻撃や、フォークランド紛争でのエピソードをモデルにしたという空中給油作戦に、WW兇虜△ら生み出され、現代戦で最大級の比重が置かれるようになっているインフラへのピンポイント攻撃など、旧来の中世的な戦争概念のもとに戦っていたものたちを完全に置き去りにする、現代戦のロジックで戦争の在り方そのものを一変させていく展開は非常に面白いものがありました。
このファンタジー世界への現代戦のロジックの当てはめ方がまた巧妙で無理やり感ややっつけなところが見えないんですよね、このあたりは本当にうまいと思うわけで。

ただ、一方で物語そのものの基因であり動力であり吸引力であるところのキャラクターに関しては、与えられた役割をこなす駒(ピース)という以上のものをついに獲得できなかったように思います。みぐをはじめとして、しっかりとそのバックグラウンドとそれに基づく懊悩など描かれるべきは描かれていたと思うんですけど、それをもとにキャラがいきいきしていたかどうかは難しいところですし、ヒロインとして存在感を示せたかどうか。
一番活発だったのはこの場合竜人のラズの方だったと思いますけれど、彼女の立場上ラズをメインにして動かすのは難しかったでしょうしね。先々があれば、まだわからなかったかもしれませんが。
ダイナミックな物語の展開に躍動感を与えるという意味でのキャラクターの存在感がもう少し欲しかった、というのが実際のところでしょうか。
もうちょいシリーズ続いていくのを見てみたかったのですが、残念です。次回作に期待。

シリーズ感想