【転生したらスライムだった件 6】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔王種へと進化を遂げたスライム――リムルの元に「魔王達の宴(ワルプルギス)」が発動されたと報せが入った。
それは10人全ての魔王が集う特別な会合。しかもその議題は魔王を僭称するリムルに処罰をというもの。
発起人は、テンペストに災いを呼び寄せた元凶「魔王クレイマン」。クレイマンの謀略を全て理解したリムルは、このワルプルギスを逆手に取り、一気にクレイマンを叩き潰す計画を立てる。
そう、彼がが企てた全ての出来事に終止符を打つために……。

てっきり、前回の終わりの勢いから、そのままクレイマンのところに襲いかかって殲滅じゃー、という流れなのかと思ったら、思いの外冷静に事が運ばれて。
というよりも、実際ここでフューズさんたちブルムンド王国の援軍とガゼル王たちが来なければ、そのまま突撃しててもおかしくはなかったんですよね。
ここで一息入れて間を置けたことで、より悪辣で容赦のないトドメをクレイマンに刺せたと思えば、いやそれ以上に下手をすれば人類各国と対立関係に陥る可能性もあった魔国連邦の行く末に確固たる未来への筋道を立てられたわけですから、フューズさんたちの援軍って会戦には間に合わなかったにせよ、全然ムダなんかじゃなくそれどころか大きなターニングポイントになってたんだなあ。
はっきり言ってかなりリスク高かったはずなのに、日和見せずに即座に援軍差し向けてくれたブルムンド王国、信義の大切さを心得ててホント格好いいですわ。個人的な友誼があったガゼル王とは違い、国同士の付き合いだからこそ魔物の集まりに過ぎないと言えば過ぎない魔国連邦に対等の国として接してくれたブルムンド王国、リムルとしてもめっちゃ嬉しかったんじゃないでしょうか。
あの王様、大した人物だったんだなあ。
エレン繋がりで、魔導王朝サリオンとも国交がモテることとなり、とこっちも意外な展開で。エレンの発言からしてむしろモメる方向に行くかと思っていたのですが。
ヨウムを擁立してファルムス王国を乗っ取ることで影響下に治めるもともとの計画も、他国の支援も加味してのものとなってほぼ成功間違いなしとなったわけで、これで一気に友好国が一大勢力的なものとなってきて、こういうのワクワクしてしまいますなあ。

しかし、ヴェルドラさん、完全にこうなんというか……居るだけで大騒ぎになる存在なのにこの自分の存在の大きさをまるで認識していないようなフットワークの軽さとキャラの軽さが混沌を加速していて、ミリムとかよりもよっぽど迷惑キャラじゃないのか、こいつw
まあ、ほんと居るだけなんだけど。部屋の隅で漫画読んでるだけなんだけど。やたらと光景が具体的に想像できてしまって、存在感がパねえな、この宿六なおっさんw

彼の居るだけ迷惑っぷりは、かのワルプルギスでも全く変わらず、いやなんというかヴェルドラ復活の際は強力な味方として頼もしい存在になるんだろうなあ、と期待していたし、実際強力な味方として頼もしいような感じにはなっているんだけど、この物凄い「すごいけどなんか違う」感がなんかもう此処まで来ると流石である。

その肝心のワルプルギスの方でありましたが、いやさリムルが魔王に覚醒したことでやたらめったら強さの桁があがりまくって、これちょっといきなり魔王の中でも図抜けた存在になっちゃったんじゃないの!? と、思ってた時期もあったのですが、こうして十大魔王勢揃いしてみるとこれがまた誰も彼もがパないわ油断ならない力秘めているわ、そもそも秘めてもいないわ、というようなとんでもない輩ばかりで、ちょっと想像以上だったんですけど。ミリム、確かに魔王の中でも突出しているようだけれど、こうしてみるとそこまで図抜けて突出はしていないのか、と思えてくる。少なくとも、ミリムでも一筋縄ではいかない連中ばかりじゃないですか。
その一方で、これもまた想像以上というか想像の埒外というレベルで……魔王さんたちみんなちょっと変な人たちじゃないですか!? 本人たちシリアスに決めているつもりだし、まあおおよそシリアスに決められているようにも見えるんだけれど、全員ところどころにポンコツ要素がにじみでまくってる気がするんですが。というか、この人たち集めてみると恐ろしく得体の知れない脅威の魔王たち、というよりも「魔王な愉快な仲間たち」な感じになってませんか!? あんたら、何気にミリムやラミリスとアーパーな感じで波長合ってるよ? 方向性わりと似てるよ? 
いわゆる同類じゃね!?

まあそれはそれとして、クレイマンの本拠攻略戦ではベニマルたちが活躍しつつ、なんかこっちでもさらに仲間増やしてるし。下手に倒していくよりもそれ以上に仲間になる連中をすくい上げてるケースの方が多いのが面白いなあ、この作品。
ミリムの信奉者たちの集まりも、思ってたような宗教色の強い感じの連中とは違っていて、意外とミリムとも親密な距離感じゃないですか。いや、あれを親密と言っていいかわからないですけど、全然美味しくない生素材な野菜料理を無表情で黙々と食べてるミリムの姿が、これまたありありと想像できつつも、怒らずなんだかんだと世話受けてるあたり、ミリムそれなりに受け入れてますよね、彼らの存在。いやまあ、流石に嫌気がさして長らく近づいてないみたいですがw

そのミリム、クレイマンの支配を完全には受けていないんだろうなあ、とは思っていたのですがまさか全くこれっぽっちも完全に受けていなかったとまでは思わなかった。いや、あんな殴られて怒らないとか、どれだけ我慢を知ったんだこの娘。
普通に獣王国消し飛ばした時点で、それなりに支配は受けてると思うじゃないですか。この娘さん、素で吹き飛ばしたのかw
フレイが完全にミリム寄りだったのにはこちらもいっぱい食わされましたけれど、この人もちゃんとミリムの友達していたのはなんか嬉しかったですよ。ミリムが裏切られるのは、あの子の純真さを思えば悲しいですもんね。

クレイマンからすると、もう完膚なきまでに自身の策を潰された挙げ句に逆手に取られて、逃げ場なくされたところでフルボッコ。しかも、死に物狂いで覚醒してなお微塵も叶わず叩き潰されてしまったのですから、やはりというべきかご愁傷様な結末に。
彼に関しては自業自得の結末ではありましたけれど、誰かに利用されてその捨て駒で、という憐れな最期ではなく、あくまで彼自身の考えと失敗によるものですから、後悔や未練はあっても本分を尽くしたと言えるのじゃないでしょうか。それに、ちゃんと彼の最期を悲しみ憤ってくれる本当の友人が居たわけですから。寂しいヤツではなかったんだよなあ。


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