【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。3】 凪木 エコ/あゆま紗由  富士見ファンタジア文庫

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1学期も終わり夏休み。充実したおひとりサマーバケーションを過ごすために綿密な予定を立てる姫宮春一を襲う新たな天敵。「姫宮さん、一緒に遊ぶ予定を立てましょう!」「やだ」高校受験日に助けた美少女お嬢様、白星有栖の超絶アピールが炸裂。おひとり様エネルギーが減らされる状況を毎度の如く春一は許さない!…のだが、おひとり様理論も通じない初めての強敵。おはようからおやすみまで有栖一色に染まり始め!?最後の手段として春一は、華梨たちクラスのリア充が開くキャンプに参加。協調性のなさアピール作戦を開始する―!ひねくれボッチートな青春ラブコメ、ソロ充は夏こそ輝け!!

意外にも積極攻勢してくる白星に対して苦戦する一方な姫宮。ちゃんと人の話を聞いてくれなくて自己完結してる相手には、姫宮でもこれだけ四苦八苦することになるのか。
考えてみると、これまで美咲をはじめとする姫宮のお一人様を脅かそうとしてきた面々は、その価値観の押しつけを論破されると、ちゃんと聞き分けてくれたんですよね。自分ルールを貫こうとはせず、ちゃんと相手の主義主張を尊重してくれるイイ子たちだったのである。ちなみに、クイーンな比奈もあれイイ子ですよ。ちゃんとお礼を言えて、謝れるってのは案外ハードル高いのですから。
そんでもって、逆に姫宮に拒否反応を起こす相手は自分から遠ざかってくれるから、彼のお一人様時代が脅かされることはあんまりなかったわけだ。
まあ、美咲なんかは姫宮のお一人様基準のラインギリギリを見極めて遊びに誘ってくるだけに、ほんとコミュ力高すぎるんですが。
でも、それも姫宮がダメなものはダメ、嫌なものは嫌とハッキリ言いながらも、一方で他人との関係を断ち切ってしまうような断固とした拒絶はしないから、というのもあるんですよね。
彼は一人を堪能するのが好きだけれど、他人を拒絶しているわけではないのですから。このあたりのバランス能力の高さは瞠目に値するところでもあるのですけれど、今回の白星のケースではそれが面倒な方に出てしまった、とも捉えられるんですよね。
白星に対して、ここのお誘いに対してはなんとか拒否するものの、彼女との関係そのものを拒絶してしまうまでの決定的な断絶は、姫宮としても選び難い選択だったのでしょう。彼女が理解できるほどの断固とした拒絶してしまうと、それはもう修復不可能な決裂にならざるを得ないのですから。
結局、白星には姫宮のお一人様理論は端から聞く耳持ってもらえず、終始付きまとわれることになってしまい、姫宮も断固とした姿勢を取れないまま問題は拗れていってしまうわけです。
ここでもし、姫宮が美咲たちとはっきりとした「友達関係」を認めていたら、もう少し彼女たちも姫宮に対してのフォローをしてくれたのかもしれませんが、彼女たちは彼女たちで姫宮のお一人様理論に対して受け入れながらも微妙に納得しかねる感情も抱えているだけに、白星への制止は鈍くなるばかり。下手にちょっかいかけると、姫宮との交際疑惑という疑義が白星から突きつけられる、というあたりも作用したのかもしれません。
美咲たちとしては、もっと姫宮と遊びたい、という気持ちもあるでしょうからねえ。姫宮の方はお一人様が好き、というのはわかっているにしても……見ている限り姫宮と遊ぶと凄く楽しませてくれるんですよね、彼。持て成し方というか気遣いというか、ホスト側として動いた時の姫宮って相手の満足度を十全満たしてくれるようなあれこれを尽くしてくれるので、単純に遊び相手としても最上なんだよなあ。あれだけ一人を好んでいるくせに、周囲に壁を巡らせて一人に閉じこもっているのではなく、恐ろしいほど周囲の人たちのことをよく見ている、注視している、観察している、見守っている? ともかく、無関心に見えて周りの人間たちのことを凄く理解している、というのは美咲たちも認めるところ。困っていれば、ササッと現れて助けてくれるし、フォローや助言も欠かさない。求められればちゃんと応えてくれるし、助けてほしいと言えばなんの躊躇いもなく助けてくれる。
波川くんもあれ、めちゃめちゃスペック高くて人間力も人格的にも優れているいいヤツだと思うけれど、ぶっちゃけ姫宮ってそんな波川くんと勝るとも劣らない男子力の持ち主なんだよなあ。
白星はちょっと視野狭窄だとは思うけれど、少なくとも見る目は確か以外の何者でもないのでしょう。目の付け所が最高点。
なので、ラストの英玲奈のポロッと漏らしてしまった本音も、なんの不思議もないのである。ってかこの娘はほぼ最初からそれっぽい様子を見せてましたからね、今更と言えば今更なのですけれど。
姫宮当人に直接告げてしまった以上、無かったことには出来ないわけで。でも、男女のお付き合いなんてものは、面倒の最たるものなわけですから姫宮としては受け入れられるはずもなく。
でも「好き」という向けられる感情自体はお一人様の邪魔になる、とまでは断言できないんですよね、考えてみると。まあそのへんを極端にしてしまうと、えらいクズい話になってしまうので危うきに近づかず、なのですがw
なかったことに出来ないことを、さて姫宮はどう受け止めて答えを出すのか。お一人様理論による結論がどう出るのか、興味深い。

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