【真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 2】 ざっぽん/やすも  角川スニーカー文庫

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追い出された英雄・レッドは、魔王軍との戦線を離れ辺境の地で薬師として幸せな新生活を営んでいた。
「薬屋って案外、暇なのなー」
「それじゃあ仕事のことは忘れて、のんびり遊びましょ!」
そんなリットの提案から、2人は店に本日休業の札をかけ走竜に乗り川辺でデートをする事に―。
「ね、早く泳ご!」
水着姿のお姫様との甘い時間は英雄の心を潤していく。一方、レッドの離脱により混乱する勇者達は遺跡に遺された先代魔王の飛空艇をめぐり更なる激戦地へと向かうのだが!?世界に何があっても、2人の幸せな時間は揺るがない―。追われた英雄による大人気スローライフ・ファンタジー第2幕!

さすがはツン期の終わったツンデレである。距離感の詰め方に無駄がない! いやこれ、ただデレデレしてる子や即落ちチョロイン系だと、いい感じになってからがわりとグダグダと進展しないものなんですけど、その手のグダグダした部分やツンツンしてお互いの関係を刺激するような期間はとっくに終わっているのがツン期の終わったツンレデさんなので、あとはグイグイと来るのみなのである。
レッドが開業した薬屋に住み込みで飛び込んできて、居候を勝ち取ったのもつかの間。その実態をさっさと居候から同棲にするための求愛行動に卒がないのである、このリットさん。
グイグイとは来るものの、そこに無理やりな強引さがなく自然に距離を詰めてレッドにストンと納得させる形で二人の関係を前へ前へと後押ししていく手練手管はお見事の一言。
無理やり手を引っ張っていくような形ではなく、腕を組んでちょっと背中を押しながらピタリとくっついて前に進んでいくような形なんですよね。なので、レッドの方も急かされる感じじゃなく促されたにしても、自分の選択でリットと恋人関係になっていくのを受け入れ選んでいく形になっているので、レッド自身も関係の変化に戸惑いじゃなくワクワクとしたトキメキを抱いているのが、二人の初々しい微笑ましさを割り増ししてるように見えるのです。
ツンデレは一人で勝手にツン期が終わるわけじゃあないものなあ。相手となる男性だって、ツンツンされることに試行錯誤してその頑なさをほぐしていくという能動的な行動をしているわけですから、相手の女の子に対して相応に思う所は出来ているわけです。リットがデレている分、レッドの方だってリットに対してちゃんと想いは醸成されているわけだ。だから、リットの早い歩調に対してレッドの方も自然と歩みが合ってくる。
まあ、速攻で注文していたベッドを二人で寝れるようにダブルベッドに変更するまでに進展しちゃうとは思わなかったけれど。ベッド注文したのつい先日じゃん!!
トラブルあって居候させることになった村の少年のおかげで、妙に家族観というものを形成できたのも良かったのかもしれないけれど。
辺境の奥地でゆるりとスローライフ、と行きたいところだけれど辺境は辺境でその土地相応のトラブルが付きまとうもの。何しろ今は魔族との戦争の真っ最中。その余波は押し寄せてくるものだし、世相が乱れているということはそれだけ治安なんかも不安定になるものだ。
麻薬騒ぎに人種間のトラブルが相まって、地域間での紛争紛いの問題が起こってしまうところに介入せざるをえなくなるレッドとリット。とはいえ、主体ではなくあくまで地域の住人としてというスタンスから、解決のために奔走しているので英雄のお仕事とはまた程遠いのだろうけれど。締めるところは締めていますが、主役はアルでしたしね。
裏で魔族たちが何やら暗躍していますけど、魔王軍もなにやらややこしいことになってるのか?
のんびりスローライフとはなかなか行きませんけれど、目立たず出しゃばらず薬屋で一介の冒険者としての範疇をはみ出ない、愛する女性との穏やかな田舎暮らし、というスタンスは崩していないんじゃないでしょうか、ちゃんとね。

ひどいことになっているのは、勇者パーティーの方で。いや、勇者ルーティーの能力が天蓋突破してしまったせいで、殆ど勇者ワンマンでなんでも倒せちゃうから何とかなっていますけれど、パーティーとしては完全に機能不全に陥っているのが伺えます。ってかアレンくん、ただの無能じゃないかこれ。
レッドこと勇者の兄ギデオンが居なくなった代わりに、とアレンによってスカウトされてパーティーに入ることになった暗殺者の少女ティセがまた真面目なイイ子でねえ。無表情キャラがルーティーと被っているのですが、内面めっちゃ喋ってるしこの子w かなりの苦労性なのか、入った時には崩壊していたこのパーティーを何とか維持するために新参者の彼女が四苦八苦するはめに。愚痴れる相手もいないので、内心でめっちゃ泣いてるのが可哀想やら可愛いやら。
なんかもう大変だけど、頑張れー。
とか言ってる間にレッドたちの暮らすゾルタンに真打ち登場である。最恐の小姑襲来である。

1巻感想