【転生したらスライムだった件 7】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔王クレイマンを倒し、“八星魔王”の一柱になったスライム―リムル。それを受け、神聖法皇国ルベリオスは揺れていた。それはまだリムルが魔王になる前、聖騎士団長のヒナタがリムルを襲撃したことで、その報復を恐れているためだ。そんな中、急遽集められた十大聖人の会議で、リムルからの使者としてやってきた、ルミナス教の司祭が殺害されるという事件が起きる。魔王へと進化したリムルの力は底がしれない。全面戦争を避けるべく、全ての責任を自身に負い、ヒナタは単独でテンペストへと向かう!

これ、表紙のヒナタは女性には見えんよなあ、顔怖いw
正直、今回仕組まれていた謀略は決して上質なものではなかったと思うのだけれど、多少荒が見えようと巧妙さに欠けようと、仕組まれていること自体が知られず情報を封殺され主導権を握られ続けた上で、時間的猶予も与えられずに動かざるを得ない状況に追い込まれてしまうと、どうしても嵌められた側は受け身に回らざるを得ず良いように誘導されてしまうのが現実なんですよね。
こればっかりは防諜側は自分たちの周りばかり掃除していても状況の主導権を握れるわけじゃないから、謀略を動かしている主体となっている人物や組織に対して阻止するアプローチを仕掛けなければどうにもならない。しかし、今回に限っては「誰が」暗躍しているかが定かではなかったので、この手の謀にも長けているだろうディアブロですら受け身に回って対処に動き回らなくてはならなくなってしまったわけだ。
その意味でも、状況が上手くハマって相手側に有利に働いた、というところなんだろうな、これは。相手側にもかなりの偏見と思い込み、情報分析の欠如があったにも関わらず最終盤まで企画通りに事が進んでしまいましたからね。リムル側もヒナタ側も判断も行動も無理やりな展開なく自然な形で進行していましたからね、とにかく謀略の意図と首謀者がわからなければ、中々それを止めようがないものである、というのは覚えておいていいものではなかろうか。
何気に本作って、これまでも情報の掌握の有無が展開を左右する場面が見受けられるんですよね。リムルたち味方側だけではなく、ちゃんと敵側黒幕側も全部まるっとお見通し、みたいなのではなく入手した情報の齟齬があったり誤解や勘違い、思い込みなんかがあったりして、その錯誤齟齬が結構大変な事態を引き起こすケースが多々あって、面白さに拍車を掛けてる部分があるんですよね。だから、この手のお話は結構作品としても重要な部分なのかも。
そう考えると、リムルって大賢者がラファエルさんになってから彼女からの情報の共有に失敗してるところがちらほら散見されるので、後々致命的な事態を起こさないかちょっと心配している。既にラファエルさんの言いたいことを聞かずにやらかしかけたことあったわけですし。実はまだラファエルさん使いこなせてないんじゃなかろうか。というか、人格らしきものが生まれてしまったラファエルさんの繊細なハートをきちんと慮れてないんじゃなかろうかw なんか、しょっちゅう言いたいこと言わずに黙り込んで拗ねてる気がするんだけど、ラファエルさんw

ともあれ、最後らへんまで上手くハマった相手の謀略も、リムルたちの実力を全く見誤っていたために殆ど力技で潰されてしまうことに。あれも、最後押しきれなかったから力押しでキメようとしてるあたりがまた粗雑といえば粗雑なわけで。
今回は良いようにやられた感があるんだけれど、先々も脅威かというとあんまりそんな感じしないんですよね。ここで全部出しきったというか運を使い切ったというか。

しかし、ヒナタは最初にかち合ったときのあの聞く耳を持たない、という頑なさを目の当たりにした上で、リムルが何度も繰り返しあの人絶対話し聞かないだろうなあ、話通じなさそうなヤツだよなあ、と強調するもんだからそういう娘さんなんだと思ってたけれど、普通に聞き分けいい子じゃないですか。いやまあ、世間様の評判も完全にヤバいやつ扱いなので、リムルがそう思うのも無理ないのですけど。現世の方でヒナタがかなりヤバイことしでかしている、という回想による前情報も、ヒナタが洒落にならない危険人物である、という先入観を与えてくれる材料になってたんでしょうけど。
ウェブ版では実際なんかもっとヤバイ感じだったのが、書籍版ではだいぶ話が通じるキャラになった、みたいな話をちらっと目にしたこともあるので、本来は噂通りのヤベえやつだったのかもしれないが。
教会勢力そのものも、何しろ宗教団体だし魔物排斥を高らかに謳っている連中でもあるので、これは一筋縄ではいかないだろうな、と思っていたところにその教会の奉る神様があれだったもんだから状況は面白いくらいコロリとひっくり返ることに。いや、教団組織としてこれはちょっとえらいモメることにならないだろうか。まあ対抗勢力は存在しないか、今回で根こそぎ潰されたとも言えるのだけれど、個々人の信者の気持ちとして、ねえ。まあ真実を知るのはあの場に居た連中だけなので、口封じでなんとかなるのかもしれないけど。何しろ、本人納得しなくても精神操作とか記憶操作とかチョロいです、みたいなあの人がいるわけですしね。
それにしても、出てきては色々と盛大に台無しにしてしまうヴェルドラさんは、もうさすがとしか言いようがない。こいつは、ちょっと一度は大人しくシメられた方がいいんじゃないだろうかw
あと、シオンはほんと、いっぺんちゃんと叱った方がいいよ、とこれ毎回言ってるな。
今回面白いな、と思ったのが完全駄王だったファルムス王国のエドマリス王が、心折られ野心を捨てたところから何気にちゃんとした王様らしくなって、良いキャラになってきたところでした。なんか新王擁立予定のヨウムの後ろ盾として頼もしいと思えるくらいになってきたし。あそこまでズタボロにしたキャラをここでもう一度持ち直させて扱うというのは、興味深く面白いなあと思える部分なんですよね、この作品の。
けっこう捨てキャラ居ないんだよなあ。
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