【転生したらスライムだった件 8】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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ヒナタをはじめとする聖騎士団との和解に成功した魔王なスライム―リムルは次なる仕掛けを画策する。それは、自身の魔王襲名をお題目に、盟主を務める国、このテンペストで大規模なお祭りを開催するというもの。最高峰のおもてなしと娯楽を提供するべく、魔王以下幹部達から、末端の一般市民、そして小さな魔王ラミリスも取り込んで、総力をあげての準備が始まった。果たして無事、テンペスト祭は開催されるのか!?

目下の最大の危機だった西方教会との対決も何とか解決することで、当面魔国連邦を脅かす勢力がいなくなり、リムルたちはマッタリモード。これを機会にリムルの魔王襲名お披露目会を兼ねたお祭りを開催することに。というわけで、物騒なお話抜きでのヒナタたちとの和解のどんちゃん騒ぎにお祭り準備編であります。
実際はまだ暗躍していた連中は健在だし、東の帝国の蠢動も確認されているのだけれど、目下の謀略を退けたことで一息つけた、というところか。七曜を全滅させることができた、と勘違いしている部分は若干危ないのかもしれないけれど。
ヒナタたちとの和解の宴、という名目のこれお疲れ様会ですよね。堅苦しいの抜きでお酒に料理にと持て成してのどんちゃん騒ぎ。畏まった場にせずに、日本風の旅館めいた場所で浴衣で着崩しての寛ぎ空間を演出するあたりは緩いリムルさんらしい配慮である。これ、聖騎士団てば討伐に来たんじゃなくて湯治に来たみたいな感じになっちゃってるし。騎士団あげての慰安旅行じゃないですかー。
まあ騎士も魔物たちもひっくるめて美味しい料理に美味しいお酒に露天風呂で楽しくワイワイやってりゃそりゃあわだかまりも解けるってなもんであります。
騎士団の連中はルミナス教の真実を知ってしまって動揺も激しかったでしょうから、こうして寛げたことは良かったんじゃないでしょうか。聖騎士団成立の経緯を知っていると彼らが教義よりもヒナタ優先というのは納得いくところですしね。帰国したら魔国との国交樹立のためにあれこれ奔走して調整やらしないといけないのを考えると、ここでいっぺんリフレッシュしたかったでしょうし。
何だかんだと帰るの引き伸ばして堪能して帰ったのには笑いましたけど。
しかし、リムルさんてば何気にヒナタ相手だと今までで一番女性への興味を示していた、というかおっさんらしい態度を見せてましたね。スライムになって性別がなくなって、殆どその手の反応見せなくなっていたのに。おっぱいは好きだけど。女の人たちに接待される夜のお店とか大好きだけど!
むしろ、ヒナタの方がリムルの前世が男だと知っているからか、男扱いの反応をしていたから、特にそう見えたのかもしれませんが。

さて、ヒナタたちが帰ったあとは、魔国連邦の国を挙げてのお祭りを開催することになり、各国の要人を招待し、ジュラの森の各所から訪れる魔物たちの部族の訪問を受けて、メンバーの総力を結集してあれこれやりだすリムルたちであります。
伝統あるお祭りじゃなくて、これが第一回目ということもあって、やることなすこと初めてばかり。でも逆に言うと何をやってもいいわけですから、あれもやりたいこれもやりたいというそれぞれが持つ得意を持ち寄っての大騒ぎになるわけです。なんか、学園祭的なノリを都市規模にしたようなものですから、なおさら準備期間の大騒ぎも楽しくなろうというもの。みんな自分がやりたいことを見つけて、それに向かって邁進するのですからそりゃあ楽しくもなろうもの。
商人ミョルマイルを本格的に引き込んで、一緒になって金儲けの悪巧み。いや悪巧みといったら語弊があるかもしれないけれど、リムルのアイデアをポンポンと本格的な経済活動に仕立て上げていくミョルマイルとのコンビは、リムル自身めっちゃ楽しそうなんですよね。自分の意を受けて、自分の想像以上に事業を具体的な形にして発案しなおしてくれるミョルマイルとのやり取りは、若干暴走しがちで何しでかすかわからないところがある魔物たちよりも、ガッチリ噛み合ってる感があって楽しいんじゃないだろうか。ミョルマイルの方もリムルからポンポンと飛び出してくる発想にテンションうなぎのぼりでこちらも心底楽しそうですし。
さらに楽しそうだったのが、いきなり訪れてきたラミリスたち迷宮組との、魔国で作ろう新ダンジョン編である。ラミリス、古いだけのなんちゃって魔王じゃなかったのか!
まさかのダンジョンマスター能力は、ダンジョンの制作に関しては魔力さえあればほぼ無制限、ダンジョン内での支配力は無限大。ダンジョン内なら死んでも生き返らせることすらできるよ、という復活機能まである、ということで。みんなで角を突き合わせて「ぼくたちの考えた最強のダンジョン」制作がはじまってしまうことに。
ダンジョンを作ろう、な物語や作品はそれなりに見たことがあるけれど、あれって大概ダンジョンマスターになった主人公が一人で考えて一人で作ることが多くて、他人が関わるにしても言うことを聞く部下が相手だったりするので、結局一人のお仕事で作品なんですよね。
しかし、この魔国ダンジョンはリムルだけが考えたんじゃなくて、ラミリスにヴェルドラにミリムまで関わってきて、それ以外にも何人も関わることになって、みんなで顔を突き合わせて喧々諤々の議論をして、あれもやりたいこれもやりたい、というアイデアを詰め込んで、まさにみんなで考えみんなで悪乗りして、みんなで創った楽しい楽しいアトラクション! という感じなんですよね。
歯止めかけるヤツが存在しないものだから、やりたい放題のとんでもないダンジョンになってしまってますが。まさかのダンジョン最奥に待ち構えるラスボスにヴェルドラ就任。各階層の中ボスも、中で生み出す以外にも外から連れてきたり、クレイマンとの戦いで仲間になった連中に任せたり、とみんなでワイワイとやる手作り感があってホントこういうの好きですわー。ちゃんとダンジョン内に配置される宝箱の中身も用意したり、と運営側の楽しさを堪能しきってる感じですし。
見ているこっちも楽しいし、すごくワクワクしてくるじゃないですか。
お祭りのアトラクションのつもりでやってたら、ミョルマイルくんが関わってきて、ジュラの森が安定したことであぶれ出すだろう冒険者を呼び込んでの、一大事業にもなりそうにですが。
いや、こんな最恐ダンジョンをお祭りの一アトラクションで用意すな、と言いたいところですけれど、各人ノリノリだったしなあ。まあ死んでも復活できる、という安全性が完全に確保されているあたりで、リムルのリミッターもまあ何やってもいいんじゃね?と完全に振り切れてしまったのかもしれませんが。
それにしても、リムルも感心しきりでしたがダンジョンに関してはホントに何でもありなラミリスまじで凄いっす! ただのポンコツ妖精じゃなかったのか。

ジュラの森の正式な支配者となったリムルのもとに、顔つなぎのために訪れてくる魔物たちの面々もなかなかに個性的。その中で、特に前から話にあがっていた天狗族。天狗と聞いて想像するあの鼻が長くて羽が映えてる修験者の格好した妖怪、というのとは……いや、概ね沿っているのだけれど鼻は長くなくて、しかも天狗は天狗でもテンコウという中華の神獣系である天のイヌという側の要素が入った種族だったのですが、何よりも驚きはそこの族長がハクロウの娘さんだった上に、ベニマルとの婚姻話が飛び出すことに。
この世界の魔物たちって、子供を作ると力の大半を持っていかれてしまう、という結構難儀な設定があるのだけれど、そろそろそれに関しても何らかの方針を示していくんだろうか。ぶっちゃけ、この設定は何とか解決してほしいのも実際のところではあるんですよね。当初は麾下の魔物たち、子孫を残すことに関しては自分の存在が消滅かそれに近い形で力を喪ってしまうことから、興味ないという向きの発言をしていましたけれど、皆さんおモテになりますしねえ。

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