【インフィニット・デンドログラム 9.双姫乱舞】 海道左近/タイキ  HJ文庫

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遺跡を巡った戦いは激化し、皇国の切り札として二人の超級職がその姿を現す。さらに遺跡では先々期文明の希望であったはずの決戦兵器が目覚めようとしていた。王国の危機に至り、仮面の王女はその力をふるうことを決め、レイの籠手に潜む鬼もまたその姿を現さんと機会を窺う。舞台となるはカルチェラタン。数多くの危機から、この地に生きる人々をレイたちは守り切ることができるのか―。激熱VRMMOファンタジー待望の第9巻!
このサブタイの「双姫乱舞」ってアズライトとガルドランダの事のはずなんだけれど、ガルドランダの出番少なすぎやしませんか!? 秒単位ですよ、秒単位。いや、ちゃんと数えるなら6分ちょいは出ているのでウルトラマンよりも上等なのですけど。それに、活躍としては魔将軍戦で文字通り一番良いところで登場して美味しいところを全部掻っ攫っていく大活躍だったので、前半のメインと言ってもいいのかもしれませんが。
いやでもやっぱり出番少ない感じ。ガルドランダ、彼女ちゃんと意志がある存在なんだけれど、今回に関しては召喚獣的な扱いに徹していて、戦闘だけして帰っちゃったという風なので圧倒的にコミュニケーションが足りない!! でもガルドランダは意志があってもネメシスみたいに常時現出していられる存在じゃないっぽいので、普通にコミュニケーション取れないんだよなあ、勿体無い。
魔将軍はまあ見事な噛ませな悪役なんだけれど、この程度の小物にかつてアルターの重要人物たち、キャラクターの大切な家族なんかが殺されていると思うと何ともやるせない。レイが片をつけてくれたのはいいのだけれど、こいつ懲りてなさそうだしなあ。絶対反省しないタイプだろ、このお子様。
それはそれとして、やっつけたのはレイにも関わらず「ざまぁ」をしてるのフランクリンというのがまた美味しいところをかっさらいやがって、と苦笑いしてしまう。まあフランクリン、後でさらに煽った挙げ句に徹底的に叩き潰してくれているのだけれど。
かつてアルターに侵攻して、先にもフランクリン主導とはいえアルターを壊滅させる作戦を敢行してきた皇国。優位に立って弱小国を侵略して回っている国かと思ったら、むしろかの国も追い詰められたがゆえの危機を脱するための行動だったのか。とはいえ、その皇国を救うための生贄に選ばれてしまったアルター王国としたら、そんな皇国の事情は知ったコッチャないですわな。
でも、話を聞いている限り、マスターを参戦させようとせず、またティアン最強戦力であったアズライトを合戦から遠ざけた王様、人としては優しく思想に信念を貫き通した立派な人物なのかもしれないけれど、それで結局自分が死んで国を傾け人を多く死なせて国民や娘たちを苦しめてしまっているのだから、王族としても父親としてもこれ愚王でダメパパなんじゃなかろうか。
おかげで一人で色々と背負う羽目になったアズライトですが、ここで吹っ切れたことでアルター王国の主役としても、この作品のヒロインとしても大いに羽ばたいてみせてくれました。それでも、あのシーンでキスに至らないというのはレイがあまりにも鉄壁過ぎる!!
しかし、この姫様ガチでめちゃくちゃ強いんですけど、これでも全然バランスブレイカーにはならないんだよなあ。

今回、遺跡で眠っていた決戦兵器のエピソードを通じて、先々期文明時代の話がどんどん出てきて、秘められていた歴史の謎の一端が明らかになってきたのだけれど、にゃんこ先生の立ち回りが明らかにゲームから逸脱しているんですよね。うすうすとただのゲームじゃないんだぞ、という気配をこれまでも匂わせてきたものですけれど、ここで一気に真実の領域にまで踏み込んできたなあ。
最後のアクラ・ヴァスターには思わず貰い泣き。だから、ああいう人の意志や願いを、ちゃんと受け取って自分たちなりに飲み込んで血肉にして、それを叶えんと健気に振る舞う機械ってのには弱いんですよ! ただのプログラム上の反応ではない、魂の存在を確信させるような……それでいて機械らしく自身を顧みない振る舞いには、思わず心震わされてしまうのです。
シルバーも、あのワイズマンが託した想いを今果たしていると思えば、ただのアイテムなんて風には思えないですよ。

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