【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 16】 海空りく/をん  GA文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

オル=ゴールとの死闘を経て、ヴァーミリオン皇国に訪れたひとときの平穏。だが《傀儡王》の悪意は世界にも大きな爪痕を残していた。
《人形遣い》での操作を放棄された政府関係者・職員の昏倒は世界規模での混乱を生じ、日本においては《特例招集》により学生騎士が動員される事態となったのだ。
《浪速の星》諸星雄大、《剣士殺し》倉敷蔵人、そして《雷切》東堂刀華――危機に集った黄金世代の学生騎士たちは、互いの牙を確かめ合い、未来へと想いを馳せる。だが、混沌の最中で放たれた大炎は、そんな彼らをも呑み込もうとしていた!
新たなる輝きが時代の闇を打ち払う、苦難と試練の第16巻!!
今回の表紙、刀華さんじゃないの? と、思ったんだけれど雷切さん本番は次回か。絢瀬が表紙張れそうなのって確かに今回くらいか。でも、あとがきでも語られているけど、絢瀬の能力って凶悪極まるんですよね。傷一つでもつけたら、そこから致命傷にも出来るのですから。
そんな絢瀬ですけれど、思いつめていた登場した頃と違って憂いが全部取り除かれた今はキャラが変わったんじゃないか、と思うくらいに明るくなって。それどころか、蔵人相手になんか世話焼きな幼馴染みたいな風になっちゃってるんですけど!? 絢瀬当人は全然そんなつもりはないだろうし、不本意極まるところでしょうが、そうとしか見えん!! まあ蔵人、絢瀬のパパと色んな意味で意気投合しちゃってるからなあ。パパさんと蔵人引っ括めて絢瀬が自分が抑えないと、という意気込みになっちゃってるのかもしれませんが。

というわけで、ヴァーミリオン編終わって一輝がショタ化してしまいステラに性的な意味で襲われそうなのはさておいて、舞台は日本へと移り、懐かしい面々が再登場。一輝と覇を競い合った面々もまた鍛錬を欠かさず、さらなる高みへと手を伸ばそうとしている段階。
今回の目玉はやはり、前回王者の諸星雄大と倉敷蔵人とのガチ決闘でしょう。大会ではついに見られなかった待望のバウト、ということで非常にワクワクしながら観戦したのですが、いやこれガチで……蔵人の方強すぎないですか?
相性の問題と刀華さんは語っていますが、ちょいとまさかまさかの展開でした。だって、諸星兄ちゃんメチャメチャ強いじゃないですか。それをまさか、ねえ。
でも、諸星兄ちゃん、それで闘神リーグは大丈夫なんだろうかと心配になってしまいます。少なくとも、今の段階ではまだ厳しいんじゃないだろうか。技術的にはまったく問題はないんだろうけれど。
海外編で世界の頂点近くの戦いを見ていると、やはり魔人と人間の境界は果てしなく高い壁に阻まれている、というのがなんとなく伝わってきてしまいます。かつて、七星の大会やってるときに理事長と西京先生のエピソードが挟まれて、こっちの人たちなんか違う漫画のバトルやってるぞ、という感想を抱いたものですが、まさに魔人と人間の騎士の差って漫画が違うというくらい別次元なところがあるんですよね。
その境界線を飛び越えてしまった一輝とステラ。それに比して、日本の学生騎士たちはどれだけ高みへと至っても、未だそれは彼らの元いた舞台上での向上に過ぎないわけです。
まあ、片鱗は蔵人が無意識に見せていて、そして諸星の兄ちゃんが最後に示してみせてくれたように、指先は届いているのでしょうけれど。
だから、いずれは。そう遠くない未来に彼らにもその魔人の領域へと至る可能性は決して低くはなかったと思うのです。しかし、現状ではまだ。現状では未だ人の領域。
しかし、災厄はそんな彼らの事情なんか待ったなしに襲い来る。人の身で、人外の戦いへと突き落とされるのである。血みどろの悪鬼羅刹たちの闘争へ、ようこそ、てなもんである。
ワクワクしてくるじゃあないですか。


今回は普通の人間の醜悪さと善性の両方を見せつけられるような展開で、刀華さん伐刀者としてそれなりに日本では名を馳せているのだけれど、それでもなかなか難しい立ち回りを強いられるんですねえ。
というか、この人穏やかな風貌なんだけど根っこが修羅なせいか、何気に頭に血が上りやすいし喧嘩っ早い気がするぞ。一般人相手でも、わりとサクッとプッツンしちゃってましたし。あれは相手のやり口が下劣でろくでもないという理由もあるので、普通は我慢できず怒ってしかるべきなので、あの怒りは全然変ではないのですけど、刀華さんって傍目本当にこうギリギリ限界まで我慢するタイプに見えちゃうからなあ。でも、ほんと修羅の国の人なのです、ええ。

シリーズ感想