【エロマンガ先生 9.紗霧の新婚生活】 伏見つかさ/かんざきひろ  電撃文庫

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「初めて出逢うずっと前から……あなたのことが好きでした」
お互いの過去を打ち明け合い、ようやく心を通じ合わせたマサムネと紗霧。新たな関係を築いていくため、二人は子供の名前を考えたり、初デートに行ったりと初々しいやり取りをする。そんな和泉兄妹に、エルフとムラマサが言ったこととは!?
「つい数日前、オレが実際に体験したことだ」
先輩作家の草薙から、酔った過ちで危険なメッセージを誤射してしまったことを相談されたマサムネと国光。彼の家に現れた人物とは? そして獅童国光渾身の新作小説の内容とは?
「貴方たち兄妹に、謝ることがあります」
叔母の京香に紗霧との新たな関係を報告したマサムネ。だが京香の返答は意外なものだった……。氷の表情の裏に隠された京香の複雑な思いとは──? 和泉兄妹に京香がずっと隠してきた「秘密」がついに明かされる!
新婚生活、まだはじまってないよ! 生活以前に、お付き合いはじめました、という報告をあっちこっちの知人にして回るという展開でした。
結婚生活じゃなくて、結婚報告!
それにねえ……うーん、どうしてもまだ「おままごと」な感じがして仕方ないのです。マサムネは高校生、紗霧に至ってはまだ中学生相当なわけですから、どれだけ本人たちが本気で結婚を志していても、実態がついてきていないというか。
実際は、自分たちでちゃんと働いて収入を得て、二人で暮らし、家事やなんかも(ほぼマサムネがですが)やっているわけですから、責任のない子供たちのたわごと、なんてことは到底言えないんですよね。実態として、既に二人で生活を成立させることが出来ているわけですから。
そして、運命的な経緯を経てめぐりあい、そして今想いを交わしあった関係。もう結婚しちゃえよ、と言われても不思議無いくらいのハッピーエンドカップルなんですよねえ……。
でも、どうしてかまだあんまり「リアル」を感じないのはなんでだろう。と思うと、やはりマサムネと紗霧の精神性が年相応の幼さでありすぎるのか。まだ中学生の紗霧はもとより、マサムネもこの子純真過ぎるというか世間擦れしてなさすぎるんですよね。よくムラマサ先生の方を世間知らず扱いしてるけど、マサムネの方も実のところあんまりムラマサちゃんと大差ない気がするのです。彼もまた、自分の見たいものしか見ようとしない傾向があるというか。
エルフ先生との関係の方が安心して見ていられるのは、そのあたりエルフ先生の方が現実的でビシバシと言うべきことを言ってくれて、夢物語ではなく地に足についた形で将来を語ってくれるというタイプの本気の愛情を見せてくれているから、なのでしょう。
まあ別に、マサムネと紗霧の新婚生活、別におままごとでも何の問題もないのかもしれないですけどね。先にも語ったように既に二人は現状でちゃんと生活を成立させているのですから、実際に結婚してみたら思い描いていた夢の結婚生活と全然違った、みたいな話にはならないのですから。

ともあれ、新婚生活というか婚約発表というかそういう報告をしても、めげないエルフ先生とムラマサ先生。さすがである。いやまあ、今更と言えば今更なのでそれでエルフ先生が諦めるはずがない、というかエルフ先生は既にそれ前提として勝負挑んできているわけですからねえ。ムラマサ先生の方はいまいち動向がわかりませんが。
智恵ちゃんはもう自分で語った通り、既に周回遅れすぎたんですよ! 今の段階で意味深に好意をちらつかせて気を引く、なんて真似してたのは遅すぎるのです。エルフ先生たちの積極攻勢と比べて、あまりにもマサムネを取り巻く状況を把握していなかった、としか言いようがないのである。

そして本命の京香さん。この人こそ今更何を言っているのか、という段階で。まあこれまで何年も思い悩んで苦しんでいたのですから、頑固に凝り固まった考え方がすぐに変わらなかったのかもしれませんけど、あれで二人に嫌われると思っていたのなら自分の甥姪のことを見くびりすぎであり見損ないすぎでしょう。この人、子供の頃からおとなになった今でも一貫して面倒くさい人だったんだなあ!
でも、マサムネも紗霧も、あの母にしてこの子あり、という体でこの手の面倒くさい人大好きなタイプなんで、まあうまくまとまるのか。
しかし京香さん、これだけ頑固で思い込みは激しくて他人を勘違いさせること著しいと、生きるの大変そう。やっと最近報われてきたのかもしれませんけど、この人こそ結婚大丈夫だろうか。

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