【死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く 3】 彩峰舞人/シエラ  オーバーラップ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

北方戦線にて、ローゼンマリー率いる紅の騎士団を退けたオリビアたち。
一方、中央戦線を孤軍で支えていた王国第二軍は、帝国の元帥率いる天陽の騎士団の参戦により、窮地へと追い込まれていた。
戦線の崩壊を予見した王国は、常勝将軍として名を馳せたコルネリアス元帥率いる第一軍で迎え撃つ決断を下す。
さらに、オリビアも別働隊を率い、第二軍救援のため行軍を開始する!
そんな中、二国を監視し、機を窺っていた存在も遂に始動。大陸を巡る戦況はさらに混迷を深めていく。
各国の思惑が錯綜する中、戦を制するのは――?
王国軍“最強の駒”として、常識知らずの無垢な少女が戦場を駆ける、第三幕!

敵味方ともにいいキャラ揃ってきてるなあ。
相変わらずの爺殺しのオリビアさんである。第七軍のお爺ちゃん将軍に飽き足らず、常勝将軍たるお爺ちゃん元帥にも出会った途端に猫可愛がりされるオリビア。孫なのか、あの無邪気さが爺どもに孫可愛さを想起させてしまうのか。
オリビアって確かに異形のメンタルの持ち主で一般的な人間の価値観とは異なる基準で動く「怪物」の類なんですけど、それによって恐れられ排斥されるには可愛げがありすぎるんですよね。彼女の邪気のない明るさは、そうした警戒感や恐れよりも親しみや微笑ましさを感じさせるもので、あれだけ人外の働きと異常な強さを見せているにも関わらず、味方からあんまり恐れられていないのである。
まああんまり嫉妬や理解できぬものに対して拒絶感を顕にするネガティブな人が味方キャラに登場していない、というのもあるのでしょうけれど。ただ、理解不能な未知の存在が恐れを抱かせる理由になるのだとしたら、オリビアって意外とそうした未知の部分を露骨に見せないようにしている、また結構聞き分けも良くて文句や小言に対しても、ぶつぶつ文句は言いながらも結構素直に言うこと聞いてくれるので、相手からあいつはなんなんだという理解を拒絶するような拒否感をあんまり抱かせないんですよね。勿論、譲れない部分は譲らないのですがいわゆる「話が通じる」相手なのである。
加えて、個人的な武勇のみならず、戦術家、将帥として非常に論理立てた上で際立った作戦を立案遂行するので、信頼を寄せやすいんですよね。兵卒からしても、下のものにも気安く大切に接してくれて、それでいて武勇をもって引っ張ってくれるのでカリスマ性も非常に高いですし。
おかげで、これだけ異端の英雄でありながら孤独ではなく、上からも可愛がられ同輩からは信頼され下からは崇められるという抜かりのない英雄になっていて、見ていても心地よいのである。
何も考えていないようで、死神や魔術の件については安易に振りかざさないし、読者視点からしても安心して見ていられる主人公といえるのではないでしょうか。これで、何気に各国の黒幕キャラ並かそれ以上に世界の核心に近い、見方によったら彼女が黒幕でラスボスなんじゃないのか、というような得体のしれなさも醸し出してますし。
王様が本当に戦争に対してのセンスが皆無で、殆ど彼一人のために王国は瀕死に陥っていたようなものなので、軍権がお爺ちゃん元帥に移ったというのは戦局の行方としてもだいぶマシになってきましたしね。殆ど亡国寸前だったところから、だいぶ立て直していけるんじゃないでしょうか。軍部見てたら、優秀な人ばっかりですし。
クラウディアとアシュトンとオリビアのトリオは益々親密になって、今やクラウディアお姉ちゃんと手のかかる妹に頼りない弟、みたいな三姉弟みたいになってて、これも見ていて微笑ましい限り。これでクラウディア、ナイトハルト相手だと従兄ということもあって若干妹キャラになるのがまた面白いところ。他方では妹キャラな人が主役サイドの関わりではお姉ちゃんキャラというのはなんだかムズムズする擽ったいものがありますねえ。
カテリナやリーゼといった副官陣もいいキャラ出してきましたし、敵側の帝国側でもオリビアの対抗馬になりそうな人物が出てきて、一方で神国メキアという第三勢力も介入してきて、情勢もさらに面白さを増してきたんじゃないでしょうか。
ともあれ、戦場シーンが躍動感あって面白いので戦記物としてはそれだけでも十分得点高いですし、個人的にもかなり好きなシリーズとなってきました。

1巻 2巻感想