【壊れた美少女たちと《変質者》の人智を超えた日常 1.~ダンジョンも穴なんだよな~】 猫村あきら/鉄山かや  オーバーラップ文庫

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童貞でスキルを持たない“無能”の冒険者ニト。ダンジョンで置き去りにされ、絶体絶命の状況下で、彼は穴の女神ヘレンと出会う。偶然とか神様とかに感謝しながら、女神の胸を揉んだニトは―神界の無限牢獄へと投獄されてしまった!放り込まれた独房には、既にエッチなロープに身を包んだ囚人がいた。ブレアと名乗る毒舌美少女は、脱獄させて欲しいと依頼を持ち掛けてくる。報酬は、ブレアの“はじめて”!?躊躇なく引き受けたニトは報酬のため、ついでに人間界に帰るため、神の世界で無限牢獄の攻略に挑む―!変質者と非常識な美少女たちが贈る“穴”を巡るファンタジー、開幕!

基本、変質者の人の脳内垂れ流しな地の文なせいか折々に触れて、ナチュラルに異様な方向に踏み外した思考をドバドバと浴びせられるみたいに読み込んでしまうために、段々こっちまでバッドトリップしたような得体の知れない感覚に侵されていく。
舞台となる無限牢獄がまた、閉ざされてブレアと二人きりの独房から、そこから出ても延々と牢獄が連なっている無限空間という異様でどこか狂気じみた舞台なせいか、地に足をつけてこの物語やキャラクターと相対するための「地面」そのものがあやふやで踏みしめられないものだから、常に足元がおぼつかない不安定な感覚にさらされて、それが余計に不安を煽ってくる。
読んでいる自分の精神の方も、グラグラと揺れてくる。
ドグラ・マグラじゃあるまいし、ひたすらお下品で俗っぽいコメディのはずなのに。
この異様な空気感を作り出したセンスは大したものなんじゃないだろうか。少なくとも、意図して誰でも書けるタイプの作風でもないだろう。好まれるかどうかは定かではないけれど。
主人公のニトは変質者である。いや、言うほどヘンタイの類ではなかったように思うのだけれど最初は。性的に倒錯的な趣味を持っている風でもなかったし、やたらテンションは高くて妄想の激しいやつだったけれど女神さまの胸を事故で触ってしまったくらいで積極的な変態ではなかったと思うのだ。
果たして最初から「壊れて」いたのかそれともブレアによって決定的に「壊されて」しまったのか。
いずれにしろ、ブレアによる精神破壊を経た彼は完全に「変質」してしまったと言えるだろう。見るからにヤベえやつに成り果てた。
そう言えば変質者って、社会秩序的にアウトなことを仕出かす性的にヤベえやつの呼称だけど、なんで「変質」者なんでしょうね。なんで質が変化するという漢字が充てがわれたのか。変態の方は変な生態という意味で理解できなくもないのだけれど、変質させる能力を持ってしまった彼の行動を見ていて、変質者呼ばわりされるときにふと不思議に思ってしまった次第。
いやニトくんって完全にヤベえやつだけど、社会的にアウトな変質者かというと、完全にぶっ壊れたあとでもそこまで変質者じゃないよね、と思ってしまうのは感覚がマヒしてるんだろうか。
だいたい、タイトルにもあるように出てくるヒロイン?みたいな女性陣もみんなガチで壊れてるというか頭おかしいことになってるんですよね。メスブタの人とか、やべえどころじゃないじゃないですか。ブレアだってまともそうに見えて、あちらこちらネジ飛んじゃってるし。
主人公一人がヤベえやつならまだよかったのですけれど、キャラクター全員やばくて舞台も頭おかしくて、となるとどんどんこっちまで精神が汚染されていくような生温いじわじわと染み込んでくるような悪寒が這いずり回って、気持ち悪いのか気持ち良いのか。
これ、書いた作者のひと頭おかしいよね♪
ちょっとシャレにならない目に遭い続け、遭わされ続けるニトくんですけど、何気に報われてるのが何ともはや、良かったね?