【ファイフステル・サーガ 3.再臨の魔王と草原の灰エルフ】 師走トオル/有坂 あこ  富士見ファンタジア文庫

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かつて魔王戦役にて魔王軍に与した灰エルフの子孫たちが、“魔王の左腕”を奪還すべく五芒国へと再び侵略を開始する。灰エルフたちの鍛え抜かれた弓の腕と馬術によって、フライスラントの地に多くの血が流れ、兵たちが敗北を重ねる戦況にカレルが、ヴェッセルが動き出す―。
「心に正直になれ。どうして欲しい?一晩中これを続けて欲しいのか?」
灰エルフ族長のひとり“天秤の担い手”ギルセリオン。圧倒的な武と、女を堕とす術を持つ新たな英雄は、来るべき『セシリアの死』を起こす元凶か、それとも未来を変える存在か―。かくして歴史の表舞台に英雄は揃う!

エロエルフだー!!(失礼)
いやだって、このエルフの人ってば魔王戦役生き残って200年、一番鍛えて自信あるの閨房術だぜ、と自分で自慢するような兄ちゃんなんですよ? 勿論、それだけではなく弓一本でワイバーンを墜としてしまうような弓の達人であり、単騎独行して敵の軍勢を蹴散らすわ、超遠距離から指揮官スナイプするわ、こうしてみると訳のわからんレベルの活躍してるんですが。
それ以上に、女の人を快楽でメロメロにしてしまい夜のお相手に選んでもらうために自分から率先して無茶苦茶頑張るという士気の上がり方させたり、人間の娘も陥落させて味方にしてしまったり、とあなたエロゲーのハーレム主人公ですか、と言いたくなるような得意技を振るいまくってるわけで。いや、そんじょそこらのハーレム主人公でも千人を超える嫁さんと結婚してるとかは早々ないでしょうなあ。エルフ族の長寿を考えたら嫁さん沢山いるのもわかる、となるかもしれませんがちょっと待ってください。長寿とはいえ、ギルセリオンさま、この200年で1000人超えですよ? 単純計算してしまっても年に5人と結婚している計算である。中華王朝の皇帝の後宮なんかだと千人単位で寵姫が居たりというケースもあるだろうけど、この人ちゃんと全員の相手しているっぽいからなあ、尋常ではない。さすがにこれだけ嫁さんがいると順番回ってくるの本当に貴重な機会になってしまうだけに、女性陣が目の色を変えるのもわからなくはない。ただの夜伽ではなく、生きたまま極楽を味わえ中毒みたいになってしまう快楽なわけですしね……。
んでもってこのギルセリオンさま、どうやら3人目の主人公っぽいんだよなあ。
灰エルフ、魔王軍の一員ということで完全に敵サイドかと思いきや、このギルセリオンさまだけは魔王なんて疫病神じゃん!という姿勢で、この200年の雌伏のうちに長老筋とは違う路線を歩んでいて、今回の侵攻でも話を合わせながらこっそり独自に動いてらっしゃるだけに、このまま行くと面白いポディションになってきそうなんですよね。
だいたい、単純な武力戦力として彼と彼の率いる灰エルフの部族ってちょっと桁が一つ二つ違ってそうな強さだもんなあ。その上で脳筋とは程遠い政治的にも謀略家としても非常に卓越した手腕の持ち主だし。魔王関係なしにギルセリオンさまがここで勢力圏を確立してしまうと、一国に近い脅威になってしまうんじゃなかろうか。単純に敵に回りそうにないのが救いではあるんだけど。

ともあれ、灰エルフの侵攻を契機として、人間同士で争っているわけにはいかなくなったカレルたち。元々魔王の復活を予見して動いていたカレルたちからすると、利用するに足るチャンスでもあったわけだけれど、こういう時にフーデルス王国のヴェッセル摂政が全部承知しているというのか、彼の優秀さも相まって非常に頼もしい……頼もしいんだけど、この人なんで内実が見えてしまうとこんなに残念なんだろうw
カレルたちの結婚式で遠出してたの、ホームシックになってとっとと帰ってしまったりとか、時期的に真夏に差し掛かって暑くて外に出たくないから、灰エルフとの戦争の指揮を色々と建前を並べてカレルに押し付けて丸投げとか、相手の心のウチを読める魔道具、持ち歩いていないように見せかけて股の間に挟んでたりとか。
でも、後方支援の能力は文句なしに優秀だし政治的な状況の整え方も辣腕の一言だし、結果だけを見ているとどう言い繕っても大宰相なんですよねえ。カレルとはなんか妙な方向で息というかタイミングが合ってしまって、名コンビみたいになってしまってるし。お互いの内心は面白いくらいにすれ違っているのですけど。

なんか、続刊微妙な状況になってしまっているようですけれど、ここからが面白くなってくる途上なだけになんとか続いてほしいところです。

シリーズ感想