【転生したらスライムだった件 12】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

順調に勢力拡大を続けるテンペストに向け、ついに『東の帝国』が動き出した。
未来を知る少女“勇者クロエ"の話では、とある時間軸で、その帝国によってリムルが討たれ、テンペストが崩壊したという。
今はその時とは違った運命線にいるとはいえ、可能性が消えたわけではない。
警戒を強めるリムルであったが、そんな折、帝国の密偵がテンペストに潜入する――。


前々からずっと懸念材料、近々攻めてくる可能性大、という噂が流れていた東の帝国がついに本格的に動き出す。ある時間軸では、リムルの命運を絶ち、テンペストを滅ぼした相手なのだからリムルさんもそりゃ気合入るよなあ。
というわけで、帝国編はじまるよー。
で、はじまった途端に帝国の重鎮の一人が寝返って味方になってしまったという超速展開には笑ってしまった。いや、速い! 速いよ! まだ開戦もしてないし、前哨戦みたいな感じで先遣部隊がこっそり潜入してきて衝突が起こった、みたいな戦闘行為すら起こってないよ!?
でも、これに関しては帝国の大魔導師ガドラ老師のフットワークの軽さと判断の早さを褒めるべきなんでしょうね。偶々ラーゼンのお師匠様だったり、不死王のアダルマンと親友だったり、という深い縁があったとはいえ、テンペストやリムルの実情を知るや否や、これはあかん! と寝返っちゃったわけですしね。このシリーズ、正確な情報を得られないまま自分の都合の良い古い情報を信じたまま動いてエライ目に遭う面々には事欠かなかっただけに、これだけ手早く正確な情報を入手した上で躊躇わず適切な判断を選択するその賢明さは大したものだと頷かざるをえないんですよね。
しかも、それだけならただの機会主義者に見えてしまうのですけれど、元々帝国で大魔導師として技術推進を主導していた理由も、アダルマンが七曜に騙されて討たれたことに憤り、七曜とその主であるルミナスを仇討ちで倒そうという厚い友情から頑張っていた、というものですし、仕えていた帝国に対しても、ちゃんとテンペストに所属移る前にテンペストやばいから敵対しちゃだめー、と戦略会議では戦争に反対し皇帝本人にも直訴した上で殺されかかったので、というか蘇生手段を密かに用意していたのが功を奏して、殺されたけれど蘇生してテンペストへ逃げてきた、という義理立てしっかりとしてきてからの亡命ですからね。筋はちゃんと通してるんですよね。
それに、未だ帝国側で働いている自分の弟子として面倒みてきた異世界人たちに関しても、ガドラ老師自身が奔走して、リムル側と戦いになった時は助命嘆願しに駆け回ったり、説得してこっち側に亡命してくるように手回ししたり、と非常に情深くて面倒見良いところを見せてくれるものですから、このお爺ちゃん良い人だなあ、という印象になっちゃいまして。
あれだけ胡散臭くて、実際必要な情報回してくれなくて面倒なことになりかけたユウキに対しても、あの小僧め、と思いながらそれでも見捨てずに情報回してあげたり心配したりしてるわけで。人が良いんだよなあ。
ともあれ、能力的にも非常に高く、異世界人たちにも顔が利き、というかこの世界で生きるためのノウハウを叩き込んで面倒見続けてくれた師匠として大変慕われていて、昨今の帝国の技術発展に寄与し続けていた大人物であったこのガドラ老師が、速攻でテンペスト側に入ってしまった、という時点で帝国側の命運が透けて見えてきてしまったわけで。これは、思ってたよりも帝国側ヤバくはない?
そもそも、あのユウキが速攻で出世して軍の三大大将の一人に収まってしまう、みたいなことになっている時点でアレなんですよね。組織掌握してのし上がる能力に関してはユウキ、天才的なんでしょうけれど、どうしてもこいつっていつまで経っても小物感が抜けきらないというか、ギィにあれだけシバかれたのに懲りてないというか、やっぱりリムルとテンペストのことちゃんと評価しきれてないところとか、残念度が抜けきれてないんですよなあ。アルティメットスキルに目覚めても、あんまり貫目増えてないし。
今は帝国内の獅子身中の虫として蠢動してて、クーデター画策しているわけだけれど、こいつの計画ってなんともうまくいきそうな感じがまったくしないのが逆に面白く思えてきた。

さて、帝国側が異世界人を大量に抱えていることもあって、またぞろ沢山地球からの召喚者たちが出てきたけれど、最初期に敵対した人間として壊れてた三人組と違って、みんなマトモな連中なのでウマウマ。てか、シンジくんあれ何気に主人公体質なんだろうか。けっこう同輩から信頼され慕われてるみたいだけど。女性にモテて、しかもそれに気づいていない鈍感、という定番のアレみたいだしw

着々と進む、侵攻してくるだろう帝国に対する迎撃作戦計画だけど……ひどいねこれw
迷宮に街ごと収納しちゃうってなんだよそれ。防衛としては最強じゃないですか。帝国軍の技術も実際凄くて、このままだったら西側諸国一蹴されて然るべき質と量、戦車や飛空艇とか何世代技術力上回ってるんだ、というそれなんだけれど、それ以上にテンペストが酷いw
特にテンペスト側だけ戦場の霧が存在せず、映像で俯瞰的に敵情を観察できるとか、敵軍の動き丸見えすぎて可哀想になってくるじゃないですか。
帝国側の皇帝とその傍に侍る「元帥」の正体には少々驚かされましたけれど、またぞろこの人たちも目がギィにばかり向いていて、ヴェルドラの現状やリムルについてはさっぱり把握していないあたり、なんか見覚えのある光景というかなんというか。グランベル翁が主敵扱いだった、とか原初たちの動向を把握していなかったりとか、うん情報が古すぎる。この情報の遅れがどう影響してくるのか。とりあえずは、侵攻してきた帝国軍との開戦からか。

シリーズ感想