【我が驍勇にふるえよ天地 9 ~アレクシス帝国興隆記~】 あわむら 赤光/卵の黄身  GA文庫

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キルクス、カトルシヴァ両皇子との緒戦、勝ち負けつかず。
その結末は引き分けというにはあまりにも重い代償をレオナートに突きつけた。

一方、中央帝国パリディーダでは、ツァーラント帝国、ガビロン帝国を一つに束ね、三国同盟でレオナートを滅ぼす邪悪な秘策が蠢動していた。
恐るべき絵図を描くは、千里をも見通すとされる《魔女》シェヘラザード。
混乱の情勢を不敵に操る魔術のごとき企みが、レオたちを新たな戦いへと誘う――。

いざ示さん、王者の戦い!
強大なる三帝国を堂々迎え撃て!!
痛快にして本格なるファンタジー戦記の大本命、激動の第9弾!!
キルクス皇子、有能さではレオナートのライバルにふさわしいのだけれど、それに比して地盤と人材がレオナートと比べると著しく弱いのがネックだと思っていたのですが、なるほどこういう展開か。
まずはレオナート包囲網。出る杭は打たれる、というのは戦国乱世となった国際情勢なら当然で、放って置いたらまず間違いなく近隣の最大勢力へとのし上がるに違いなく、それでいて平和的にやりましょうなんて連中ではないのだから、まだどうにか出来るうちに寄ってたかって叩き潰そうとするのは当たり前の流れなのでしょう。
でも、むしろ合従軍やら包囲網なんてのを起こさないといけない時点で手遅れ、というケースも珍しくはないのですが、さて今回の場合はどうなのか。
少なくとも、シェーラやジュカが想定していなかった以上は相当に早巻きされた展開ではあるんでしょうね。それだけ、各国のアレクシス軍の勃興に対する危機感は高く、それらをまとめ上げたシェヘラザードの手腕は並々ならぬもの、となるのでしょう。
しかしこのシェヘラザード、かなりいきなりポッと出てきましたけれど、一体何者なのか。バックグラウンドがかなり不明であることはともかく、シェーラと瓜二つというのは何かしらの意味があるんだろうなあ。シェヘラザード自身はシェーラの事は全く知らなかったようなのだけれど。
何気にやりかたも結構似てるんですよね。シェーラの『伝説伝承』構想。あのフォークロアと、シェヘラザードの語る『魔王』という世界の敵を仕立て上げる構想は、ベクトルこそ異なっているものの構造としてはほぼ一緒のものですし。
それでも、シェヘラザードが一番の黒幕でラスボス、というにはもう一つなにか違う気がするんですよね。これだと、あくまでシェーラの対抗馬という構図が一番当てはまりそうですし。
となると、やはりキルクス皇子がレイナートの最大の好敵手になっていくのか。今の段階では包囲網の中でも弱小勢力ですけれど、この件をきっかけに彼に元に色々と糾合していきそうな流れが生まれていましたし。その中でも一番の要になりそうだったのが、ツァーラント帝国の騎士の中の騎士アルフレッドだったのですが……。
いや、こいつ実際どうなの?
自分ルールすぎて、周りついていけてないんじゃない? 怖いは怖いしそのメチャクチャなまでの強さは脅威なんだけれど、こいつだけ在り方が突出しすぎていて過程や他人の心を蔑ろにしすぎている分、質的にも量的にも消耗が激しすぎるんですよね。自分の正義は正しい、という信仰は勝っているうちは渋々周りもついていくかもしれないけれど……。
だいたいこれ、考え方がパターン決まっちゃってる節があるので、レイヴァーンが相手って一番あかん組み合わせだったんじゃないだろうか、アルフレッドにとって。
つーかこれ、相変わらずレイヴァーンが凄すぎる。軍略家として未だに登場人物中で頭一つ抜けてるんじゃないだろうか。よくまあ、この男に勝てたよなあ。いや、実際ちゃんと勝っていなくて、アドモスの政変のおかげで向こうから降ってきた当時を振り返ってみたら、果たしてあのままレイヴァーンと戦っててレイナートですらちゃんと勝てたのかどうか。
そのシリーズ最大の強敵がまったく衰えないまま味方になっている、という現状が頼もしすぎます。彼のみならず、アドモス帝国の強敵たちがほぼまるごと反転してこっちの味方になっているわけですからね。
これでもまだ人材が足りない! と嘆くレイナートが贅沢すぎるのですけれど、これをして贅沢などと言えないくらいやはり包囲網という状況は過酷なのか。
……アランくんがすっげーフラグ立ててったのですけれど、さすがにこれ逆にフラグ潰しですよね? ね?

シリーズ感想