【中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入!】 猿渡 かざみ/ 天瀬晴之  角川スニーカー文庫

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最低ランクの小規模ダンジョンを、わずか1年で中堅冒険者パーティですら退ける大迷宮へと造り替えた中ボス・“千手”のナルゴア。しかし魔王を倒した最強クラスの勇者一行が襲来、愛すべき従業員たちを守るため、ひとり勇者に挑み敗れ―どういうわけか文明の衰退した100年後の世界に、しかも人間として転生する!召喚術師の少年となり、あまたの魔法を操る“千手”と、いまや伝説級となった部下たちを召喚したナルゴアは、魔王軍再建のため、各地のダンジョンを改革していく!
「勇者の生まれ変わりなんかじゃない―俺は、中ボスさんだ」
中間管理職と頼れる部下たちの、壮快リビルドファンタジー!

中ボスさん、レベル99とか謳っているけれど本質的に彼の強さというのは関係ないんですよね。彼がうらぶれた最低ランクのダンジョンを立て直せたのは、ナルゴアの強さのゴリ押しなどではなく、そこのダンジョンで燻っていた魔物たちに輝きを取り戻させたその人材活用術なのである。
管理職として、部下たちの存在価値を認めてあげて、その能力に合わせた働き方を指導して各々に手応えを感じさせ、その上で手厚い手当で保障することで後顧の憂いをなくさせる。
そうして部下にやる気をもたせる手腕は、まさに管理職の鑑であります。
ただ、実際に中ボスやってた折にはダンジョン立て直しの実績に加えてその誠実な人柄から部下の魔物たちからは慕われたんだけれど、ナルゴアの方からは部下たちに対して距離感があったみたいなんですよね。魔王の下に出向し、中ボスとして働き始めるまでずっと孤高ともいうべき立場で過ごしてきた弊害なのか。一番肝心なときに、彼は自分が育てた部下とともに戦うのではなく、独りで脅威と戦うことを選んでしまうのである。
でも、客観的に見てあの場面においては、まだ成長途中だったダンジョンの育成状況を考えれば、ナルゴアが独りで迎撃する、というのが一番被害少なく片付けられる可能性のある手段だとも思えるので、あの選択は間違いとは言えないとも思うんですけどね。
ただ、あの戦いをナルゴア自身は、パーティーという仲間たちとともに向かってきた勇者を、自分は孤独にたった独りで迎え撃つ、という寂しさのような感情を抱いていた以上、最適な選択ではあっても最良の選択ではなかったのでしょう、中ボスとして、ナルゴアにとって。
彼の本願が叶うのは、皮肉にも人間に転生して正式な中ボスという管理職から降りたあと、ということになります。

でも、人間転生後のナルゴアって魔王軍という職場からは離職している状態のはずなので、中ボスとは言えないと思うんだよなあw 現役中ボスさんって、後継指名したアウラウネだったり森のダンジョンの中ボスだったオウルベアの方であって、ナルゴアもう関係ないですもんね。
とはいえ、召喚魔法でアウラウネたち喚ぶわ、あれやこれやを召喚するわをしているので、あれって個人契約雇用という形になるんじゃないだろうか。なので、中ボスじゃなくて直のボスにあたるんじゃなかろうか。
というか、そもそも魔王軍自体が運営どうなってるかわからないし、それどころか魔王を子会社出向社長として派遣してたみたいな親会社みたいな「塔」があんなふうになっちゃってるのを見ると、各ダンジョンの運営って各地で独立してやってる現状になってるのかしらこれ。給料とかどこから来てるの? 有給ってどこに申請して受け付けてもらってるの? とかわりとどうでもいいところが気になってきたぞ。
後輩チャンの言い草じゃないけれど、ナルゴアくん中ボスやってる場合じゃないんじゃないだろうか。既に、ラストの展開なんて実質2つのダンジョンを指揮下においての共同作戦みたいなものですしね。上役がいなくなった中ボスなんて、さながら群雄割拠の独立君主とか軍閥の長とかみたいなもんだし、さてこのまま中ボスなんて規模でやっていけるのか。ラストの不穏な世界情勢も相まって、続きも期待でありまする。