【灰と幻想のグリムガル level.13 心、ひらけ、新たなる扉】 十文字青/白井鋭利  オーバーラップ文庫

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「もっと強くなりたいって、思っててなあ!」
パーティを離れる決意をしたユメを残し、海賊の島を去ったハルヒロたちは、自由都市ヴェーレへ。怪しげな貿易商人ケジマンの隊商を護衛しがてら、未だ遠いオルタナを目指すことに。旅は意外と順調。と思った矢先、数々の伝説に彩られた『レスリーキャンプ』…かもしれない巨大なテントに遭遇する。運命の悪戯か、その中へと足を踏み入れてしまい―!?
「ハルヒロ。…ようこそパラノへ」
雨合羽をまとった謎の人物に誘われ、他界パラノでの魔訶不思議な冒険が始まる!!
セトラ、孤立まではしていないのだけれど未だにパーティーと打ち解けられているとは言えない状況で、やはり彼女なりに疎外感は感じていたのか。そういうの気にしない娘だと思っていたのだけれど、そもそも故郷でも孤立していたんでしたっけ。むしろ人間関係の距離感には敏感な方なのかもしれない。
とは言え、自分から積極的に絡んでくるよりはそれとなく距離を置いて自分を守る方にも見えるし、今のパーティーの女性陣、シホルとメリィはその手のコミュニケーションについては下手くそな方で自然受身な方なので、しばらくこの問題は解決できないかもしれない。ただでさえ、恋愛問題も絡んでいるわけだし。これ、ユメが一時離脱してしまったの戦力的なものも大きいけれど、それ以上にムードメーカーだったユメが離れてしまうというのはパーティーの雰囲気的にも結構キツイものがあるのかもしれない。
今更、ハルヒロ、クザク、シホル、メリィの古参の四人の信頼関係が崩れることはないだろうけれど、セトラとの橋渡しという意味でもユメの存在は居てくれると助かったんだけれど。
ただ、ユメとの別れを噛みしめるシホルとメリィの二人の醸し出すしっとりとした雰囲気は、何とも言えない蠱惑的な空気感が……。
しかし、今回ひたすらにヒロインしていたのって、実は女性陣じゃなくてクザクだったんじゃないだろうか。この後輩、毎度ながら健気すぎる上にハルヒロのこと好きすぎやしないだろうか。ハルヒロとお互いピンチになるたびに血相変えて必死に助け合う様子はもうイチャイチャしてるんじゃないか、と思えてくるほど。いやもう、ハルヒロがこの後輩のこと可愛くて仕方ないのはわかるし、クザクもハルヒロの頼りになる所なんぞを慕いまくっててその癖危なっかしいのが心配で仕方ない、と思ってるのもわかるんですよ。ギスギスしているより仲いい方が全然いいことなのである。
でもまあ、それだけ元から居る四人が仲良すぎるおかげで、セトラが疎外感感じてしまうのもわかるんだよなあ。既に結構長い巻数同じパーティーの仲間になっているんだから、そろそろ馴染んでほしいところである。
という風にセトラの件やユメが離脱してしまった影響、メリィが抱えている人格混在の問題、お互いに好意を抱いている事が伝わってしまっているハルヒロとメリィの関係など、まだまだパーティー内で煮詰めるべき諸問題が山積みにも関わらず……また、離れ離れになってしまうのか。
それも、またグリムガルから離れた異世界である。それも、相当に認知そのものが歪んでしまっているパラノという世界に。どちらかというと、精神世界に近い変な世界で今までより更に自分自身を向き合わなければならない状況に陥ってしまっているけれど、正直言ってしまうといちいち寄り道が多すぎて、本当ならグリムガルでの冒険が見たかった身とするとちょっとげんなりとしてしまったのも確か。特にメリィの問題は喫緊のもので早い所なんとかしないと危険な代物だろうに、随分と放置して引っ張ってしまっているし。このパラノという精神世界みたいなところだからこそ、メリィの問題の解決に繋がる要素があるのかもしれないけれど、それならそれでなるべくサクサクっと片付けてほしくはある。
それに、どうやらハルヒロたちがグリムガルというこの世界に元の世界の記憶を消されて送り込まれてきた原因、少なくともそれに関わる情報についてこのパラノでちょっと明らかになりそうな気配もあるし。どうやら、パラノに元からいる連中はグリムガルを経ずにそのまま現実世界から迷い込んできたみたいな節があるのは気になるところだけれど。

それはそれとして、すごいエッチになってしまったシホルさんが大変なことになってて、実に大変である!(楽しい
そんなシホルと二人きりになってしまったクザク、頑張れ。色んな意味で頑張ってしまえ!

シリーズ感想