【素直になれたら廃ゲーマーな妹でもかまってくれますか?】 落合 祐輔/ 竹花 ノート 講談社ラノベ文庫

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「妹のブ、ブ、ブラ持ってニヤニヤしないでよ、へんたい!」
俺と妹・二美の日常はだいたいいつもこんな感じだ。昔は一緒にゲームしたりと仲も良かったんだが、いわゆる思春期的なころから気まずい関係が続いていた。なかなか解決策もないまま趣味のネトゲに没頭する毎日な俺。それでも、ゲームを通じて学年一の美少女・真木穂乃香と仲良くなれたし、ゲーム内でもライバルギルドのマスターにして超絶ブラコンなヴィオレットをはじめとする、愉快な仲間たちと楽しく過ごせている。
それがせめてもの救いか……と思っていたら。ある日、俺はヴィオレットのプレイヤーの正体を知ってしまい……!?
素直になれないポンコツ妹との学園ラブコメ!

うわぁ、この妹は確かに面倒くさい。兄に対して素直になれないのは兎も角としても、肝心な時に視野狭窄になって独りよがりな行動に出てしまうところは本当に痛い。それで、味方になってくれる人を自分から突き放してしまっている。自分から望んで孤高であろうとしているならまだいいのだけれど、本人にはそんなつもりがないのも辛いなあ。
この娘に友達が殆どいないのも、ゲーム好きで周りと話が合わない、というだけではないのが見て取れる。
だからこそ、絶対的な味方になってくれているサブマスターやリアルの親友は本当に大事にしなきゃなんないのにね。性格というのはなかなか変えがたいものだし、二人……穂乃香と裕子も二美がそういう娘だと判った上で汲んでくれている娘たちだけに、二美には是非彼女たちに与えてもらったものを返せるように頑張ってほしいし、彼女たちの絶対的な味方で居てほしいものであります。

というかね、この作品で面白い部分って兄と妹の仲直りという面よりも、妹のギルドのサブマスターがゲーム仲間で仲の良い美少女クラスメイトであり、また自分のギルドの右腕であるサブマスターが、妹の親友の後輩だった、という妹と錯綜する形で二人の女の子がヒロインとして確立している、というところなんですよね。そんな二人が、妹との仲を取り持つために色々と尽力してくれる間にもともと仲の良かった穂乃香とは、妹を支えるサブマスということから余計に親密になり、また自分のサブマスもオフ会で実は妹の唯一のリアルの親友であることがわかって、リアル側で妹との間を取り持ってもらうためにリアルでも接触するようになり、と二人の女性とプライベートで親密になってしまうのであります。なかなか面白い錯綜した関係であり、距離感の縮まり方なんですよね。
肝心の妹の二美は、現在は疎遠になりながらも本当は兄大好きな重度のブラコン、なわけですけれど、あくまでこの子のブラコンは常識の範疇のブラコンであって、普通に兄妹愛なんですよね。そりゃ、兄に恋人とか出来たらへそを曲げそうなくらいには重度のブラコンなのでしょうけれど、その相手が穂乃香や裕子であるなら邪魔はしないし、むしろ応援するんじゃなかろうか、というくらいには健全なタイプのブラコンなのであります。
まあ、問題はどっちを応援するか、になるんでしょうけれど。ギルドで自分をずっと支え未熟な自分を守ってくれていた年上な尊敬できる女性である穂乃香と、リアルで唯一の友達として自分とずっと一緒にいてくれた親友の裕子。まさに板挟みである。
とはいえ、本巻では兄と妹の関係の修復に話が終始していて、兄の女性関係についてはほんのりと芽が出始めている気配を匂わせている程度なので、二美の立場上の問題が浮上しているわけではないのだけれど、続くとするならさてどういう話になるものかしら。