【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 9】 手島史詞/COMTA  HJ文庫

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“魔王”シアカーンの情報を得るため、そして黒花の治療で自分に不安を抱くネフィを元気づけるため、ネフィとオリアスを引き合わせる決心をするザガン。しかし当のオリアスは「アザゼルの杖を回収する」というメッセージを残して姿を消していた。二人はオリアスを追うため聖都へ向かうことになったが、そこは教会の総本部。無用な衝突を避けるため、二人は新婚夫婦に成りすますことになるが―。大人気ラブコメファンタジー絶好調の第9巻!

新婚夫婦に成りすます、って実際新婚夫婦同然じゃないですかー。ザガンも半ば新婚旅行のつもりだし。とは言え、一応正体を隠すというか名前で呼び合って正体をバラすのは拙かろう、ということでお互い「おまえ」「あなた」と呼び合おうと決めあって、呼んでみたら二人で悶絶してる姿ときたら、もうなんかたまんねー。ゴメリばあちゃん、ほんとに肝心の愛でどころで居ないよなあ、この人。まあゴメリの目がないからこそ普段以上にイチャイチャしてるというのもあるんだろうけど。
それに、ネフィの「あなた」は確かに凶悪過ぎるw ザガンの「おまえ」の方もこれ、ネフィとしてはスマッシュヒットだったんだろうな、というのが想像できてしまって、なんともはや。ネフィが呻きながら悶絶してひっくり返ってるシーンとか、滅多無いぞw
ともあれ、シアカーンの情報とあと内緒でネフィとその母であるオリアスを会わせるために聖騎士たちの本拠地聖都へとネフィと二人で赴くことになったザガンだけれど、敵地という意識まったくなくて完全に観光気分なんですよねー。目的の方も聖都に辿り着く前にある程度目処が立ってしまいましたし。なので、最近家族や身内が増えて城でも二人きりというのを満喫出来なかった分、久々のネフィと二人きりという状況を二人して心から楽しむことに。いや、一応執事長のラーファエルも同行してたんだけど、彼は出しゃばってこず執事に徹しているので気分としては二人きりだったんですなあ。途中から別行動になってますし。
しかし、元聖騎士長の一人だったラーファエル死んだことになってるのに教会の本拠地に戻って大丈夫なんか、と思ったら図らずも招集によって12人の聖騎士長が全員集結することに。
ここで、聖騎士長全員がお披露目かー。とはいえ、少なくない数がラーファエルの人生も大きく変える事になった某事件によって代替わりして、シャスティルより若い連中が聖剣の所有者になってたのか。もちろん、シャスティルと違って一人を除いてまだまともに戦力になるような状態じゃないときた。
いやあ、教会の聖騎士たちというから当然宗教関係者だし、魔王死スべし慈悲はない、というのがモットーな連中なわけですから、当たり前のように話が通じない狂信者めいたのが多くを占めているのかと思ってたんですよね。シャスティルが主導する事になった共生派は少数派でシャスティル孤立している、という話でしたしねー。
しかし、話してみるとまあ立場の違いやこれまでの経験もあって頑なだったり頭固いところも見受けられるものの、ほぼみんな理性的でちゃんと話が通じる相手だったのは望外のことでした……。
それ以前に、教会の中に魔王側の勢力食い込みすぎじゃね!? と思う所もありましたけどね! ラーファエルは今は魔王ザガンの一の腹心。シャスティルは共生派で同盟者でほぼ家族同然。聖騎士長の中でも最強と謳われているミヒャエルときたら実は魔王の一人だったりするし、オマケにザガンのお姉ちゃんなステラは本人も知らん間にミヒャエルの連れられて聖騎士やってて聖剣の継承候補までなっちゃったし、聖騎士たちに対魔術師用の武具を供給しているという伝説の技師オベロンときたら……。教会に魔王ウロウロしすぎ問題w
しかし、教会がここまで頑なではなく聞く耳持ってる、以上にわりとちゃんと和解できそうとなるとシャスティルの頑張りもあるけれど、ほんとに教会は敵役という役回りではないのか。
教会本拠の方は敢然と敵役ムーブしてくるものか、とも思ってたんですがミヒャエルだけでも相当なのに、オベロンさんの立ち位置が聖騎士たちが総力を上げて守護すべき存在、なんてもんに収まってるとなったらそりゃ敵対とか話にもならんよなあ。
それに、何だかんだと聖騎士長の主要なメンバーはなかなか気持ちの良い面々が多いですしね。少年騎士団長なギニアスくん、まだまだ未熟とはいえその心映えは立派だしいい子だし、ザガンの事を怒らせてしまいましたけど、あれはザガンが図星突かれてという面もあるので、バルバロスが言い負かされやがったー、と嘲笑ってたように一矢報いた、と言えなくもないんですよね。魔王とバレる前は何だかんだとザガンの事尊敬して目をキラキラさせていた風でもあるだけに、まだ今後も絡んで来そうだなあ。どういう関わりになるかわからないけど、ギニアスくんは伸びそう。
……そう言えば、フォルのお相手に関して、ラーファエルとザガンという最恐の二人の保護者による娘を欲しくば自分を倒してからにしろ、という前人未到の壁がそびえている、みたいな話が今回持ち上がっていましたけれど、ギニアスくんくらいなら候補になっても頑張れそうじゃね?

さて、現在進行系で娘にちょっかい出すやつは殺す、をラーファエルから凄まじいプレッシャーと共に実行されてしまってるシャックスくん。こいつ、ほんとに察し悪いくせにラーファエルいる場面で煽るように黒花とイチャイチャするんだよなあ。察しが悪いくせにすごく丁寧に黒花のこと女の子扱いしてお姫様のように接するんですよねえ。おまけに、察し悪いもんだからたびたび黒花の方から積極的にアプローチするはめになるし。黒花ってそのへん奥手っぽく見えるんだけれど黒花の方から押さないとシャックスってば暖簾に腕押しというかフラフラとどっか行っちゃう卦があるんで、黒花の方から捕まえに行かないといけない感じになってしまうもんだから、思いの外イチャイチャしてしまうスパイラル。
もう一つのカップルな、シャスティルとバルバロスの方はというと、バルバロスってあれで結構マメなんですよね。なんであの展開でシャスティルの好みとかプレゼントなにあげたら喜ぶか、の情報収集になるのかわからんのだけど、ちゃんと好きな女の子の好みを把握しようとしたり、プレゼントあげようと思ったりとか、実は無知なザガンなんかよりも女の子の扱い方を把握してるんじゃないだろうか、こいつ。ただ、ザガンよりもツンデレ激しい奴でもあるので、ついつい憎まれ口叩いちゃうんですよねえ、バルバロス。でも、その本意を間違えずにちゃんとわかってくれるシャスティルが理解あるカノジョすぎて、なんだかんだとお似合いすぎるカップルになってしまって、もう。
まあ、女子力ならぬ男子力が一番あふれてるのって、キメリエスだと思うんですけどね。特典小説での、あの大迷惑なゴメリばあちゃんの世話を焼きつつ、包容力あるところを余す所なく見せつけてくれるキメリエスさん、器が大きすぎるw

さて、目的の一つだったアザゼルの杖。なんか予想外というか、え?それなの!? というものだったんだけど、これ重要なキーアイテムなんだろうか。持ち主だったオリアスも、なんかそこまで大変なものとは思ってないみたいだし。
ザガンの浮浪児時代の兄貴分であるマルクの謎。世界がどうやら本来あるよりも小さく閉じ込められている、という話。そして、アルシエラが抱えている秘密。先代魔王のマルコシアスの怪しい足跡。最後に匂わされたザガンの両親の話。色々と核心へと近づくための伏線が、今回も色々と散りばめられていて面白くなってきた。
どうやら聖騎士たちも味方側みたいだし、一体何が待ち受けているのだろう。

シリーズ感想