【友達の妹が俺にだけウザい】 三河ごーすと/トマリ  GA文庫

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馴れ合い無用、彼女不要、友達は真に価値ある1人だけ。青春の一切を「非効率」と切って捨てる俺・大星明照の部屋に入り浸るやつがいる。妹でも友達でもない。ウザさ極まる面倒な後輩。親友の妹、小日向彩羽。「セーンパイ、デートしよーっ!…とか言われると思いましたー?」血管にエナジードリンクが流れてそうなコイツは、ベッドを占拠したり、寸止め色仕掛けをしてきたりと、やたらと俺にウザ絡みしてきやがる。なのに、どいつもこいつも羨ましそうに見てくるのはどういうワケだ?と思ったら彩羽のやつ、外では明るく清楚な優等生として大人気らしい。おいおい…だったら、どうしてお前は俺にだけウザいんだよ。

俺にだけウザい、って相手選んでるということなのでもろに甘えに掛かってる、ウザ絡みしても大丈夫だと思われているという意味で特別扱いなのだけれど、絡まれている方からするとたまったもんじゃあないのか。
ただ明照の場合は絡まれても本気で困ったり振り回されたりするのではなく、大抵上から頭抑える感じであしらっているので、彩羽の方も安心感があると思うんですよね。でっかい大型犬にちっこいワンコやにゃんこがじゃれつくのと、小動物にライオンだの熊みたいなのが無邪気にじゃれついてしまうのとではエライ違いがありますし。
そもそもこの主人公、包容力がそもそも桁違いですからねえ。効率厨なんて自分でうたってますけれど、こいつ切り捨てて回る方じゃなくて切り捨てられたものを拾って回ってる方じゃないですか。
その意味では省エネ型の最小単位で最低限の効果を確保するタイプの効率重視じゃなくて、どこにエネルギーを集中投入すれば最大効果を発揮するかを模索するタイプのエネルギッシュな効率厨なんですよね。だから、根っこの所に秘めている熱量は半端ないことになっている。
彼に手を差し伸べられた五階同盟の連中というのは誰も彼もが、自分の能力を環境のせいで上手く仕えずに燻っていたものばかり。ある意味才能を溝に捨てていた、或いは自分のやりたいことをうまくやれずにいた非効率の極みばかり。そんな彼らに手を差し伸べられてやりたいことを好きなだけやれる場を、環境を創り出そうとしているのがこの主人公明照なわけだ。これが熱い男でなくてなんなのか。
まだ高校生の段階で、ゲームづくりで実績を作って伯父の会社というコネ絡みだけどこれを思いっきり活用して、自分たちの創作の場をプロとして雇ってもらおうなんて企画まで持ち込んでいるわけだから並ではありません。
あの伯父さんの方も、引きこもってる娘を彼に預けるなんて真似するあたりこの甥っ子の特性を見抜いてるようでなかなか半端ない人だよなあ、と。その娘の真白の方はというとまた彩羽とは違う形でこじらせちゃってるウザ対応の娘で。なんか彼女もお兄ちゃんいるみたいなんだけど、彼女も妹がウザい枠だったんだろうか。彩羽と違って彼女の場合は拒絶なのでウザ絡みとは違うのだけれど。ってか、真白からすると今回は明照のしつこさの方がウザかったんじゃなかろうか。わりと熱血な絡み方してきてたしなあ。まあ、真白の場合は自ら望んで彼の所に飛び込んでいったわけですし、五階同盟としても深く関わりがあったわけで、拒否ってた態度自体が面倒臭さ極まってたわけですけれど。
まあ、その拒否ってた部分が解消されたら一挙に飛び越えるところは飛び越えてしまってもおかしくはなかったのか。
彩羽もこれ、甘えてウザ絡みしてる場合じゃ全然ないと思うんだけれど。余裕ぶっこいてる段階じゃないぞ。
しかし、ちょっと残念だったのは肝心の兄妹である乙馬と彩羽の二人にあんまり絡みなかったところですか。普通に仲の良い方の兄妹だと思うんだけれど、接触自体あんまないんですよね。彩羽が明照にばっかりじゃれついているから、というのもあるんだろうけれど。二人とも過去に色々あったわけですし、もうちょい兄妹らしいところが見たかったなあ、と。タイトルからして友達の妹が、というところを強調しているわけですし。

三河ごーすと作品感想