【エロマンガ先生 10.千寿ムラマサと恋の文化祭】 伏見 つかさ/かんざき ひろ  電撃文庫

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「兄さん……一緒に、寝てもいい?」
紗霧との甘い日々を過ごしていたマサムネは、ムラマサの父・麟太郎に呼び出される。千寿ムラマサのえっちすぎる新作小説が大騒動を巻き起こす!
秋――『青春の思い出』を作るため、ムラマサの通う女子校の文化祭に赴いたマサムネたち。
「兄さん! お嬢様の群れをジックリと観察したい!」
「クラスの人気者ですよ、花ちゃんは」
「千寿ムラマサ先生は文芸部の神です」
コスプレ喫茶に占いの館、エルフのミスコン出場などなど、文化祭を巡るうち、謎に包まれていた梅園花の学生生活が明かされていく。そして運命の後夜祭へ……。
えー、千寿ムラマサ先生ってそんな娘じゃなかっただろう。初登場した時のギラギラしたこの娘は、そんな社交性なんて微塵も持たない娘だったじゃないか。だからこそ、尋常ではなく尖っていたじゃないか。一途で一心不乱だったじゃないか。そういう余分のない娘だからこそ、エルフの対比なり得る娘だったんじゃないのか。
今回の文化祭を通じて今まで知らなかったムラマサ先輩の新たな一面、マサムネたちが知らなかった側面、梅園花という少女は果たして彼女のさらなる魅力となり得るのだろうか。どうしても、後付の設定に見えてしまうんですよね。これまでもちょっとずつムラマサ先輩の素顔や心根というものは、これまでの付き合い、遊んだり遊んだり勝負したり遊んだり、という中で見せてきてくれていて、それはそれで彼女というキャラの身になり実となって積み重なっていったと思うのだけれど、今回のそれは唐突感が否めなくて、果たして千寿ムラマサというキャラとマッチしていたかというとどうしても剥離している感覚が否めなかったのである。
一方で彼女の恋愛観の独特さ、或いは自己中心的なところは実にムラマサ先輩らしくて、そうらしかったんですよね。
紗霧のことはちゃんと友達として認識していた大事にしているし、彼女とマサムネが付き合い出したという現実も理解していながら、紗霧のことは実際は眼中になくてムラマサ先輩の恋愛は常にマサムネと一対一、彼が振り向いてくれるか否か、というところに局限されているところなんぞ特に、色んな意味で視野が限定されていて、だからこそ集中が半端なく深淵のような深みまで掘り下げられている、という強みが醸し出されているのである。
でも花ちゃん、紗霧はあんまり眼中にないけれどエルフだけは目に入ってる気がするんですよね。というか、エルフだけがライバル認定されているというべきか。
同時に、花ちゃんの限界が見えたともいうべき話でもあったように思います。ヒロインとしてどうしてもここまでだった、と。彼女たちの中では何も終わっていない途中の話だったかも知れませんけれど、作品としてはある程度の決着はついてしまったかもな、というムラマサ先輩討ち死に編でした。
やっぱり、最強はエルフだよなあ。

シリーズ感想