【幼なじみが絶対に負けないラブコメ 2】 二丸 修一/しぐれうい  電撃文庫

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幼なじみはやっぱり負けない!? まだまだ続く予測不能なヒロインレース!

幼なじみの黒羽に告白し、見事玉砕した俺。死にたい。フラれるってこんなに辛かったのか……っていうか、あそこまでいったら普通OKするだろ! 笑顔で「ヤダ!」ってなんだよ! マジで女子の気持ちわかんねー。でもまてよ、白草は俺のことが好きなんだよな……今ならイケる……?のか……いやいやいや、ダメでしょ。もしまたフラれたらと思うと怖すぎるし。
そんなモヤモヤ爆発の俺のもとに、子役時代の後輩にして理想の妹、桃坂真理愛が襲来! 玄関開けたら1秒で「おかえりなさいお兄ちゃん!!」っていったいどこのラブコメだよ!?
末晴に芸能界復帰の話が持ち上がり、ヒロインたちの思惑が交差する、先の読めないヒロインレース第2弾!

まさかの記憶喪失によって、シッチャカメッチャカになってしまった末晴との関係を一旦リセットしようとする黒羽に、そんな強引ででたらめな話が通じるはずないだろうがーー! と思ったら通じたよ、末晴信じちゃったよ!
うん、そうだよね。そういえば、こいつこの主人公、バカだった。びっくりするくらいバカだった。
さすが黒羽、幼馴染のことよく分かってる。他の人には絶対に信じてもらえないだろう、一連のドタバタ全部忘れちゃいました、なんて話を臆面もなく堂々と押し切る面の皮が厚さたるや。
これで、ほんとに告白を思わずバッサリ公衆の面前でぶった切ってしまった、という大失態をなかった事にしてしまったんだから、大したものである。実際、末晴ってば完全にあれがトラウマになっててクロに対してまともに受け答えできないどころか、野生化してしまうほど精神的外傷を負ってしまっていて、正直あそこから二人の関係取り返すこと難しいというところまでいってましたからね。だいたい、あそこまでキッパリ振っておきながら、やっぱりなし、ほんとは好き、とか出来るわけないじゃん、という意味でももう取り返しつかない状態だったのをなんとかゼロベースまで戻してしまったのですから、よくぞまあ。
それに比べて、シロの方ですよ。いやあんた、あそこまで圧倒的な優位を得ていながらどうして巻き返せなかったw いやまあ、あれ何気にシロもばっさり振られてる場面だったわけで、それ以上に末晴がひどい振られ方したのであんまり目立ってなかったですけれど、好きだったと過去形にされてしまったんですから、まあきっついことはきついのですけれど、でもほんのちょっと前までは自分のこと好きだったのは確かですし、ほんといいところまでは行ってたんですから、巻き返しには十分だったんですよね。
実際、あれ言い間違いにせずに、付き合ってください発言そのまま押し切ってたらそこでゴールテープ切れてたんじゃないか?
ところが、シロってば自分の脚本で末晴に演じてもらうという夢を目先で人参よろしく釣られて、それに夢中になってしまったおかげで、いつの間にか圧倒的アドバンテージを失ってしまっていることに。シロ自身、気づいてないっぽいし。これ、クロが負ける気しねえ、と言ってるのもわかる気がする。この娘、相手に意味深に捉えられている間はいいけれど、真正面から向き合うとどうしてもポンコツで足元が定まらない子だ。肝心の部分を見逃してしまう子だ。
その意味では、目的を達成するためには手段を問わない、という以前にどう転んでも目的を達成する道筋を立ててしまっている「理想の妹」こと桃坂真理愛の方がヤバそう。ただ彼女の場合まだ演者・末晴に執着はあっても男の子としての彼にはまだそれほど意識を持っていかれていないこと。末晴の方がまったく真理愛の事を異性として意識していない、という点が大きなハードルとして横たわっている。のだけれど、そういう異性への意識というのがあっさりとひっくり返ってしまうというのはすでに一巻で末晴自身が証明してしまっているのだから、ハードルではあっても壁ではないんだよなあ。

とはいえ、本作この第2巻。序盤早々からら話が末晴の芸能界復帰問題の方へと比重が傾き、彼ら若人が青春をどう過ごすか、みたいな話になっていくんですよね。ラブコメはどうした!?
いや、青春劇が繰り広げられるのはいいんですけれど、ちょっと方向転換しすぎじゃないですかね? ラブコメはどうした!?
クロがやらかしてしまった分、それを一旦リセットして人間関係整理しなおさないとラブコメ再開できない、というのもあって、この2巻はそのための仕切り直しの回、とも取れるのですけれど、さすがにあのCM勝負の話は記憶喪失以上に強引だったんじゃないでしょうか。いや、なんでそうなるの?という感覚でしたし。
そして、一巻での最大の見どころだった、幼馴染同士でのあの駆け引き。心理戦というべきか、あの末晴もクロもシロも全員がむき出しにしていた、人間としての醜さ、卑小さ、器の小ささ、人としてちっちゃすぎるという暗黒面の拗らせっぷりが、今回は殆ど見受けられなかったんですよね。
あのエゴむき出しのぶつかり合いがとてつもなく面白くて、あの人間のちっちゃさが彼らをとても愛しく感じさせてくれるコメディ要素だったのですが、そういう心の引っ張り合いがあんまり見られなくて個人的には盛り上がりにかけてしまったのでした。あの芸能事務所の社長のろくでなしさは、笑いどころも可愛げもないただのゲスでしかなかったですし。
次回こそは、仕切り直しも済んだところでもう一回ちゃんとラブコメを見せてほしいなあ、というところでした。

1巻感想