【わたしの知らない、先輩の100コのこと 1】 兎谷 あおい/ ふーみ MF文庫J

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わたし、せんぱいのこと知りたいです。1日1問ずつ――教えてくれますか?

“最寄り駅が同じ”以外接点がなく、毎朝顔を合わせるだけだった先輩と後輩。そんな二人がある日、約束を交わしました。その内容は『1日1問だけ、どんな質問にも絶対正直に答える』というもの。
「わたしはせんぱいのことが知りたいですし、せんぱいも知らないことを知るのが好き。だからお互い、1日1問ずつ──100コの質問をできることにしましょう」
これは、1日1問ずつお互いの距離を縮めていく、二人のお話――早く付き合っちゃえよ!と思わず言いたくなる、Web発のイチャイチャ青春ラブコメ、待望の書籍化でお届けしちゃいます!

たまたま話すようになって仲良くなっていく、というのじゃなくて後輩ちゃんの真春からグイグイとアプローチしかけてきたのか。慶太が落とし物をしたから、というきっかけはあったにしても真春の側は話しかける機会を伺っていたわけですからね。
しかし、最初の頃は慶太のほうがあんまり気乗りしなかったようであんまり愛想もなかったのだけれど、顔見知り程度とは言っても女の子が話しかけてきているにも関わらず、適当にあしらって本を読もうとする慶太先輩、何気に古強者である。明らかに面倒だな、と思われてる態度を取られているにも関わらず、めげない真春が凄いと言えば凄いのですけれど。普通は腰が引けてしまうものだけれど、そもそもこうやって仲良くなろうと話しかけるというだけで勇気がいるものです。こればっかりはいくらコミュ力があっても、一つのハードルではあるんですよね。ホントに気にしないのなら、落とし物なんてきっかけ必要とせずに無造作に近づいてきて話しかけてくるでしょうし。
まあハードルがあっても彼女にとっては低いものだったのかもしれませんが。あのグイグイくる性格を考えるとねえ。
ただ自分でもそのグイグイ行き過ぎる性格、或いは特性については思うところがあったのかもしれません。あとで元カレだった子から、真春の性格については忠告と助言をもらうのですけれど彼女自身が自覚あったからこそ、あんな『1日1問だけ』なんて制約をつけたのではないでしょうか。
あれ、慶太には応対を強いる約束になっていますけれど、真春からすると一日に一問だけ、という制限をつける約束になってますものね。
焦らずじっくりと。
何気ない日常会話から浮かび上がってくる慶太と真春の共通点は知りたがり、という事。慶太のそれは、なんでもかんでも、というがっつくようなそれではないのだけれど、結構知的好奇心を擽られる所には食いついてるんですよね。そこらへんを早々に見抜いて謎解きゲームのイベントにデートで誘う真春の眼力は大したものなんですが、それだけよく観察している、観察して分析している、慶太先輩のことをずっと考えてる、って事なんでしょうねえ、これ。知る、というのは直接相手からプロフィールを聞くだけじゃない、というのがこの娘のこれまでの反省の結果、なんでしょうか。
そして、そんな彼女の姿勢、スタイルは慶太に米山真春という小悪魔めいた後輩への興味と好奇心、この娘は一体何なんだろう、という知りたいという気持ちを掻き立てることになっている。
なるほど、噛み合ってるんだろうなあ。
無理やり休日に連れ出したり、いきなりアポ無しで家に押しかけたり。真春の行動って一歩間違えると相手からウザがられる結構危なっかしいものでもあるんですよね。慶太という男は決してそのあたりのプライベートスペースが広いタイプにも見えないし、拒絶はきっぱりする方に見えるし。
果たして、そのギリギリのラインを彼女が見極めていたかどうか怪しい所ではあるのですけれど、慶太の真春への好感度の上がり具合と彼女の側の踏み込む範囲がちょうど以上に釣り合っていた、噛み合っていたのは確かなのでしょう。こういうの、まさに順調な交際へと至る道だよなあ、と感心してしまうくらいに。通学中のあのイチャイチャなんぞ、傍目にはどう見ても付き合ってるようにしか見えなくて少々目に毒でありましょう。同時に、学生時代ならではの恋愛模様、という風情もあって妙な感慨もあるんですよね。果たして、これは大人になっても継続するようなものなんだろうか、と。まあまだ付き合ってもいない今から心配することでもないでしょうけれどね。