【そして黄昏の終末世界<トワイライト>2】 樋辻臥命/夕薙 オーバーラップ文庫

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シスカ社へ潜入し、信頼を勝ち取れ!

東雲冬夜は『刻の黄昏』に巻き込まれ、如月御姫と共に魔人『ペイガン』を退けた。
そして冬夜は、御姫が発症した吸精病を隠しつつ、シスカ日本支社の終末化特別対策室の面々と接触を果たす。
そこでクラスメイトの古道いつきも対策室に所属していることが判明。
自身の目的と御姫の発症を隠し通すために、対策室への加入を申し出た冬夜は、御姫と同じ第一隊へ編入されることに。
すぐに非凡な力を示し始める冬夜だが、加入に納得できないといつきに勝負を挑まれてしまい――!?
「異世界魔法は遅れてる! 」に通ずる現代神秘ファンタジー、第2巻!

対策室に加入しようという冬夜の文言が、何も知らない一般人が正義感とか義侠心だけで突っ走ってる危なっかしい輩のそれとだいたい一緒になってしまっている件について。
いやいや、見過ごせない、自分に出来る事があるなら手伝いたい、って無知で自分が置かれている現況をちゃんと理解していない思い込みの激しい男の子が言うとこっ恥ずかしいくらい青い主張なんですけど、冬夜ってばこれ自覚して言ってるのかしら。対策室の人から見たら、まんまこれなんですよね。一瞬みんな何言ってんだこいつ、となるのも無理はないでしょう。
いつきが後々まで突っかかってくるのって、冬夜という人間の実情と傍から見た時の齟齬から来てるとも取れるんですよね。
冬夜としては、対策室に入るのは御姫の吸精病をカバーするためと、自分の仇がシスカ社にいるらしいのを調査するため、という確固とした理由がありつつそれを説明できないが故の表向きの理由という体であり、同時に本心も混じっているという主張なんだろうけど、上記の通り変に青い主張になっててしまってて、いやいやもう少しこう何か良い言い訳があったんじゃあ、とついつい苦笑してしまいました。
これ、作者側としてはわざとなんでしょうけどね。
本来ならド素人の一般人が色々やらかしてしまったり、または思わぬ才能を見せて云々という展開なのが、冬夜自身が『刻の黄昏』という現象にまつわる話は全く知らなかったものの、神秘に携わる側の人間でありなおかつ歴戦の騎士という来歴の持ち主であるために、定番の展開となるはずのところに妙なエッセンスが加わって常とは異なるノリと味わいの展開になってくんですよね。そのへんのギャップが妙に楽しくて。そういうところが狙い目だったのかな、と。
冬夜くんてば、自身がオリジナルのサクラメントを保有している事や出自なんかは隠そうとしているくせに、神秘側の人間であることとかサクラメントが使えることとか素人じゃないの、全然隠そうとしないんだもんなあ。素人だと思って採用したら一流のプロでした、てなもんだから上司の人たちが嬉しい悲鳴をあげるのもよくわかります。ただでさえ人員不足でのたうち回ってて、苦肉の策で自分売り込んできたやつ使ってみたら、バリバリ第一線のヤツだった、とか色んな意味でたまらんでしょうに。
戦場帰りとも知らずに素人が粋がって死ぬかも知れない戦場で戦う覚悟を問うてやる、とつっかかってくるいつきくんが、この場合的外れすぎてちょっとかわいそうですらあるんですが。
いや、いつきからすると冬夜はクラスメイトだし『刻の黄昏』についてなんにも知らないし、ド素人が粋がって、となるの当たり前じゃないですか。冬夜はあれ、どこか天然でわかってないところもあるので仕方ないかも知れないけど、御姫あたりが教えてあげたらいいのに、とか思ったのですが御姫は御姫で自分と冬夜の事で色々と一杯でそういう余裕なかったか。ポンコツと思い込みの強さという意味では、御姫は追随許さないことになってるからなあ。この女、エロ妄想が激しすぎる。
それでも、冬夜が自分を助けた事で自分が想像していた以上のものを背負い、責任を請け負う覚悟を持っていた事に気づいてしまったら、平静では居られなかったのでしょう。ただ命を助けた、吸精病の事を秘密にしてくれた、だけでは済まない事になってしまっていましたからね。
しかし、冬夜の方もこれだけ運命共同体として御姫に対して責任を請け負ってしまって大丈夫だったのだろうか。冒頭の回想にもあったように、彼もまた敵討ちという所業に正義ではなく業を背負ってしまってる。その果てにあるのは自分もまた仇討ちという名の殺戮の報いを受ける末路だという覚悟もしているわけだけれど、彼の死がそのまま御姫の死となってしまった中で粛々と報いを受け入れることが出来るのか。まあ、御姫の方は何があろうとどうなろうと、冬夜の報いに喜んで付き合うのだろうけど。
一日の時間が24時間から23時間になり、冬夜を除いて誰もがその事を忘れてしまっている、という設定、これが今後最重要のポイントとなりそう。秘跡狩りなど次回へ続く伏線もぶっこんできたし、立場も確立できたので次回以降ガンガン動いていきそう、楽しみ楽しみ。

1巻感想