【ロクでなし魔術講師と禁忌教典 15】 羊太郎 /三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「なんで!俺が!こいつらの総監督を務めにゃならんのよ!?」
帝国代表選抜会を終え、いよいよ迫る魔術祭典。何の因果か、総監督を務めることになったグレン。メイン・ウィザードを勝ち取ったシスティーナと訪れたのは自由都市ミラーノ!平和の祭典に相応しい地に足を踏み入れた帝国代表は、かつてない大舞台で各国代表と激突する!一方、この祭典を台無しにし、戦争をもたらそうとする刺客に気付いたグレンは、教え子たちの思いを守るため、自身も戦いに乗り出して…
「へっ!裏魔術祭典・大開催!ってわけだな」
天使と吸血鬼。芸術の都に高らかに悲劇の歌声は響く―。

ついに世界大会、というわけでなんか中東っぽい所とか日本っぽい所などからもゾクゾクと強豪が登場するのだけれど、本作の文明レベルってどれくらいでしたっけ? 飛行機でもないと、あんまり遠い国からは遠すぎて自国から目的地まで数ヶ月とか半年とか掛かっちゃいそうなんだけど、とどうでもいい所が心配になってしまった。いやこの世界の地理とかよくわかんないんですけどね、一応みんな北セルフォード大陸に存在する国になるのかしら。それなら、距離的にはそこまで離れていない? 密林国家とか砂漠の国とか日輪の国とかこれだけ環境や文化が異なっている国が各所に成り立っているというのは面白いものですけれど。
しかし、これだけ強力なメンツが各国に揃っているとなると、システィと同レベルの術士がもうひとりくらい居ても良かったんじゃないか、と思えてくる。具体的には、エレンの能力リセットしなくても良かったんじゃね? というくらいのレベルの高さで。ナンバー2のレヴィンがもうちょっとでも強かったらなあ。というか、通常彼くらいの力量でも学生レベルでは突出しているはずなんですけどね。あまりにシスティが強くなりすぎちゃってるんだよなあ。学生レベルどころか、実戦レベル、魔導士の一流という枠をすら逸脱しはじめている。
システィがもう現段階で特務分室のナンバーズに加入しても大丈夫なんじゃね? というレベルになっちゃってる件について。これが単なる才能ではなく、システィの不断の努力によるものだというのをこの長いシリーズを通じて、読んでいるこっちもよくわかっているだけになんかもう彼女がバリバリに活躍するたびに感慨深く感じてしまうんですよね。
とはいえ、なんの柵もなくシスティ自身が憧れていた魔術祭典に挑戦できれば御の字なんだけれど、政治的な思惑が介在し余計な妨害が色々と入り込むことに。帝国の代表選考会でも余計な茶々が入り続けていたこともありますから、ほんとシスティには思いっきりなんの憂いもなく試合に挑める環境を与えてやってほしいものですけれど、なかなかそうもいかないんだろうなあ。
それでも、何とかその願いを叶えるため、生徒たちを守るために裏で頑張るグレン先生とイヴ先生。こういう時にルミアが一緒に連れ回せるくらいに頼もしくなった、というのはこれまた彼女は彼女でシスティに負けずに成長してるのだなあ、と実感させられる。システィのように華々しい表舞台には立てない身の上ですけれど、献身的にグレンをサポートし続けるその姿はまさに内助の功。かつて、ただ守られるだけのお姫様だった頃と比べれば、その能力もさることながら荒事に一緒に連れて行ってもらえるくらいにはグレンから信頼もされているんですよねえ。
それにもまして、頼りになるイヴ先生。この人、ほんと実家のくびきから解き放たれて自由になった今、性格的にも能力的にも頼もしいなんてもんじゃなくなってまあ。グレンが度々、前のイヴと同一人物かこいつ? と真剣に首を傾げるくらいには化けてしまっているわけで。いやー、一年生のマリアいわくシスティはグレンの相棒みたいな、とか言ってましたけれど、現状だとイヴが相棒枠にどんと鎮座して不動の安定感なんだよなあ、これ。ここに割って入るのは結構厳しいぞ、システィ。
さて、長年帝国と敵対関係にあった宗教国家レザリア王国。一方的に敵、というわけではなく、その内側では帝国との融和派と敵対派が激しくしのぎを削っている様子で、むしろ意見が纏まっていない現状が先の展開を予想しづらくしてるんですよね。マリアがどうやら重要なポディションにいるみたいなんだけれど、それがどういう意味合いを持っているのか今の所まだ明らかになっていませんし。
そんでもって、例の正義の人も暗躍しているみたいだし、帝国も国内でイグナイト家が蠢動しているみたいだし、結構同時多発的にいろんな思惑があちらこちらで暗躍しているものだから、一筋縄ではいかない錯綜具合にもなっているんだなあ、これ。

帝国代表の生徒たち、なかなか個性的な面々が揃ったものでこれはこれでほんと面白いメンバーになってるんだけれど、ギイブルくんが実にクレバーな活躍をしていてこいつなかなか美味しいポディション確保してますな。

シリーズ感想