【友人キャラは大変ですか? 8】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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最後の【四凶】キュウキを討ち果たし、ついに名実ともに「歴代最高の主人公」になった火乃森龍牙。

俺こと小林一郎が友人キャラを務めるこの異能バトルストーリーも、いよいよグランドフィナーレか……なんて感慨深く思っていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。

キュウキの器・天涼院阿義斗が、謎の軍勢を率いて異界へと攻め込んできたのだ!
【ソロモンの後継者】などというよく分からない設定をひっさげて。

なにより問題なのは、四神ヒロインズのひとり、黒亀さんがなぜか敵将のひとりとなっていることだ。元気で陽気な拳法少女は、裏切りなんて言葉からは一番遠そうなのだが……。

なんだかなし崩し的に新章がはじまっちまったが、俺の役割りは変わらねぇ。
主人公・龍牙を友人として支えるだけだ!

――最強助演ラブコメ、新展開の第8弾!
亀さん亀さん黒亀さん、表紙まで飾っているのに今までと遜色ないくらい……出番ないじゃないですかー! これまで能天気で何も考えていないアーパーにしか見えなかった黒亀里菜という少女が誰にも、幼馴染のリュウガにも語ることが出来ずにずっと抱え込み、そして仲間を裏切りソロモンの使徒とならざるを得なかった深遠なる事情が明らかになって、里菜をメインにした物語がはじまるのだ、と思っていた頃の純粋な私に謝って!
いやまじでこいつ、何も考えてないじゃん! なんの事情も背景もないじゃん! ただ名字に黒がついてたから巻き込まれで操られてるだけじゃん! このカメはーっ。そして何気に宮本千鶴さんの方が出番も活躍もある、という始末。
しかし、ソロモンの72柱の悪魔たちって全員名字に黒がついてるみたいなんだけど、72種類も黒がつく名前あるの!? というかなんで白望義塾という学校にはそんな黒がついてる名前の人ばっかり集まってたの!?
そして全員の名前考えるのめんどい、とばかりに雑に片付けられていくソロモンの悪魔憑きたち。ほんとに第二期スタートのはずなのに、新たな敵勢力が雑魚すぎる件についてw
前シーズンの敵だった奈落の使徒たちにまるで太刀打ち出来てないし。ってか奈落の使徒たちってこうしてみるとちゃんと強いのね。あっちもこれまで結構雑にやっつけていたフシがあったのだけれどちゃんとやると強いのねー。そしていつの間にか奈落の使徒たちを率いてソロモンの悪魔たちをぶちのめしている雪宮さん。なんかナチュラルに我が軍とか言ってるぞこの娘。異界の城の玉座にナチュラルに座ってふんぞり返ってるぞこの娘。その身にトッコこと魔神トウコツを宿しているので資格はある、と言えばあるんだろうけどノリノリなの雪宮さん自身でトッコ全然表出てきてないじゃんw
まあ異界の奈落の使徒たちの城が攻められたと聞いた時に、激高してテンションあげあげで異界に戻っていった奈落の使徒たちと全く同じテンションで異界に乗り込んでいく蒼ヶ崎、雪宮、エルミーラの四神のお三方がおかしいんですけどね。あんたら直接関係ないのに、なんで奈落の使徒たちと一緒になって突撃していくんですかw

まあお陰で、というのもなんですがわりと久々に現世側では一郎と龍牙が二人きりに。と思ったらまさかのキュウキ復活、ってかこいつまで一郎くんの中の人になっちゃうんですか!? あれだけがっつり敵役悪役ムーブカマして派手に散った、という状況だったのでさすがに他のアホ魔神たちよろしく一郎の中に棲み着くのはあわないだろうな、と思ったらまさかのマスコットポジを確保するという。しかも、同じ裏で画策するストーリープランナー同士でなんだかんだと馬が合うというか性が合うというか、意気投合してますよこいつら? 兄弟めいたテッちゃんとはまた別の意味でようやく意見と価値観があう相棒が出来たような、小動物的な可愛さを全面に出したマスコットキャラが登場してしまったというか、何気に侮れない存在感だぞキュウキたん。こいつ、男だからショタなんだよなあ。でも確かに可愛い。

しかし、同じストーリープランナーなキュウキと話が盛り上がったお陰で、というのもなんだけどソロモンの後継者たちとの戦いという第二シーズンがはじまってしまって、一郎の新たなストーリープランが語られてたけど……やっぱり一郎の目指すヒーロー物の脚本ってどうも古臭いというか目新しさがないというか展開に新鮮さがないというか、お約束を踏襲しすぎててそれだと読者だか視聴者飽き飽きしちゃうんじゃないか、という手堅さなんですよね。水戸黄門ばりにかっちりしているというか。
だからうまく行かないんじゃないの?
ともあれ、現実は一郎くんの立てたプランのようにはいかず、ことごとくうまく行かないわけですけれど、一郎プランはいわゆるテンプレに沿った流れなだけにそれがうまく行かなくて破綻した、となるとことごとくテンプレから外れた、というか吹っ飛んだ展開になってしまう、というのがこのシリーズの特徴でもあり……。
ヴァッサーゴ戦の酷さ(いい意味で)は近年でも極まってましたよこれw いやヴァッサーゴ黒村くんが敵幹部クラスのくせに小物極めすぎてたのも悪いんですけどね! 一郎くんを上回る膀胱のゆるさ! でも一般人な宮本さんにこてんぱんにされてしまうまではまだあれだけど、あそこまでガチに人質放置な展開は初めて見たよw

どれだけ一郎が頑張っても真面目な雰囲気にならない中で、ひとりだけひたすらシリアスを貫いている第二期のラスボスとなったアギト。まあどれだけ格好つけていても龍牙にまったく相手にされていない、という点では一貫してるんだけどなあ。
とか敵側、ソロモンサイドとかもうどうでもよくなるくらいなラストのびっくりどっきり展開である。いや出てない奈落の使徒大幹部な八傑の二人。ほんとにただ忘れられてたのかと思ってたら、これはさすがに驚いたよ。ついに一郎自身の秘密が明らかになってしまうのか。なんも背景も事情もなかった黒亀さんじゃなくて、一郎の背景が明らかになってしまうのか。もうどうやったって友人キャラとか無理になってきたじゃないかw

そんな一郎が友人キャラを目指すようになった幼い頃の体験が、BOOK☆WALKERの電子書籍版購入特典な書き下ろしで描かれてたんですが、よくある2,3ページのSSと違って結構がっつり分量あったぞこれ。シズマも幼児のくせにやたらと大人びてるけれど、一郎も幼児だった頃おまえ何歳やねんとツッコミ入れたくなる七歳児だったんだな。あながちシズマとその辺似ているのも、ラストの展開からすると意味があるのかも知れないが。

さらっと語られてた、夜這いに来ようとして勇気でなくて毎回部屋の前で引き返しちゃう魅怨が可愛らしくて、やっぱり正妻ポジなヒロインがっつり掴んでますよねえ、これ。

シリーズ感想