【聖なる騎士の暗黒道 2】 坂石遊作 /へいろー HJ文庫

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学園に入学して一月、闇魔法を使いこなせないまま「暗黒騎士になる」と繰り返すセインは、周りから『暗黒馬鹿』と呼ばれ、教師にも見放される。
そんな折、闇魔法を得意とするダークエルフの美少女・マーニと出会ったセイン。
「どうか俺を弟子にしてくれないだろうか!?」と、教えを乞うが、人嫌いなマーニに冷たく断られてしまう。
それでも、諦める気のないセイン。その本気で暗黒騎士を目指す姿に次第にマーニも絆されていき……
コミカライズ開始で絶好調なアクションコメディ、第2弾!!

前巻でも散々褒め称えたけれど、主人公のセインくんが素敵な男の子すぎてもうキュンキュンしてしまう。
誠実さ、とは彼のような在り方をいうんでしょうね。ダークエルフのマーニに対して師匠になってくれ、と何度もお願いしにいくのですけれど、つきまとうような真似はしていないのですよ。自分の都合を押し付けて強要するような真似は決してせず、あくまで常識の範囲内でのアプローチであったのでマーニが心変わりしたのは、押し切られたのではなくセインの普段からの直向きさを度々目にしたからなのである。
どうしてもうまく使えない闇魔法を使いこなすために、不断の努力を続けて汗に塗れる姿からは彼がどれだけ闇魔法に対して本気で取り組んでいるのか、どれだけ真剣にそれを習得したいと考えているかが伝わってくる。信頼というものは簡単に得られるものではなく、だからこそセインから見えてくる日々欠かさない積み重ねが、滲み出てくる誠実さがマーニを動かしたのでありましょう。
そうやって培われた信頼というものは、簡単に揺らぐものではないんですよね。耳障りの良い言葉やちょっとした行動で動かされてしまった心は、ちょっとした不信であっさりと揺らいでしまう。
あれだけダークエルフに対する人種差別に傷つき、自分と親しくする事で敵意や害意が周りにも及ぶことを恐れて他人を遠ざける優しさを兼ね備えていたマーニが、他者を受け入れるというのは決して生半可な意志ではなかったはず。それだけの決断を促させるだけのものがセインにはあった、ということなんですよね。
またセインの正体がマーニにバレて、一瞬疑われかけた時も、すぐにセインの説明をちゃんと聞いてそれを信じてくれたのも、それだけしっかりとした信頼があったからこそ。彼の普段からの言動にはそれだけの重みと説得力があるのだ。
まだ12,3歳の若人にも関わらずこれだけの人間力を備えているのだから、ほんと大したものである。それだけ、聖騎士として働いてきた時に酸いも甘いも噛み分けなければならない修羅場をくぐり続けてきたという事なんだろうけど、面白いことにそれだけ実戦経験豊富で実際対応力は非常に優れているにも関わらず、聖騎士としての力が関係ない部分だと確かに戦闘の「技術」に関しては基礎的な所が培われていなくて、力任せな部分が垣間見えるんですよね。聖騎士の力を借り物だ、と常々セインくんが力説していた理由がようやくわかってきた。
でも、彼の努力家な一面はその基礎的な未熟さなどあっという間に克服してしまいそうな勢いでもあるんですよね。聖騎士としての力を封印し、一から修行しなおしているような状態の現在、もしかしたら聖騎士としても今、大幅な底上げが行われている真っ最中なのかもしれない。素の状態で歴代聖騎士でも最強と謳われてるのに、ね。
そんな努力は決して彼を裏切らず、聖騎士としての力が使えない場面でしっかりと彼を助けることになるのである。
しかし、ようやく彼が聖騎士をやめて暗黒騎士になろうとしている理由が明かされたのだけれど……うん、凄くセインくんらしい理由ではあるんだけれど、それって何気に従者となった娘さんたちに対してはなかなか厳しい選択になってしまうんじゃないだろうか。アリシアとか地味に告白までしているのに、納得しているんだろうか。それとも、セインくんの目的が叶えられるのって暗黒騎士になって年季が明けて寿命を迎えてから、みたいな時間の猶予あり、なんだろうか。まだ、細かい部分は定かではないので、なんとも言えないけど。
それに、セインくんのあの性格からして、断罪者的な役割を与えられている暗黒騎士が果たして務まるのだろうか、とちょっと心配になってしまう。現役暗黒騎士さんのコメントからすると、相当に汚れ仕事みたいだし。まあセインくん、なってしまえば自分なりに業務改革してしまえばいいのかもしれないけど。