【エクスタス・オンライン 08.それはまだ見ぬ、仮想と現実の彼方】 久慈 マサムネ/平つくね 角川スニーカー文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

必死に現実世界への帰還を模索する堂巡。その鍵を握るのは、この世界を支配する神エグゾディアだった。神と魔王の最終決戦に臨むヘルシャフト、しかし謎の黒幕は更なる罠を仕掛けてきて!?そしてついに、堂巡は2Aギルドに正体を明かすこととなり―。“堂巡=ヘルシャフト”を2Aギルドは理解してくれるのか。この世界に愛着が湧いてしまった堂巡は、現実世界と仮想世界のどちらを選ぶのか。哀川愁子と朝霧凛々子、堂巡を中心とした三角関係の行方は…。究極の選択に、最後の魔王ポエムが響き渡る!
終わってみると、2Aのクラスメイトたちがどうしてゲームの世界に閉じ込められる事になったのか、堂巡に一部記憶がない理由。朝霧の怪しさなど、真相へと至る謎の数々はちゃんと紐付けされた理由があり、よく出来てたんですよね。哀川さんはどう考えてもトバッチリな気もするのですけれど、紆余曲折の末に若いツバメをゲット出来たと思えば、これ幸いと思えばいいのでしょう。
ってか、哀川さんルートかよ!
いやでも、最初の最初から堂巡くんがヘルシャフトやっている事を知っていて、彼の弱い部分をずっと見続けていたのは哀川さんだったんだよなあ。色々とコンプレックスを抱えていた堂巡くんが、果たして誰にも頼れず誰にも自分の秘密を抱えたまま魔王とクラスの底辺の二足のわらじを両立する事に頑張ることが出来ただろうか、と考えると哀川さんの存在がなければ壊れていたんじゃないだろうか。
まあこの人、ギャーギャー不満を喚き散らしてばかりだったんですけどね、最初は。それでも事情を知ってる自分よりも大人の人が居てくれて全部さらけ出してしまえる、信じられる相手がいるというのは大きかったと思いますよ。途中からは完全に哀川さんの所が帰る家みたいな感じになっていた所ありますし。
哀川さんの方からしても、奴隷として魔王軍に囚われの身になってる状態で生殺与奪権を魔族たちに握られて、生きた心地しない中で頼れる相手はバイトくんな堂巡くんだけという状態の中で、何だかんだとずっと面倒見てくれてる彼に縋って行くのも分かる話である。でも、現実に戻れば相手は高校生の子供で、自分は成人した大人。年の差以上に、将来ある子供の彼を大人な自分がどうこうしていいのか、という罪悪感を抱えながらそれでも本気で好きになってしまいつつある葛藤に苛まれる姿は、何かと唆るものがありましたし。あの今だけ、今だけはこのゲームの中でだけはこの子の側に、という切ない思いが垣間見えてねえ、うん良かったんですよね、哀川さん。
なので、最終的に本命哀川さんルートに乗ったのは、ちょっと嬉しく思ったり。まあ朝霧も一歩も引いてないご様子なので、ガチ修羅場になりそうですが。哀川さんも朝霧も、刺すとなったら躊躇わず刺すタイプだぞ、大丈夫か堂巡くん。
クラスメイトでギルドの仲間たちである2Aの皆を助けようと駆け回りながら、一方で魔王軍として自分に従ってくれる魔物たちに愛着を覚え、彼らにも心を寄せてしまう描写はシリーズの最初の方からありましたけれど、四天王にそこまで入れ込むとは思わなかった。ほんとなら、もう少しだけでも彼ら個々の個別エピソードを重ねてくれたら最後の決断にもう少し共感を覚えたかもしれないんですけどね。もうちょい、それぞれの掘り下げが自分的には欲しかったかなあ。
その点、一番がっつり堂巡くんと噛み合わさったのは赤上壮馬だったんじゃないだろうか。最終決戦で、封印した彼を召喚する流れはなかなか燃えるものがあった。いや、必要だったの壮馬が持っていた剣だったんだけどさ。
2Aギルドのリーダーだった一之宮との、何だかんだと信頼し合った関係もそうだけど、男キャラとの関係もいい味出していたのがまた良かったんですよね。
ラストまでキレイに纏まった、振り返れば完成度も高かったシリーズでした、エロ面白かった。