【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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ヒロイン攻略×魔術無双――憧れのゲーム世界で誰よりも自由に!

"伝説の美少女ゲーム"『マジカル★エクスプローラー』。 俺はこのゲームでチートなスキルを持つモテモテの主人公!……の横でへらへらと笑う不遇な友人キャラに転生していた。
だけど俺にはこのゲームをやり込んだ知識があるから、完璧な立ち回りをすればヒロイン達の好感度をMAXにすることだって出来る筈!
更にこのキャラには"世界最高の魔力量"という隠れチート性能や唯一無二の特殊能力も備えていて――。
「それなら友人キャラなんて役割放棄して、好き勝手に生きてやるか!」
前世のゲーム知識使って、新たな人生を完全攻略! エロゲ世界を自由気ままに謳歌する転生魔術学園譚!!
友人キャラ?
いや、友人キャラという不遇なポディション(エロゲの友人キャラが一概に不遇キャラという訳ではないと思うのだけれど)から脱却するためにあれこれ頑張る、というのは実際にそのキャラに憑依だか転生してしまった身としては当然の行動指針ではあると思うのだけれど、結果としてこの音瀧幸助がやってる事ってまんまエロゲの主人公キャラの境遇そのものなんですよね。女性だけしかいない家に養子で入って家族になる一方で、メインヒロインと同棲する事になるわ、先輩キャラと一緒に修行する事になるわ。まんまエロゲの主人公そのままの立場に立っちゃうわけですよ。それって、わざわざ友人キャラなんてポディションで始まる意味があるんだろうか、とちと首を傾げてしまった。スタート地点から主人公キャラの境遇に収まってしまったので、幸助が語る本来の友人キャラ幸助の不遇さをどれだけ力説されても、本来はそういう設定だったのね、というだけで終わってしまって、今この作品の主人公である幸助が不遇な友人キャラという立場から努力を重ねて脱却した、というわけではないので何とも実感が湧かないんですよね。
それなら、最初から主人公キャラに転生した、というのでも何も変わらなかったんじゃ、と思えてしまうわけです。彼のピーキーな能力も決して主人公らしくない、というようなものでもないですしね。むしろ、そのピーキーさこそが主人公キャラらしくないですか?
そうした折角の友人キャラという立ち位置を何ら活かすことなく主人公キャラムーブをはじめてしまった点を除けば、オーソドックスなノベルゲーム的な異能力ものハーレムバトルものという感じで堅実な面白さを備えていると思うのです。メインのリュディなんか、そもそもメインヒロインだったのもあって気の強いお姫様キャラとして貫禄の存在感を示していますし、幸助のあのストールを使った自在な攻撃法はシンプルに面白いですし。
でも、元々のゲームがバトルシステムの方も充実したアクション系のゲームであった事からキャラそれぞれに特徴的な戦闘力が備えられているわりに、肝心の戦闘シーンが幸助の単独の戦闘シーンばっかりでヒロインとの連携なども殆どなかったのは、ちと面白味に欠けたかなあ。結局、幸助ばっかりでしたし。エロゲらしい、欲望全開のイベントはコメディタッチもあってなかなか笑えましたけど。

ともあれ、普通のエロゲ主人公に転生モノ、という風情の現状ですけれど、これも本来の主人公である伊織の登場で流れが変わってくるのでしょうか。一見して伊織くん、優しい風貌のいいヤツそうなので上手いこと二人主人公の相乗効果になったら面白そうなんですけどね。