【魔法少女育成計画「黒(ブラック)」】 遠藤 浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい! 文庫

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市立梅見崎中学校、2年F組。女子ばかり、わずか15人だけで構成された奇妙な学級だが――
その実態は「正しい魔法少女」を育成するために作られた「魔法の国」肝煎りの特別クラスだった!
選ばれたエリート魔法少女たちは未来への希望に顔を輝かせるが、その陰には邪悪な意思が蠢いており……。
魔法少女スノーホワイトのサーガも、ついに佳境へ。「魔法少女狩り」の新たな獲物とは!?
スノーホワイトは健在なり!
正直、前回彼女が受けた仕打ちは修羅とかしたスノーホワイトをして、耐えられるもんじゃない。ラ・ピュセルやハードゴアアリスが願い思い描いた魔法少女を決定的に逸脱してしまった。罪を犯した、それは致命傷に等しい傷になってしまった、と思ったのですが。
それでもスノーホワイトは屈しなかったのか。
ただ前にも増して陰は濃くなっている感じはあるんですよね。小雪としての普通の少女としての日常生活は完全にドロップアウトしてしまいましたし、「魔法少女狩り」としてさらにダークヒーロー化が進んでしまった感がある。でも健気に本来の魔法少女、初めの頃の志を忘れずにその在り方を続けようという姿勢も保っているわけで、スノーホワイトの心は未だ折れていないのが伝わってくる。
一方で以前のようなほぼリップルだけと連絡を取り合ってた活動と違って、ある種のグループを作って徒党を組んでるんですね。フレデリカの企みの阻止やリップルの救出という大きな目的がある以上、協力者がいるに越した事はないですし一種のスノーホワイト派のようなものが出来上がりつつあるのが興味深い。デリュージが合流しているのもなかなか驚きだったけれど、まさかのシャドウゲールが一緒にいるのは仰天した。本来ならスノーホワイトは仇になっちゃいますもんね。ただ、シャドウゲールの今の状態がそれを許しているのか。正気に戻ってしまったときが怖いんだけど。スノーホワイトの方もよく彼女を傍に置いているもんだと思う所だけれど、彼女としてはシャドウゲールは罪の象徴なんだろうなあ。

さて、またぞろ何のつもりかわからない迂遠きわまる回りくどい暗躍をみせるピティ・フレデリカ。彼女が牢獄から出したカナは本人は何の目的で牢を出されて魔法少女学園に入学させられたか知らないし、本人としては普通に馴染もうとしているのだけれど、それこそがフレデリカの目的のような気もするし、本当に何を企んでいるのか。カナが魔法少女の変身状態を解かないのも随分と意味深な理由があるみたいだし。
折角の学園ものにも関わらず、誰も彼もがギスギスしていて胃を痛めている連中が多すぎるw それでいて大半が事なかれ主義に徹しようとしているのがなんともはや。魔法の国の派閥争いがそのままクラス内に持ち込まれている、と思われている事がこのギスギス感に拍車を掛けているのだけれど、校長や先生が考えているただの派閥争いというわけじゃなさそうなのも複雑怪奇な状況になってるんですよね。派閥の意向を汲んで動いている人は案外少なそうなわりに個人的に、或いは誰かの思惑で動いている者は結構居そう。実際、スノーホワイトが送り込んで情報を流して貰っている娘なんかもいるわけで。
一方でそういう後ろ盾に対して何の知識も感心も持たずにいる権力抗争とは関係ないド素人の魔法少女なんかもいるわけで、でもそういう娘たちも蚊帳の外に置かれているわけじゃなくて、フレデリカのような連中の思惑の中に取り込まれているのではないか、という様子もあって……。
と、権力抗争だけが問題ならそれはそれでシンプルではあるんだけれど、それ以上に人間性に問題があるやつが……メピスあんたのことだよ! 人間的にダメだったりおかしかったりイカレてたりという輩は今までも山程いたけれど、こいつの場合イキってる考えなしの乱暴者で無法者の狂犬というだけで、その上ド素人枠の方だし、こいつが居ないかおとなしくしているだけでこの学園ちゃんと纏まっちゃうんじゃないか、というくらい学級崩壊の特異点になっているように見える。そのわりに、みんなこの娘のこと庇うし当たり障りのないように接してるんですよね。そのおかげで余計に調子乗っている感じもあるし。気を使いまくってるテティがかわいそうすぎる。
カナのマイペースがうまいことメピスの懐に入り込む要素になっているけれど、どれほど怒ってない姿を見せても全然好感度は上昇しないよな、これ。

魔王塾関係者はある意味シンプルで人間的にも信用できそうなんだけど、どうもフレデリカの紐付きの可能性もあるので本人たちの意図しない所で、謀略の駒になっている可能性もあるし、兎にも角にもフレデリカの思惑が見えてこないとどうにも何がどうなっているのか見えてこないというのがもどかしい。ラストの戦闘用ホムンクルスの暴走も意図がわからないし。
その意味では、まさかのスノーホワイトご本人の介入というのは、友好な斬り込みになるかもしれないけれど、フレデリカの用意した盤上に乗ったとも言えるわけで、果たして彼女がゲームマスターなプランニングを盤上から破壊できるのか。なんにせよ、主役たる「魔法少女狩り」の堂々見参である。次巻がどう動くのか楽しみ。本編の続編は数年ぶりの久々だっただけに、次は早めにお願いしたいなあ。

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