【怪力魔法ウォーリア系転生TSアラサー不老幼女新米侍女】 Leni/ハル犬 アース・スターノベル

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前世日本男児だった私は、異世界に女児として転生した。生まれつき怪力で魔力の強かった私は、魔女の力を受け継いで不老幼女となる。
その後、自分の身長よりはるかに大きな武器を手に、怪力魔法ウォーリア系幼女として世界中を旅する冒険者となり気付けばアラサー。冒険の限りをしつくした私は安定した老後のため王城付き侍女に転職するのだが…。

「とりあえずここに居る騎士全員をこてんぱんに伸してもらうかな」
…なぜ
「私の主になって欲しいのです。剣の姫よ。そして、許されるならば未来の私の妻になっていただきたい」
はあああああ!?

あ、でも女子同士のパジャマパーティ―は楽しいかも♪
そんな最強侍女による日常系王城ファンタジー!


怪力魔法ウォーリア系転生TSアラサー不老幼女新米侍女、属性マシマシで多すぎる! と言いたい所だけれど実はまだまだ載せ足りないくらいには属性やら肩書やらがあるんですよね。魔人だったり魔女だったり姫だったりゲームマスターだったり、と。しかしてそんな属性過多な幼女先輩がここで何を繰り広げるのかというと、壮大な冒険でも陰謀渦巻く宮廷劇でもなく本当に嘘偽りなく「平和な王宮の侍女生活」なのである。もっとも、その属性に多さの原因の一つでもある幼女先輩キリンさんの多芸さは、まさに芸達者という風情で日常風景を大いに賑やかしてくれるのですが。

本作は古くは2012年頃に小説家になろうにて連載が開始された相当に古参な作品です。何気に自分が小説家になろうの作品群を読み始めたのもその頃で、自分のブックマークの中でも最初に登録した10作品の中に入っていた作品でした。それだけ思い入れもあったんですよね。
結構更新ペースは遅く、というか何年も間があくのも珍しくなく、それでもエタる事なく再開すれば変わらずあの飄々とした雰囲気でキリンさんが呑気に侍女生活を送る様子を眺める事が出来て、随分と癒やされ慰められたものです。
去年あたりに急に連載が続くようになり、喜んでいたら今度は書籍化の一報でしたから、やはり嬉しかったです。

そんなキリンさんの物語は、蛮族系の父に鍛えられ、魔女の師匠に育てられ、「庭師」と呼ばれる特殊な冒険者職として世界を飛び回り名を馳せて、30代を前に荒事中心の生活に少々疲れを覚えて、安定した穏やかな第二の人生を志し、友人である地方領主のコネで王宮侍女に転職するところからはじまります。
そう、荒事トラブルお断り、これはそんな世界から綺麗サッパリ足を洗って引退した幼女オバちゃんの穏やかな日常ものなのである。
なので本作は、日常系四コマ漫画に匹敵するくらい平和なんだよ? ホントだよ?

いや実際、派手な冒険やトラブル、深刻な事件や陰惨な陰謀劇というのは皆無で、侍女という慣れない仕事と王宮という職場に戸惑いながらも真面目に務めるキリンさんのガチな日常譚なのである、これ。
ただ、面白いのがこれ、ファンタジーに見せかけたSF世界なんですよね。決して隠された秘密というわけではなく、この世界観は一般にも概ね周知されているのですけどね。世界の住人たちはファンタジーとかSFとかの区分は知らないので、その辺を意識していないのだけれど、現代地球から転生してきたキリンさんからするとここは本当に面白い世界で、事あるごとに自分の体験談とともにこの世界の様子とか有りようを深刻さゼロで軽妙に語ってくれるので、これがまたとても興味深く楽しい話になってるんですよね。
そんなキリンさんですけれど、荒事世界から急に王宮勤めとなって価値観や常識の違いからトラブルや暴走を引き起こす、なんて事もなく。この人、凄く常識人でTPOも弁えてて庭師時代にも貴族王族とも付き合いあったので礼節なんかもしっかり弁えてるんですよね。基本、アラサーに相応しい大人の女性なのだ。
多少失敗もあるけれど、トラブルメーカーとは程遠いむしろトラブルシューター側の人間なんですよね。周りに破天荒な人間が多かったせいかしら。
しかし一方で畏まった性格ではなく、伸び伸びとした明るい性格で、脳筋とは程遠き小器用で多芸な人なので、その多彩な才能と経験を以て狭い世界しかなかなか知らない同じ侍女仲間の子たちを楽しませ、王宮を賑わせてくれるんですね。
結構、庭師時代に色々してるんですよねえ、この人。
世界観的な事情から、というかここって厳密には「宇宙船」にあてはめられる場所なので、人口爆発を誘引する社会を発展させるような技術や知識などは、道具協会というところで厳密に制限されているのだけれど、娯楽方面に関してはかなりユルユルなので、そっち方面で開発原案で活躍してるんですよね。
また庭師……なんで「庭師」という名前がつけられているかについても緻密な設定があり面白おかしく語られているのだけれど、それは本編にてご覧あれ。庭師時代の冒険譚も、後々この巻以降に開示されてくる事になると思いますし。そう、そんで世界の園丁としての庭師としても活躍著しく巷でも有名なヒーローの一人でも有り……巷で今大人気のトレーディングカードゲームwでもレアカードとして取り上げられてるので、色んな意味で人気者でもあり、王城内でもファンが多かったりするので新米侍女としては何気にわけわからん立ち位置だったりもして、そんな中で真面目に侍女やってたり、キリンさんの事知ってる人と知らない人でギャップがあったり、とそんな所が楽しかったりするんですねえ。何気にキリンさん、現国王とけっこうなマブダチだったりするし、騎士団にも知り合い多かったり、と男衆とのつながりも深いので、新米なのに騎士たちと侍女たちの橋渡し役みたいな立ち回りも見せてるんですよね。
この世界における騎士の仕事や、王城での侍女の仕事なんかも結構細部まで丁寧に描かれているので、日常の背景を見ているだけでも面白かったり。

ちなみに幼女なキリンさんですけれど、10歳で成長が止まっているので本当に永遠の幼女なんですよね。お陰で、性別としては二次性徴前でもあるので女に馴染む前に止まっちゃっているわけです。かと言って、前世が男だからと言って男性としての精神性はあんまり残ってないように見える。自分は男の側と本人は主張しているけれど、身だしなみに気をつけたり仲良しの若い侍女たちとガールズトークに勤しんだり、パジャマパーティーでキャッキャウフフしてるのをみると、立派にお姉さましてるんですよね。男に対して厳しいしw
どっちつかずのある程度女性寄り、というべきか。幼女戦記のデグレチャフ少佐と似たような様子と言えばそれなのかしら。

侍女たちには慕われ、騎士たちには懐かれ、本人はけっこう真面目に新米侍女として仕事を覚えて頑張る日々。時々騎士たちに呼ばれて教官紛いの大暴れ訓練することもあるけれど、毎日平和なキリンさんの第二の人生、日常譚。ほっこり愉快で楽しいです。

実家の魔女の塔の帰郷から王城に戻る途中で山賊からRTAで助けた貴族のご令嬢のあの人、登場は次の巻以降かー。あの人も楽しい人なので登板は楽しみ。