【家に帰るとカノジョが必ずナニかしています】 柚本悠斗/桜木蓮 GA文庫

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孤高を極め、お一人様生活を謳歌する俺の部屋にある日、見知らぬ美少女・朱莉がやってきた。『レンタル家族』として一緒に暮らすため同じ高校に転校してきたらしく、秘密の同居生活がスタートしたのだが。「え?ナニもしていませんよ?」学校では優等生なのに家では俺の風呂を覗いてきたり、タオル一枚で迫ってきたり、おまけに人に言えないような趣味があったり。しかも二人の秘密がクラスメイトにばれてしまい、徐々に破綻していく俺の理想のお一人様生活。マジで勘弁してくれ…俺の生活どうなっちゃうの?

主人公の過去に何があって他人と極力深く関わらないおひとり様生活を志向するようになったのかも気になるところだけれど、それよりも主人公の親父がいったい何があってエリートサラリーマンから脱サラし、息子も置き去りにして文明社会から離れた山奥で一人サバイバル生活を送り、その様子を配信する人気動画配信者になる道を選んだのかの方が気になるんですけど!?
だって、明らかに息子より親父の方がそれまでの生活からの外れっぷりが凄まじいじゃないですか。よっぽど人生観をひっくり返されるようなことがなければ、こうはならないでしょうに。

元々は社交的な性格でクラスの人気者だったという主人公の颯人が、なぜ他人と距離を置き角が立たない程度には交流しながら一切深い付き合いを拒むおひとり様生活を選ぶようになったのか。
どうにも人間不信、とまではいかないまでも他者と付き合うことに嫌気が刺すような事柄があったことは間違いないようで。
要は逃避行動、と言ってしまうのはあれかもしれないが、少なくとも嫌な思いをまたシたくないという退避の結果として、おひとり様生活を送り孤独に耐えれることになることが最善である、という思いからの行動のようなんですよね。
別に、おひとり様が好きってわけでもないのでしょう、この子は。自分でも、それらしい事は言ってますからね。
なので、彼のおひとり様生活って耐える事が基本だったり、楽しいと感じるのではなく感じようと努力している、という風情が漂っているので何とも息苦しくはあったんですよね。
だからこそ、いくら親父と契約結んでいるからといって「レンタル家族」なんていう他人のパーソナルスペースにズケズケと入り込んでくる相手を、文句言いながらも受け入れたのだろう。ほんとに嫌だったら、断固として拒絶するでしょうし。
戸祭に付きまとわれた時だって、やりようによっては距離を置くことは出来なくはなかったでしょう。でも、朱莉の時も戸祭の時も颯人は相手の言い分を逆に自分が彼女らを受け入れるための言い訳に使っているように見えたんですよね。
結局、寂しかったんだろうか。人恋しかったんだろうか、この子は。家族という存在に、心惹かれるものがあったんだろうか。
冷静にミてると、朱莉って明らかにヤバいんですよね。変に関わるとマズイ人種でしょう、あれは。
その妹の雫と来たら、あれ普通に殺人未遂ですからね。殺意を振りまきながらハサミ振りかざして襲いかかってくるって、普通に警察案件ですからね?
それを言うと、朱莉の方も完全に下着ドロなんですが。下着を盗ったら下着泥棒ですからね。そこに女物はアウトだけど男物ならセーフなどという基準はありませんからね!?
三度、朱莉が自分の下着を弄っているのを目撃していながら、直後に自分の下着が紛失している事に気づいてなお、朱莉と結び付けなかったというのは颯人のメンタル、やっぱり人恋しさにいささか支障をきたしてたんじゃなかろうか。
しかし、朱莉の方は昔の繋がりもあって颯人を追いかけるのはわかるのですが、羽凪の方は何がそこまで琴線に触れたんだろう。ヤバい先輩から守ってもらった、というのはありがちだけど、まあありがちだからこそ効果は高いとも言えるしなあ。真っ当な気になる男の子が出来る理由かもしれない。これで、朱莉の執着を見て余計に颯人が気になってしまった、という要素があるのなら、羽凪もなかなか難儀な女の子である。