【魔王学院の不適合者 5 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~】 秋/しずま よしのり 電撃文庫

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神の代理となる《代行者》を選定する戦い――選定審判が幕を開ける――。

暴虐の魔王の再臨によって平和が訪れたディルヘイド。一方アゼシオンでは各地で絶滅したはずの竜が目撃されるようになる。魔王学院と勇者学院が合同で対処に当たったところ、地底の奥深くに未知の世界が広がっていることが判明した。
そんな中、神を従えた謎の男が現れ、アノスに告げる。八名の神がそれぞれに候補を選び、互いに戦わせ、勝利した者を神の代行者とする《選定審判》。その代行者候補の一人に、アノスが選ばれたということを……。アノスはその男、《竜人》を追って、三つの国が争う地底世界の聖地、神の都ガエラヘスタへ――。
新章開幕《選定審判》編!!

エミリア先生、熱血教師になる! 
これって、もう昔の青春学園ものですよね。それも教師を主人公とした不良たちを更生させ、共に何かを成し遂げるような。ただ、エミリアの場合はグレートティーチャーなどではなく、エリートから転落人生を歩んだ挙げ句に不良たちが集まる見捨てられた底辺校へと転任になって、という展開ですけれど。
彼女が赴任することになった勇者学校もまた、かつての栄光を失い勇者の生まれ変わり、エリートとしてもてはやされた若者たちが、大人たちの都合でいらない子扱いされヤサグレ切ってしまい、平気で授業をボイコットし、教師エミリアに反発し、どうせ自分たちなんかと自分たちを見下げ果て、とかつての勇者候補たちが見る影もなく……。
そんな不良と化した勇者候補たちと、落ちぶれ人生に疲れ果てた教師同士、近親憎悪でお互いにぶつかりあい程度の低い衝突を繰り返し、目の前に再び現れ交流するはめになった魔王学院の連中の優秀さに劣等感をさらに刺激され、と落ちる所まで落ちたところから、クズ教師とクズ生徒同士本気でぶつかりあうなんて、青春まっさかりじゃないですか。
そうやって、相手の情けない姿に自分を省みて、お互いの中に残った最後の矜持を見つけ合う。そうして底辺から這い上がろうと頑張って、エミリアは教師として生徒を導こうと奮起する。そこに敗残者たちの惨めな姿はとうになく、挫折から自力で立ち上がる勇者たちの姿があり、クズ教師を先生と認めてくれた生徒たちを、見捨てられた自分たちを決して見捨てなかった先生を、お互い信じて尽くす師弟愛が芽生えていた。まさにこれ青春か!!
先生として上から目線で不良生徒たちを導くのではなく、同じ最底辺で這いつくばったところから屈辱を跳ね返し共に頑張って、というのが当世風でありますか。赴任して当初は、思いっきりヒステリー教師っぽいのもさすがはエミリア先生、という所だったのですが。
あと教師というと、意外と熾死王エールドメードの爺様がハチャメチャながら何気に凄くイイ先生してたんですよね。スパルタながら効果的な授業法もさることながら、結構褒めて伸ばす方針なのか未熟だったり下手くそだったりする生徒たちにも、褒め言葉を欠かさないんですよね。その対象はエミリア先生にも及んでいて、卑屈だったり自虐的になってるエミリア先生に対してもこまめにフォローしてたのが印象的でした。いや、この爺さんお世辞言ったりするタイプじゃないので、全部本気で褒めてたり称賛してたんでしょうけれど。

一方でひたすらラブコメしてイチャイチャしてたのがレイくんとミサのカップルで、その二人にひたすらつきまとっていたのがミサのお父さんのシンで。なんかもう、四六時中「お嬢さんをください・許さん!」を品を変え形を変えてやり尽くしていたような。それでいてレイの事は誰よりも認めているお義父さんなのがまたたちが悪いというか、今まで放っていた分娘に構いたい年頃なのか。

今回はアノスって本気で怒っていたのか地底のエクエス教の連中には珍しく容赦がなかったようで。特にアヒデ卿はペテン師呼ばわりして、徹底的だったんですよね。相手が神のご意思、神託である、お告げである、と宣言して起こそうとした行為、本当に片っ端から全部叩き潰して失敗させてましたからね。
というか、一話でこれだけ何度も完勝宣言して、それ全部「効かぬわ」「今なにかしたのか?」「無駄だったようだな」のオンパレードでひっくり返された奴見たこと無いぞ。すごいぞ、アヒデくん。
いやほんとにすごいんですよ。普通は一回や二回で「ば、馬鹿なー!」と言ってしまうそうなところを、幾ら失敗しても攻撃が効かなくても思惑を叩き潰されても、作戦を台無しにされても、謀略を逆手に取られても、全部「全部神はお見通し。これも神のご意思なのです、ドヤ顔して恥ずかしくないんですか?」みたいな調子を崩さないんですから。
でも、どう見ても苦しいから。その言い訳苦しすぎるからw ギャグかコントか、いずれにしても厚顔無恥というかメンタル強いのか、色んな意味で凄かったアヒデくんでありました。アノスが道化呼ばわりするのも仕方ないんだけど、それもアノス君がアヒデのドヤ顔発言片っ端から秒で潰していくからですよ? 一瞬たりともドヤ顔許さん、と言わんばかりの速攻である。それが一体何度繰り返されたか。普通、心折れるよ? ある意味、よく頑張った、と褒めるべきなんだろうか。でも、本気でドヤ顔ムカつくタイプの敵だったので、そのドヤ顔を延々とフルボッコにし続ける展開というのはそれはそれでカタルシスではありました。ほんとにひらすらボコボコだったもんなw

神の中で唯一だろう、心を持ち優しさを持つアルカナを味方に引き入れたアノス。彼女を連れ帰った先の我が家での、アノスの人間の両親のやり取りがまたなんともはや。神であるアルカナも、話聞いてくれない人には弱いようで。そう言えばアヒデも全く人の話聞かない奴だったっけ、ベクトルは違うけど。
自分たちの世界観に魔王だろうと神だろうと包んでしまうあたり、やっぱり最強はこの脳天気なパパとママなんじゃなかろうか。

シリーズ感想