【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんんだが、どう愛でればいい? 10】 手島史詞/COMTA HJ文庫

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「これより、我が城に大浴場を作る! 」
大きいお風呂が欲しいというリリスからの訴えを受け、部下の慰労や、ネフィのためザガンは城に大浴場を建設することに。
彼は東方の建築を研究したり、なぜか魔王殿に存在した大浴場を参考になんとか完成までこぎつける。
大浴場を楽しむネフィやシャスティルたち、覗きをしようとするバルバロスと防ぐザガンなど、バタバタした魔王たちの日常は変わらず続いていく。
しかし、暗躍するビフロンスの魔の手は忍び寄っており、さらにはアルシエラが存在をひた隠しにしていた<アザゼル>がその姿を現し――
大人気ラブコメファンタジー絶好調の第10巻!

ニヤニヤ、ニヨニヨ、ゴロゴロゴロ〜。悶絶である。なにこれももう、愛で甲斐のあるカップルがたくさん居すぎて、顔面の筋肉が崩壊しそう。四六時中、あっちこっちでイチャイチャしてるもんだから、休んでいる暇がない。愛でカップルを見守る会員なマニュエラ姉さんとかこの世の春なんじゃないだろうか。その愛で力の信奉者の筆頭であるゴメリおばあちゃんはというと、師匠のオシリスが娘のネフィのいる魔王城に居座ってしまってコソコソする他なく自由にやりたい放題出来なくなってる上に、他のカップル愛でてたら自分の方にも流れ弾飛んでくるもんだから、自分が愛で力の餌食になってて、それはそれで! キメリエスに惚気けられてフニャーーっとなって崩壊しているおばあちゃんが可愛すぎて、正直たまらん!
お互い隠し事なく睦み合ってるザガンとネフィの安定カップルとは裏腹に、ごたついているのが黒花とシャックスの年の差カップル。あっちこっちから、シャックスのメチャクチャ有能で気が回るのに察しの悪さだけ致命的、というツッコミでおっちゃんフルボッコである。そうだよねえ、ザガンは物言いこそ不器用だったけれど、察しは悪くなかったし言うべきことを間違える事も言葉足らずという事もなかったですもんねえ。ネフィがしみじみと、シャックスの察しの悪さをザガンと比べて嘆息している様子には思わず苦笑してしまった。
黒花が拗ねちゃうのも仕方ないんですけど、シャックス自身はメチャクチャ黒花のこと大切に扱っている事は伝わっているのでみんな生暖かく見守っているのが何ともはや。でももう、黒花の方はシャックスの事好きとちゃんと自覚して固まってるんですねえ、これ。あれだけ意識して、その上で女扱いしてもらえないと拗ねちゃってるのだし。
ちなみに、黒花の軍服風ファッションは控えめにいっても最高でした。可愛らしい系は他にもたくさんいるだけに、小さくも凛としてカッコいい系の娘は希少で見栄えもよく、カッコよくて凛として可愛いというハイブリッドはやはり最高です、さすがですマニュエラさん。
ギクシャクしている黒花たちとは裏腹に、最近もうネフィとザガン並にお互い青信号で、でも恐る恐る手を出し合ってちょっと触れると引っ込めちゃうような微妙な距離感を楽しんでいるのが、シャスティルとバルバロスなんですよねえ。もう、このカップル最高じゃね?
バルバロスの乱暴ながら凄くシャスティルの事気を遣ってるダダ甘っぷりもさることながら、バルバロスが暴れているのを、思わず関係ないのに謝っちゃって、無自覚にバルバロスのことを自分の連れ合いのように認識しちゃってて、それを指摘されて悶絶してしまうシャスティルさんが、可愛い、ほんと可愛い!!
バルバロスはほんと、いいキャラに育ちましたよねえ。登場当初は噛ませみたいなキャラだったのに、魔王ザガンの悪友にしてライバルとしてある意味肩組んで歩くような対等さがあって、実際能力の方もいつの間にか魔王級に育っちゃってて、普通に作中の化け物キャラたちの中でもトップクラスになってるんですよね。んで、その力の大半をシャスティルを護衛するのに使っちゃってるという尊さ。こいつ、これで献身キャラなんだよなあ。
いやまあ、俯瞰してみると何気に男キャラみんな献身系だったりするのですけれど。キメリエスくんとかその最たるものだし。かと言って女性陣の方が自由気ままかというと、此方も色んな意味で献身的な娘たちばかりなので、どのカップルも様々な形でお互い支え合う優しいカップルになってるのが、ほんと尊い、尊いの。
そして、新たにステラ姉さんの方にも春が到来。というか、この場合はギニアス君の方に春到来というべきか。生真面目ショタっ子騎士団長、自由闊達な野良猫お姉さんに恋をする! 13歳のお子様が人生に膿んでしまっていたところを、あらっぽい手段ながら吹っ切らせて貰って、ある意味凄く甘えさせて貰うという真似されちゃったらねえ。立場上子供ながら子供でいられなかったギニアスくんとしては、あんな風に抱きついて泣かせて貰って優しく頭撫でて貰っちゃったら、キュンとなっちゃいますよね。ステラの方も、同世代じゃなくて一回り小さい子が真面目に堅苦しく頑張ってるの、放っておけなくて面倒見てあげたくなっちゃう、というお姉さん属性を芽生えさせちゃってるみたいだし。いやでも、ギニアスくんの真面目さって凄く健気なので、応援してあげたくなるのも確かなんですよね。ザガンも確かに気に入ってたみたいだし。ついついぶっ殺そうとしてしまってましたが。
あれで何だかんだとギニアス君も、ザガンの事正体知るまではストレートに慕ってただけに、また再会した時もっかい懐いてきそうだな。

と、各地各所でカップルたちがイチャイチャし、そうでなくても友達同士でもイチャイチャし、親世代の連中とは温かい交流を繰り広げ、と多幸感を味わわせてくれながら、何をしているかというと部下たち家族たちの福利厚生充実のために、大浴場の新設である。魔術師、魔王という屈指の実力者たちが集まって、いったい何をやってるんだろう、と思う所なんだけれどみんな実に楽しそうなので、良き、良き。
と、完全に日常回なのかと思ってたら、予想外の方向から本筋の話がグイグイと進展することに。ザガンの兄貴分だったマルクの正体がついに判明し……って、マジかそれ!?
ほんとに最初から、魔王勢力と教会勢力ってズブズブの関係だったのか。いやでも、そうでもないと筆頭聖騎士団長が魔王兼任してたり、魔王オリアスが実は聖騎士たちの装備作ってる人だったり伝説の聖騎士だったり、という関係もまあ不自然ではなくなるのか。
でも、それ以上に五年前に各勢力の主要人物が片っ端から死んでしまっているというのが、その事件の壮絶さを想起させることになる。
アリステラやミヒャエルといった上の世代の生き残りは、事情に通じてるんだろうけど未だなかなか口を割ってくれないし。何らかの理由があるのは確かみたいだけど。
ビフロンスもおそらくすべてを承知している一人なんだろうけど、底が知れたと思ってたこの魔王、思っていた以上にヤバい奴だったのか。ネフテロスが最初ビフテロスの元にいたのも、複雑な事情があるっぽいし。というか、まさかネフテロスにまだこんなヤバいものが仕込まれているとは。
ラストの衝撃的な展開といい、不穏な自体がどんどん進行してきていて、ついに次回あたりに世界の置かれている状況とか明らかになりそう。俄然、ストーリーも動き出したか。

特典の書き下ろしショートストーリーは、シャスティルの聖騎士の装束がなんであんなヒラヒラのミニスカートになってしまったかという。あんな短いと中身見えちゃうじゃん、という指摘は以前からありましたが、まさかむしろ見えちゃってもいいじゃない、という精神に基づくものだったとは。教皇、教皇猊下、あんたという人は……グッドジョブb

シリーズ感想