【ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん】 恵ノ島すず/えいひ カドカワBOOKS

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隠したい本心がゲーム実況のせいでダダ洩れ!? 今最もカワイイ悪役令嬢!

王太子であるジークは突然聞こえた神の声に困惑した。
神曰くジークの婚約者・リーゼロッテは【ツンデレ】で、【破滅】を迎える【シナリオ】らしい……?
彼女のキツめの言動は、全て照れ隠し!? 神が解説する彼女の本心が可愛くて一人悶えるジークは、知る由もなかった。実は神の正体が、ゲーム実況をするただの高校生だと……。
神託(※ゲーム実況です)を頼りに婚約者を救え! 隠したい本音がダダ洩れな悪役令嬢、バッドエンド回避なるか!?

これ、タイトルが結構なインパクトで印象に残りますよね。語呂もいいですし、一発で頭に残る。昨今、どれがどれかわからないような似たようなタイトルが氾濫する中で、頭に残って忘れないというのは大きいです。
そのタイトルにもなっているリーゼロッテ、よりも先に言及してしまいますけど、小林さん。この娘、本当に普通の女子高生なんだけど、普通の女子高生とは思えない包容力の持ち主なんですよね。いえ、普段は好きなことになると早口になってしまう、明るくて溌剌としたどこにでも居るような女の子なのですが、遠藤くんを放送部に招いたきっかけになる出来事で見せた、あの慈母のような包み込むような優しさは十代の女の子とは思えないものでした。同級生の男が胸にいだいていた深い傷をあんな風に受け止めてあげられるって、どれほど徳を積んだのでしょうか。遠藤くんも、仮にも年頃の男の子、なかなかあんなふうに人前で泣くことは出来なかったでしょう。ましてや、同い年のクラスメイトの前でなんて。それを、一生懸命縛っていただろう心の紐をスルスルと解かれて、自分の中で澱として淀んでしまっていたものを吐き出せた、というのは相手が小林さんだったからこそ、なのでしょう。
そりゃあ、惚れるよ。
下手をするとそのまま崇拝してしまいかねないレベルの出来事だったような気もしますが、普段の小林さんはほんと、付き合いやすくて話しやすく親しみやすい、隣に並んで一緒に歩いたり向き合って座ってお茶しながらおしゃべりしたりするのが楽しい普通の女の子なので、変なふうに拗れずに純粋な恋心の芽生えになったのは良かった、のでしょう。というか、普通にしてるだけで楽しいのだから、それだけでも好きになるわなあ。
ともあれ、そんな二人が遭遇するはめになったのが、乙女ゲームの登場人物に自分たちの声が届くという怪現象。そういえば古の初代ファミコンにはマイクがあって、それに向かって喋るとゲーム内に影響がある、というゲームがあったけど、ドラえもんとか。昨今のゲームのハードってそういうのついてないですよね。ついにPS3に触ったことないままPS4の時代を迎えてしまったおじさん
です。
ともあれ、そんな二人のお陰で照れ隠しや素直になれないがゆえのツンデレな言動がすべて暴かれてしまうリーゼロッテちゃん。そんなリーゼロッテの本心にトキメキまくってしまうジーク王子、という展開に。これ、実況解説の二人が的確に指摘してくれたからとはいえ、ジーク王子の理解力も高いし早いですよね。いや、本心を暴かれた時のリーゼの赤面姿が最強だった、というのもあるんだけれど、あれ?この娘凄く可愛くね!?と気づくジークの速さがまた。
そこで躊躇わずにグイグイと攻めまくるあたりが、さすがは乙女ゲームの王子様というべきか。イケメンの王子でなければ許されないようなストレートな褒め言葉や口説き文句、さらにはスキンシップなどで滅多打ちされていくリーゼちゃんがもう可愛そうなのかお幸せに、というべきなのか。
ツンデレ防御は実況解説によって一瞬にして無効化されてしまうので、実質防御力ゼロ状態ですもんねえ。
王子の理解力、ほんと高いのですぐに特に小林さんたちの助言なくても、王子が誤解するような事はなくなりましたし。後半からはリーゼのツンデレな言動の解体ではなく、もっと複雑に入り組んだ誤解に繋がりそうな出来事の指摘だったり、リーゼの状況に対する助言だったり、とより重要な件についてシフトしていくので、賑やかしになったりはしませんでしたし。
リーゼロッテも、段々と本音とは裏腹の言動を取ってしまうことも少なくなってきましたしね。というか、意図が伝わりすぎて周りから生暖かい眼差しが向けられてしまうことになってしまうのがなんともはや。本来のメインヒロインのフィーネも、リーゼのひねくれた優しさに気づいたあとはむしろグイグイとリーゼに懐いていくものだから、そのうちリーゼもストレートにフィーネに構い出すものだから、後半ちょっとベタベタしすぎじゃね?となるほど仲良しになるのは微笑ましかったです。リーゼちゃん、ツンデレもいいけれどこの娘の場合素直に好意を見せながら接する方が、頼もしいお姉さんという感じでキラキラ輝いていたように思います。
あんまりフィーネとキラキラしているものだから、ジーク王子が嫉妬しだすのもまあ無理からぬところかと。逆ハーレムエンドでリーゼもフィーネにベタベタになる、という展開がなるほどこうなるのか、と想像できるようなイチャイチャっぷりでしたし。
そのフィーネ、プレイヤーからも作中の登場人物たちからもゴリラ扱いなのはちょっと吹いた。なんかステータスカンスト状態の最強モードらしいけど、ゲーム始まるまでの彼女がこれまで生きてきた人生を聴いてみると、ハードモードすぎてゴリラじゃなかったら生きてけなかったんじゃなかろうか、というぐらいの話だったんですよね。
むしろ、ゲームでのノーマル時はどうやってゲームスタート時点まで生き残ってたんだろう、と不思議になるくらい。
彼女と、同じバルトジャンキーのきらいのあるバルくんとのデコボコな恋模様も、こっちはこっちで面白かった。バルくんが従姉妹のリーゼのみならず親族中、知り合い中、果てはフィーネからすらアホの子扱いされてしまうのだけれど、確かにもう少し脳みそを筋肉以外で柔らかくシたほうがいいよね、このひと。
フィーネが、バルのこと好きになりつつも、こいつの扱いについて本気で困っていたのには何とも苦笑してしまうものでしたけれど、自身もゴリラだし彼女の母親もどうやら腕力勝負なところのあるパワー型だったのを見ると、バルくんみたいなのの扱いに慣れているというか、相性的にはやはりピッタリだったのかもしれない。

リーゼ自身に対する誤解は、ジークのみならず周りの人からも解けて順風満帆なものの、ゲームで彼女を見舞う災いについては未だ避けられないまま、ジークが直接対決する流れになりそうだけれど、むしろここから本格的に二人のイチャイチャがはじまりそうでもあるので、期待期待♪