【このあと滅茶苦茶ラブコメした 本当はあなたのこと大好きだけど、絶対バレてるわけないよね!!】 春日部 タケル/悠理 なゆた 角川スニーカー文庫

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俺はとにかくラブコメが好きだ。それなのに、現実では中々ラブコメ展開に遭遇しない――と思いきや、遂に"空から美少女が落ちて"きた! しかも、その美少女は「特定の人の願望が現実化するようになりました!」なんて言ってきて!?
それ以降、普段は恋愛に興味無さそうなクラスメイトの金髪美少女とは『無理やり体が密着する』『ちょっとHなアイテムがテレポートしてくる』など、なぜか俺とラブコメするシチュエーションばかり発生するようになり――「わ、私の気持ちはバレてないはず!」 ん? もしかしてお前、俺のこと――
願望だだ漏れでラブコメまみれな学園ラブコメディ、開幕!

神代シンフォニアってすごい名前だな、と思ったけれど別にハーフじゃなくても最近はキラキラネームでこういう名前の子居たりするんですよねえ。
ちなみにこの子、愛称シフォンはイギリス人とのハーフです。いっそキラキラでも良かった気もするけれど。そして何よりアホの子である。ボケ担当だ。怒涛のボケ担当だ。
もう一人のメインヒロインである君影静は、普段は品行方正な完璧超人のお嬢様なのだけれど素はシモネタを連発して悦に入るお下劣令嬢、まあさらにそこから色々あるのだけれど、ともかく呼吸するのと同じレベルでシモネタを連発する下品のマシンガン。これ演技じゃないだろう、絶対素だろう、これ。
ともあれ、シフォンも静も持ちネタのギャップボケとシモネタボケのラッシュがすごい勢いなんですよ。一呼吸で連続して何発も打ち込んでくる。下手すれば数ページに渡って息も切らさずデンプシーロールのように打ち込んでくる。それにツッコミで応酬しつづける主人公も並大抵ではないのだけれど。
そんなボケネタの応酬の乱打戦の勢い、何となく往年のM1グランプリなんかでよく見た、とにかく怒涛の勢いでネタ出し続けて、息が切れそうなほど早口で掛け合いを続ける漫才を思い起こされたんですよね。
勢いの凄さもそうなんだけど、掛け合いの内容がよく練習したネタの台本のようにある種、カッチリとしたよく練られた出来栄えだった、というのもあるんですよね。
それだけ、ネタの切れが良かったというのもあるんですけれど、なんというのかな、シフォンや静のキャラクターが掛け合いの笑えるネタそのものに持っていかれている感じがしたんですよね。ネタの方がメインで、彼女らのキャラクターはそのネタのために用意された役のような。漫才する時に割り振られた役、というのかな。
キャラが弱いということは間違ってもなく、というかあんな濃いアホの子キャラはなかなか造形できないですよ、というくらいなんですが、むしろそのネタキャラっぷりが強すぎるのかな。ラブコメキャラとしての能動性がいささか物足りないというべきか。
はからずも、静なんかはその下ネタキャラや完璧超人キャラというあたりに、ストレートにその手の問題を抱えている、と言えるのですけど。彼女の場合は若干、その本性が足を引っ張ってる感もあるのがなんともはや。いっそ、シモネタキャラで底を打っておいても良かった気がするのだけど。
ともあれ、肝心のラブコメネタがわりとオーソドックスというか、キャラの濃さに対して展開にしても平凡だったり大人しい感じがするんで、いささか盛り上がりに欠けるところがあるんですよね。
折角のラブコメ魔法も、あまりインパクトがある、印象に残る、これはラブコメ来てますわー!というテンションあがるようなのがなかったんだよなあ。
主人公のラブコメ好きも、公言しているわりに拘りの粋があんまり見えてこない上に、本人がいわゆる鈍感キャラを極めているので、なんともかんとも。鈍感キャラにはイラッとしてしまうというネタ、どうひっくり返しても主人公当人が鈍感キャラならやっぱりイラッとする対象になっちゃいますからね。
というわけで、肝心のラブコメに関してはもう一息かな、という感想だったのですけれど、アホの子たちとの掛け合いに関しては、普通のコメディやギャグネタよりもガッチリとフレームが入った、先述した漫才みたいと思ったものだったのですけれど、これはこれで笑える楽しいネタとしては面白かったので、これはこれで自分の中ではアリなんじゃないかな、と思える愉快さでした。