【疎遠な幼馴染と異世界で結婚した夢を見たが、それから幼馴染の様子がおかしいんだが? 2】 語部 マサユキ/胡麻乃 りお 角川スニーカー文庫

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「夢を自由にできれば」誰もが一度は考えるだろう。俺だって考えたことはあるさ。そんな妄想が『夢を操る方法』という名の怪しげな本を拾って現実に…!?少し前までは目を合わせることすら出来なかった幼馴染の天音と一気に親密に!
夢の中では結婚までした俺たちは、現実世界でも無意識のうちに手を繋いだり、夢の中に入るため一緒に眠ったり、その上「じゃあ……目を瞑って…………」って!?
2人きりで差出人不明の手紙の謎を解き明かすことになった俺と天音は、初めての共同作業でイチャイチャが止まらない!
夢と現実を巡る、ちょっぴり不思議な学園ラブコメ第2弾!!

夢次と天音の幼馴染であるスズ姉、あからさまに怪しい素振り見せていたわけですけれど、この二巻の冒頭であっさりと暴露。完全に異世界関係者じゃねえか。それも直じゃなくて、異世界で没してこの世界に転生して、という転生モノの逆輸入バージョン。いや、話を聞いているとあちらの世界の女神様が相当に働いた結果らしいのですけれど、あの女神様善良で腰がめっちゃ低い一方で相当に働きものじゃないですか。スズ姉の前世の人物だけでなく、かなりの人数の転生先を世話しているみたいですし。異世界である地球にまで転生先をねじ込んでいる、しかも時間を跨いでいるケースもあるだけにこれ相当タフな交渉を経ているんじゃなかろうか。あれで何気に凄腕ネゴシエーターじゃないのかしら。なぜか前世の記憶の封印が誰も彼もユルユルなのは気になる所ですけれど。でも、スズ姉とその両親の話を見てしまうと、昨今見てきた中でもこの女神様って最上級に「神様」してると思うんですよね。こんなにも、人に幸せを送り届けてくれる神様なんてなかなか居ないですよ。

さて、夢の世界或いは失われた記憶と時間の先にある異世界で、永遠を誓いあい結婚していた事実を思い出した、もしくは夢に見た夢次と天音の距離感は無事に壊滅。一応世間体、という言葉は知ってはいるものの、普通はありえない密接なスキンシップをとりながらベタベタ、イチャイチャすることに違和感など感じなくなっている二人。あのね、一緒にピッタリ寄り添って寝ちゃうとかヘタに手を繋いでたり腕を組んで歩いていたりするよりもよっぽど、なんですよねえ。それをまあ、堂々と人前で、近所のおばちゃんたちが常連で居るような喫茶店とか、屋外の神社なんかでくっついて、或いは抱き合ってスヤスヤお休みしてたりしたら、そりゃあもう天下に向かって大声で叫んでいるようなものですよ。皆が携帯を持ち、SNSを利用している現代は、まさに国民総記者時代。情報の拡散速度と範囲が色んな意味で桁違いすぎるw
狭い村で噂になる、というレベルを超えて、クラスや学校どころか世代を超えてあっという間に地域中に広まっちゃってるしw いやそれだけ、幼い頃のこの二人が評判の仲良しカップルで近隣住民や商店街など様々なコミュニティの大人たちから微笑ましく見守られていた、というのも大きいのでしょうけどね。大人連中からしたら、幼い頃に評判だったちびっ子二人組のカップルが大きくなってまたぞろ仲睦まじく寄り添っているのを見たら、そりゃあテンションあがっちゃうわなあ。
しかし、くっついて眠ってる様子を写真付きで拡散、それも違う場所でそれぞれ違う情報源から広まった、となるとねえ。いやあ、SNSって怖いねえww
というわけで、大坂城よろしく盛大に外堀が埋められていくのがまた、勢いも凄まじく。クラスメイトにバレちゃって学校で評判に、というだけでもアレなのに、もう家族にも妹にもバレちゃってますよ?

しかし、異世界編と現代編の両跨ぎで話は展開していくのかと思ってましたけれど、思いの外現代側に腰を据えて話が進んでいるんですよね。スズ姉の話が冒頭に出たように、異世界側の重要度は非常に高いものがあると思うのですけれど、敢えてそちらは後回しにしてるように見える。そのぶん、現代側で夢次と天音の関係をじっくりと醸成させている感もあるんですよね。
まあ醸成と言っても、既に一度結婚まで行っている二人ですから好感度はカンストしてますし、リスタートというにはスタート地点が既にゴール過ぎちゃってる気もするのですけれど、夫婦以上恋人未満とでもいうのでしょうか、変にアンバランスなところがまた愛で甲斐があるんですよね。初々しい側面もあり、また取り返しのつかないミスをしかけて落ち込む夢次を支える天音の姿には、比翼の鳥めいた人生のパートナー的な貫禄がありましたし。ただのカップル、夫婦ではない共に死地をくぐり抜けてきた戦友であり、共に生きて共に死ぬことを選んだ運命共同体という絆の深さを、ここぞというときに垣間見ることが出来るんですよねえ。
幼馴染を越えた幼馴染だなあ、と。

ちょっと予想を外したのが、天音の親友二人組。この二人も異世界関係者なんじゃないか、と疑っていたのですが、今回のエピソードで少なくとも神楽はそっちとは全く無関係、というのが明らかになったので、誰も彼もがあちらと関わっている、という事はなさそうとわかったのは大きいかと。
何気にね、誰も彼も異世界側の関係者だとそれはそれで世界観が狭く限定されてしまいちと窮屈に感じる場合もあるので、現代編で異世界と関係ないお稲荷さまみたいな存在が、前の猿夢みたいに出てきてくれるというのは、神楽の家のお話などを含めて現代編に手脚を伸ばせる広々とした自由さを感じられて、良かったんですよね。
これからも必要とあれば異世界側の要素を盛り込みつつ、現代編で色々と話を広げていけそうで、シリーズ自体長く続けてくれると嬉しいなあ。
もうひとり、天音の友達の神威さんの話が残っていそうだし、兄と天音との関係に気づいてテンションMAXに入っている妹とも一悶着ありそうだし、まだまだ楽しみな展開が待っていそう。期待期待♪