【カノジョの妹とキスをした。】 海空りく/さばみぞれ GA文庫

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カノジョの生き別れの妹がトツゼン自分の義妹に!?

俺が人生で初めての恋人・晴香と、交際一ヵ月にしてやっと手を繋げた日、親が再婚し晴香そっくりな義妹が出来た。名前は時雨。似てるのも当然。時雨は家庭事情で晴香と離ればなれになった双子の妹だったのだ。

「情けない声。ホント可愛いなぁ、おにーさん」
「いけない彼氏さんですね。彼女と手を繋いでいる時に双子の妹のことを考えるだなんて」
「顔も体も彼女と同じ妹にドキドキしちゃうのは仕方ない。おにーさんは悪くない。悪くないんですよ」

淡い初恋に忍び込む甘い猛毒(あいじょう)。
奥手な恋人にはとても教えられない、小悪魔で甘えん坊な義妹との甘々“不”純愛ラブコメ――開幕!

これガチのやつだ。ガチの修羅場ものだ。
それも軽い気持ちの浮気ものではなく、溺れ堕ちていく不倫ものだ。結婚してないのに不倫というのは正確には違うんだろうけれど、人生そのものを踏み外すだろう深度の不義密通を称するのに浮気程度じゃ全然足りない気がするんですよね。浮いてない、浮ついてるドコロか泥沼に飲み込まれ誰にも明かしてはいけない闇に堕していく。
これ、ライトノベルという界隈でここまでガチなやつ描いた作品あるんだろうか。自分、ちょっと思いつかないですよ。ノベルゲームだとホワイトアルバム2とか君が望む永遠という凄まじいレベルの傑作があって、そりゃもう凄まじい高レベルのドロドロの修羅場が繰り広げられてたりするのだけれど、ライトノベルでこれほどのガチの人生踏み外すレベルの浮気をテーマにした作品は……ねえ?
それだけに、ちょっとゾワゾワっとするほどこの展開には興奮を覚えている。
小悪魔風で初対面の義兄をからかい倒す義妹の時雨だけれど、決して面白半分で義兄の博道にちょっかいを掛けて浮気しよう、ってわけじゃないのだ。むしろ、ギリギリまで久々に再会した姉と義兄のカップルを応援していて、二人が上手くいくようにアドバイスなんかもしているし、自分の存在が邪魔にならないように自身を穢してでも引き下がろうとすらしていたのだ。
それが逆に、彼女の……時雨の本気さを伝えてくれる。愛する姉を裏切ってでも、誰しもが笑ってすごせるだろう幸せを踏みにじってでも、彼女は欲しくなってしまったのだ。
恋してしまった人の一番を。
だから、時雨は他に何もいらなくなってしまったのだ。表で堂々と一緒に過ごせる恋人という関係も、周りから祝福してもらえるだろう結婚というゴールも、陽のあたる場所を諦めて、幸福すらも求めずに、表立った恋人や妻という立場は姉に譲っても、構わなかったのだ。
そんなものに価値を見いだせなくなってしまった。自分にとっての唯一無二を見つけてしまったから。
ただ一つ恋してしまった義兄の心だけ手に入れられれば。
彼の心の奥底に、一番深いところに自分の存在が刻みつけられれば、それでいい。いつ何時でも姉と幸せに過ごす最中でも常に自分の存在を意識して離せなく消せなくなるように。

そうして一つ一つ、男の体と心に刻み込んでいく。言葉で、唇で、その舌で、舐めるように甘い毒を塗り込めていく。理性も倫理もなにもかも、ドロドロに溶かしていく。恋という情念に、溺れていく。

そのどうしようもないありさまを、人は「堕落」と云うのだ。

はたして、この純朴だった主人公の少年がどこまで堕ちていくのか。この一途な不純愛がどんな末路を辿るのか。胸がキリキリと締め付けられるような感覚と背徳から湧き上がってくるワクワク感に、随分とまあえらい気分を味わってる。これを期待と呼ぶには、まったくもって不徳で不純ではなかろうか。
でも「期待」しちゃうのよ。たまらんッ。