【GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン 9(下)】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫

Amazon BOOK☆WALKER

いよいよ始まる本能寺の変!末世解決の手掛かりを得るため、トーリ、ホライゾン率いる武蔵勢は本能寺へと突入を掛けるが、その先に何が待ち構えているのか?その一方で同時展開する、柴田・勝家が起こした賎ヶ岳の戦いに端を発するP.A.Odaと羽柴陣営の“先輩後輩対決”も、ますます激化。聖譜記述に殉じようとする者、抗おうとする者、様々な思いのもと、本気を出した五大頂らの攻撃に、羽柴十本槍の面々は苦戦を強いられるが…。末世解決の鍵を握るという創世計画とはいったい何なのか?元信公の遺志もだけどネシンバラはボスに会う前に暗号を解読できるのか!?もう二度と「えっ」とか言わせない。よくわかる本能寺。数々の真相が、今明かされる!!全くカンタンだ…!第九話、後編!

やっと、やっと読めた。ずっと積んでしまっていた上に、何処行っちゃったか分からなくなって、発掘できても分厚すぎてちょっと読む時間確保できねえよ、となって止まっちゃってた【境界線上のホライゾン】の続き、連休を利用してようやく読めた!
と言っても、発掘は結局出来てなくて、電書買い直しての読破ですよ。いや、ちょい前にブックウォーカーでセールしてたものですから良い機会だ、と。
にしても、読み始めたら読んでも読んでもゲージが前に進まなくて参った。丸一日まるごと掛かりましたよ。
さて表紙は初お目見えの人、人呼んで織田・信長、満を持してシリーズ通算23冊目にしてようやくのお披露目初登場である。長いよ! 本当に長かったよ! ただでさえ普通の文庫本3冊分くらいあるシリーズの23冊目ですよ!? しかし、それだけ待たせて貰った分に相応しい正体でもありました。待っていた、という意味では彼女もまたずっと待っていたんですよね。武蔵の面々をずっとずっと待っていた。彼らと会うのを待っていたわけです。そう考えるとちょっとウルウルしてきてしまう。
というわけで、柴田勢と羽柴勢の激突である賤ヶ岳合戦と同時進行で、本能寺の変がついに開幕! 
羽柴の十本槍だけでなく可児や島・左近といった次世代の対等に、強大さを示しながらも後を託して若駒たちが走り抜けていくのを見送る柴田勢の先輩方。可児たちの成長著しさも注目に値したのですけれど、ここで舞台を降りることになる柴田さん家の先輩方のやり切ったような寂しいような姿が何とも胸に残るのでした。そして、自らに決着をつける柴田先輩とお市様。ああいう姿を見ていたくないからこそ「運命」が末世を起こす事になってしまったの、わからなくはないんですよね。
同時に、同じ戦いでこの上なく純愛ラブストーリーを見せつけてくれた加藤・清正と福島・正則のカップル。カップル恋人夫婦には事欠かないこのシリーズですけれど、ここまでガチですれ違いから劇的な再会でのラブシーンまで突入するような、トレンディドラマか学園青春モノかという熱いラブストーリーを繰り広げてたのって、この二人くらいのものじゃなかろうか。他のカップルってどこか熟年カップル的な成熟した関係や、もうちょっと手前の初々しい甘酸っぱさで形成されているものがあって、二人共が不器用でもどかしくも情熱的な青いラブはあんまりお目にかからなかったからなあ。青い、本当に青いよ!
でも、創世計画はそんなようやく成就した恋物語すらもまっさらなものにしてしまうというのを、この娘たち、織田勢の連中はわかっているんですよね。それほどの理由を、抱えているのか。
その一端を、まあこれだけ刊行から長いこと経ってしまっているので既に一部ネタバレは食らってしまっているのですが、彼らの経緯とか羽柴勢としてこの地に立った理由なんぞはまだ知らないので、このあと読み進めることで知っていきたいのですけれど。

ともあれ、ようやく戦国時代の歴史のターニングポイントとなる本能寺の変イベントに突入。
とりあえず、本能寺の変におけるMVPは右腕と左腕でOKですね? ね? 羽柴・秀吉と織田・信長を右と左で見事に一発ノックダウンですからね。いい加減、ホライゾンから独立して勝手に動き回って自立したキャラにならないでほしいですけど、両腕。
んで、次点がアデーレで。鉄球ならぬアデーレ玉の芯としての活躍からさらに進歩して、まさかの超高速アデーレですよ。アデーレが、疾い!?

そして本能寺の奥で待っていたのは、ホライゾンと瓜二つの少女。名を織田・信長。さすが最大のイベントというべきか。織田・信長に会うことでこれまで長きに渡って謎とされてきたものの秘密真実が明らかになることに。
創世計画のみならず、二杏紋を残しての公主隠しの怪異の真相、末世と呼ばれる世界の終わりの真実が一気に明らかになったのである。いやもう、一気過ぎない!? というくらいこれって何気に怒涛の展開だったんじゃなかろうか。
そして、本能寺で武蔵勢を待っていた織田・信長の正体も。創世計画で、本能寺の変で織田・信長が果たす役割も。
うん、これは武蔵勢が絶対に許容できない結末ですよね。死すべき定めを認めない、犠牲を許さない、それが武蔵勢の基本方針であり根幹なのですから。
それに、この創世計画って喪うものが多すぎるんですよね。そこまで全部喪ってしまって残るのは命だけ、ってそれもう生き残ってもその人当人と言えるんだろうか。言える、言えるしたとえ「そう」なっても生き残って欲しい、という願いこそが織田・信長の心からの願いであり、トーリたちへの親愛なのだろうけど。

――止めるぞ。

これが、武蔵勢の総意であり、決意である。応ッ!

シリーズ感想