【外れスキル【地図化(マッピング)】を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む 2】 鴨野うどん/雫綺一生 オーバーラップ文庫

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最強パーティー『到達する者』の一員となった“外れスキル保持者”ノート・アスロン。最高到達階層の更新に挑む一行だったが、ダンジョンのトラップにはまり、ノートとエリンは別の場所へ転移させられてしまう。『ようこそ、ここは20階層』未知の強敵。出口不明の未踏階層。圧倒的な戦力不足。頼り切れないスキル。そして生還を目指すノートとエリンの前に、最凶の敵が立ちはだかり…!?「心配いらないよ。絶対に二人で生きて帰ろう」最強パーティーの少年が、やがて高みに至るファンタジー成長譚、第2幕!

ロズリアのこの聖騎士正装の衣装はカッコよくて好きだなあ。軍服風のデザインにちゃんと僧侶っぽいあしらいもあって見た目かなりグッと来るものがある。
それはそれとして、加入当初の様子が完全にサークル崩壊五秒前なんですけど、なぜこれでメンバー入り認めようと思ったしw
女性陣からは総スカンだわ、男性陣はジン以外メロメロだわ、速攻で和に乱れが、軋みが、ひび割れが! おまけに、ロズリアが話すのはノートばかり、という歪さ。
逆にここまで最初から人間関係ギスギスしていながら、ロズリアがその実力を示せばシブシブとはいえ仲間入りを認める空氣になるあたりは、大学のサークル活動レベルの話ではなく命掛かった実戦主義実力主義の世界ということなのか。まあ、命掛かってるからこそ、人間関係大事という向きもあるとは思うので、どちらが正解かはシチュエーションによるのでしょうけれど。
でもこの段階ではノート自身もまだパーティーに溶け込めていない面があるので、下手をするとロズリアとセットで浮いちゃう危険性もあったんだなあ。
ただノートはロズリアが周りと打ち解けられない事は気にしながら、自分が周りの超一流の冒険者たちとは違う人種なんだ、という僅かな意識の壁を生じさせている事には無頓着だったわけだ。いや、無頓着ではなくむしろ気にして、必死に彼らの域に達しようと焦りすら憶えて、がむしゃらに自分を鍛え続けていたのですけれど、それで実力が追いついたからといって果たして彼らと自分が同等である、と思うことが出来たかどうか。ノートがこぼした本音、メンバーのことを心から尊敬してはいたけれど親しみのようなものは抱いていなかった、というのはそれだけ幼馴染と決別した時の自分のダメさ加減が頭に残っていたからなんでしょうね。それを払拭しようにも、一度自分につけてしまったレッテルは剥がせない。挫折を克服しても、挫折したという事実は消せない。それが僅かな壁となって、仲間たちとの間を隔てていたのでしょう。
そんな中でひょいっと向こうから壁をまたぎ越してきたのがまずフォースだったですよね。前回の一件でこいつはダメな野郎だ、と新入りのノートにすら刷り込んでしまったパーティーのリーダー。どう見てもジンの方がリーダーやってて、こいつなんにもしてないどころか盛大に足引っ張ってんじゃん、というキャラだったのですけれど、この二巻では戦闘面で最強剣士の面目躍如。さらにはジンの教えをうまく消化できなくて悩んでいるノートに、不器用にも親身になってヒントをくれたりする仲間思いな面を見せてくれるんですね。男の仲間としていっしょに肩組んで歩けそうないい意味で身近な親近感を感じさせてくれて、どこかお客様な感じだったノートがようやくパーティーの仲間として馴染んできた、その過程を感じさせてくれるフォースの接し方だったのです。

と、ユルユルと進むかと思いきや急展開するのがこの作品の特徴的ムーブメントなのか。
ダンジョンもので転移罠、というのは往々にして劇的な展開の作用をもたらすもので。エリンとたった二人きりでダンジョン未踏の深度へと飛ばされてしまったノート。前衛なしのたった二人きりで、未だ潜ったことのなかった階層で生き残りをかけたサバイバルである。
ここで、二人は心身の限界まですり減らし、各々上っ面で覆い隠していたものすべてをぶちまけ、さらけ出すことになるのである。抱え込んでいた弱さも、傷も剥き出しにして、見せつけ合うことになるのである。そうして何もかもを見せ尽くして、出し尽くして、恥も外聞もなくした先に露呈してくるものがある。それでも、どうしてもしがみついてしまうものがある。それを、ここでノートとエリンは共有することが出来たのだ。出来たからこそ、生き残れたと言っていい。
まあでも普通、この手の遭難、一週間でも無理ですよね。さすがにこの日数は盛りすぎたんじゃないだろうか、と思ってしまった。いや、水を魔法で生成でき、食べ物は食用に出来る魔物を狩って、と最低限の補給はまかなえるとして生存条件は整えられたかもしれないけど、常にモンスターが徘徊している場所で数カ月間生き残ってた、というのはなあ。
とはいえ、この吊り橋効果は並大抵じゃないですよ。吊橋を端から端まで渡る時間だけで人が恋に落ちるのなら、この限界を明らかに通り過ぎたギリギリをはみ出してしまった精神状態で、さらにお互いの弱みと罪をさらけ出しあい、受け入れあい、支え合ってしまったわけですから。
エリンがああも、デロデロになってしまったのも無理からん。
ロズリア加入の際にパーティー内恋愛禁止! とエリン自身がぶちあげてしまったがために自爆的に自身を縛ってしまってる状態になってますけど、これどうなるんすかね。色んな意味で振り切って自分の枠を壊して突破したエリンとしては、そんなん知るか! というテンションでぶち抜いてきてもなんら不思議ではないくらいには、変わっちゃったと思うんですよね。
なかなか、恋愛面でも面白くなってきた。ノートもあれ、完全にエリンに傾いちゃってますし。