【友人キャラは大変ですか? 9】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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人外でも友人キャラになれますか?

おかんとウチの居候たちがニアミスし、我が家に最大級の悲報がもたらされた。
すなわち、ウチのおかん、小林さつきは“奈落の八傑”の一人であり。
その息子である俺、小林一郎も人外の血を引いていたのだ。
しかも芋づる式に、親父まで人ならざる『鬼』の血族であることが発覚し……!?
「というワケで一郎、あんたは鬼なの」「うぐっ!」
「しかも母親は使徒なの」「むぐっ!」
「ぶっちゃけ人間じゃないの」「おふぅっ!」
もう勘弁してぇ! 鬼はあんたや!(泣)

友人キャラが一気に遠のく、最強助演ラブコメ第9弾!


あかん、この世界ってば徹底的に一郎が友人キャラたるを絶対許さないマンだ。友人キャラという存在が持っていてはいけない属性や設定をてんこ盛りこれでもかと押し込んで来やがりますよ。
そう本来モブで物語の端っこでちょっとだけ主人公に情報を提供したり、日常パートで賑やかしをするだけの友人キャラは、普通の何の裏設定もない一般人でなくてはならず、勿論彼らはただの人間であってややこしい背景なんかあるはずがないのだ。
実は人間じゃなくて人外だったり、それどころか敵勢力の幹部の一人が母親だったり、なんていうのは論外で、それどころか父親まで人間じゃなく鬼という種族だったりして。
一ミリ足りとも人間の血入ってないじゃん! 完膚なきまでに人間要素ゼロカロリーじゃないかー!
オマケに出自に敵勢力の関係者という要素まで混じって、挙げ句にお母ちゃん紆余曲折あって人間融和派として魔神勢力から離脱したという曰く付きの家柄である。
思いっきり、主人公なバックグラウンドぉ!!
まあとっくに魔神四凶全員仲間に引っ張り込んで、一郎自身が融和派の首魁になってるんですけどね。
これまですでに実績でどうあらがっても友人キャラポジでは居られない活躍をしてしまってた一郎くんだけど、本人の成果だけでなく生来から友人キャラは許さん、という設定が放り込まれてきて、これもう全包囲殲滅戦の様相を呈してきた。欠片も友人キャラ要素を残さない、という根絶やしの気概すら感じる勢いである。
トドメに、ラスボスとして暗躍中のアギトくんまで実は一郎と深い関係があって、という龍牙じゃなくてラスボスと決着つけるべき因縁があるのは一郎くんの方ですよー、というお膳立てまで用意され。
また過去からは、かつて主人公キャラとして担ぎ上げた旧友からは、モブな友人キャラとしてはあるまじき憧憬を受け、人生の目標にされ、一郎みたいになりたいとまで望まれる始末。
さて、そろそろ一郎くんも年貢の納め時かしら。トドメもトドメ、ラストの展開はまさに一郎くんに主人公になれ、と告げるようなものでしたし。いやもう今までもずっと図らずも主人公キャラ同然に働いてきたわけですけれど、自覚的に主人公したことだけは決してなかったわけですからね。

しかし、今回はどんどんと畳み掛けるようにソロモンの悪魔たちが襲いかかって……は、あんまり直接襲ってくる事はなくて、むしろ遭遇戦、ばったり行き会ってというパターンが多かったような気もするけれど、極早のテンポで次々に対戦カードが繰り広げられたわけですけれど、凄いのはこれ十把一絡げには全然なってなかったところなんですよね。一戦一戦は決して長くはなく短くスパッと片付いているんですけれど、でも短いなりにやたら濃い内容で在庫整理みたいな片付け方じゃ全然ないんですよ。
これは以前、新聞に連載していた分を纏めた短編集ならぬ掌編集だった「オフコース」の経験が生きたんでしょうか。小刻みにキレッキレのネタをどんどんと投入してくるものだから、もうひっきりなしに笑いっぱなしで、楽しいのなんの。いや、今回はいつもにも増してテンポもキレキレで、メチャクチャ面白かったですよ。テッちゃんことトウテツを身代わりに母サツキに生贄に差し出したシーンはほんと、爆笑してしまった。あれはホントひでえよ。
おかんと蝿の爺ちゃんの使徒二人が、内通者のバエルの所に援軍として行って、あっちサイドの敵として龍牙たちと戦う場面とか、ソロモン軍そっちのけで一体何と戦ってるんだw なシッチャカメッチャカな事になってて、あれも色んな意味で酷かった、笑った笑った。
今回一冊でまた結構な数のソロモンの悪魔たちを倒すことになったのだけれど、一人一人やたらキャラ濃くて、いや一発ネタなやつらも多かったのだけど、考えてみると魔神の使徒たちもみんな一発キャラなくせに引き続き準レギュラー格として毎回チラホラと顔見せしてるんですよね。お見合い編での雑な再登場はやっぱり酷かったw

またラブコメとしても今回結構踏み込んでいて、怜先輩のおぱーいガチ揉みも、これまで慕ってくるヒロイン衆に対して友人キャラとしては深入りしてはならぬー、という心情からあまり踏み込まなかった一郎くんからしたら、完全に一線超えちゃってるムーブだったんじゃないでしょうか。
そして名実ともに魅怨が正妻ポジに。おかんのサツキ公認になったというのもあるんですけど、一郎くん全然嫌がってないし、それどころか膝枕して耳掃除しながらの会話なんぞ完全に結婚するの前提のお話で、もう一郎くん当人が受け入れちゃってるんですよねえ。
ちょっと貫禄が他の娘さんたちとは違いますわ。別格ですわ。二人の雰囲気、もうこれ以降完全に夫婦になってる感ありましたからねえ。

今回はコントンのオッサンとテッちゃんが大いに株あげていて、おっちゃんってロリコンという点を除くと常識人だしホント色々と頼りになるんだよなあ。一発ネタキャラが沢山居すぎるものだから、余計にコントンの安定感が頼もしい。テッちゃんも普段ふらふらと遊び歩いているけれど、デュエル王編で見せたあの子供たちへの配慮は行き届いていて、子供らのカリスマになってるのも納得のかっこよさなんだよなあ。子供らに呼び捨てにされてるんだけどw

長年の懸念材料だったシズマの母であるレイダの救出もようやく手が付き、あらかたの問題に目処がついたところでラストの急展開。いよいよ、この毎回お祭り騒ぎなシリーズもクライマックスかー。
どのように一郎くんの友人キャラとしてのこだわり、生き方に決着をつけるのか、色んな意味で楽しみな次回である。

今回、ブックウォーカーでは書き下ろしのショートストーリーが購入特典でついてたんだけど……、いやこれ他の作品の購入特典のショートストーリーと違って分量が、分量が凄くない?
短編通り越して中編くらいあるよ!?
前巻の特典小説も結構分量あった気がするけど、今回さらに多くない?
内容は、一郎くんが魔界に居残りになっている最中に怒涛の勢いで消化されていた、ヒロイン衆と三姫たちが仲良くなってたイベント、その中でも魅怨と龍牙がやたら親友みたいな距離感になってたその内訳となるエピソードだったのですが……。
魅怨がチョロすぎるw いや、この場合龍牙が懐っこすぎるのが悪い気もするのですけど。同世代で女の子として何も隠さず付き合える相手って龍牙、居なかったんですよね。そのどストライクをついてしまったようで、やたらキャピキャピしてる龍牙さんw
わりと龍牙のテンションが一郎と二人きりのときと変わらないくらいで、君って魅怨の事めっちゃ好きですよね!?
さらっと、三姫がトリオを組んだ過去の回想なんかも挟まれつつ、いつの間にかミオとあだ名で呼ばれるまでの仲になるまでの濃い内容の中編でした。魅怨てば、一郎相手じゃなくても龍牙相手でも正妻ポジになってませんかこれ!?

シリーズ感想