【魔女の旅々 2】 白石 定規/あずーる GAノベル

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

あるところに魔女がいました。彼女の名はイレイナ。旅人として、長い長い旅を続けています。最強の武具を求める村人たち、結婚式から逃げだした王女、奇抜な格好の男、悩める衣装デザイナー、雪国の可哀想な少女、父親の遺産を探す賭博師、嘘をつけない国の王様、危険な爆弾を作った技術者、流浪の狩人たち、人間を魅了するネコ神さま…。様々な国を訪れ、多くの人々との別れを重ねて行きます。そして思わぬ人との再会も。「…次はどんな国でしょうね」魔女の旅はまだまだ続きます。新たな別れと出会うために。

魔女イレイナってどういう人なんでしょうね。この巻を読んでいるとどうにもその人となりの特徴らしきものが見えてこなくて、はてこのヒトってよくわかんないよね、と首を捻るに至ってしまいました。
キノの旅、みたいなお話です。旅人として、イレイナさんが様々な国を巡り、おかしな街や人々と出会っていくお話。だけれど、旅人であり異邦人という意識というか存在感が強くて、だからこそ訪れた場所や出会った人々の特異性を浮き彫りにするように、ひととき訪れた外部の存在として異物として外からの視点を持ち込んでいたキノのような旅人と違い、イレイナさんはなんか違うんですよね。
決して、訪れた場所の特異性に馴染むわけではないのですが、わりと似たノリで応じているのであまり異物感がない。その癖、おおむね他人事のように突き放しているので出会った人々に親しんでいるわけでもない。なんの縁もゆかりもないただの旅人としては当然の姿勢なのかもしれませんが。
イレイナさん特有の正否や善悪の基準や意志というものもあんまりないようで、その場その場のノリと感情で判断しているようにも見えますし、その意味ではいい加減な人だなあ、なんて事も感じるわけで。いやあ、色んな意味で緩い人に見えるなあ。
そんな中で唯一、と言ってしまうと語弊があるかもしれませんけれど、一番真面目に受けた依頼を果たし、相手に真摯に向き合っていたのは孤児エレーナの話の時だったように思います。このときもなかなか辛辣な物言いではあったんですけどね、エレーナの境遇に対して、この娘に対してとても真摯であり親身でありました。そういうふるまいも出来るんですね、イレイナさん。それがむしろ余計にこの魔女さんの在りようをわからなくしているようにも思えます。
人とは複雑で一様ならざるものなのです、と言ってしまうのもいいかもしれませんが、イレイナさんの場合そこまで複雑で奥行きのある人格、とやらにも見えぬしなあ。
各話もおおむね、さっぱりというか淡々というか、サクッと転がってサクッと終わるスナック感覚、というとまた違うかも知れないけど、まあ後味もあんまりないお話でありました。