【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)18】 海空りく/をん  GA文庫

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「貴方には誰も殺させないッ! ! 」

《大炎》天童は討伐されたものの、いまだ首都東京は米軍の侵攻に対する防衛戦の只中にあった。

日本側の主戦力《世界時計》新宮寺黒乃をもってしても対処しきれない米軍の圧倒的物量。だが土壇場での黒乃の決意と選択は過酷な運命を打ち破る契機となり、増援として駆け付けた一輝やステラ、刀華ら最精鋭の学生騎士たちは、状況を覆すべく戦場で刃を振るう。

一方、かつて月影らが《解放軍》本拠地で遭遇した《超人》エイブラハムは《大教授》アイランズと共に不気味な策動を始めていて――!?

世界の命運を決める最後の戦い、その始まりを告げる第18弾!


黒乃理事長、これはKOKリーグ初のママさんプロの誕生、という事になるんだろうか。他にいないよね?
魔人に覚醒することで、家族との平穏な生活が失われる危険性に二の足を踏みリーグから現役引退した黒乃さん。その後、破軍学園の理事長に就任して一輝を引き立てる事になるのだけれど、まあ魔人化の実情を思えば、躊躇するのもわかるし。子供が生まれたのに命がけを通り越して自分の生き死にまでベットするような戦いに身を投じる事を忌避するのもよくわかるんですよね。
しかし、戦争が起こってしまえば家族を守るためにも最前線に立たなきゃならない。ここで魔人化は必然だったのでしょう。でも、強いられて仕方なくではなく、夫や娘と真摯に話し合って家族を守るため、家族にカッコいい姿を見せるために。と家族は足かせなんかじゃなくより自分に力を与えてくれる存在であると証明するために、もう一度KOKのプロリーグに復帰することを決意する下りは素敵なものでした。黒乃理事長にとって、一度の引退は回り道じゃなくてより強くなって戻ってくるための路であったのでしょう。
というか、魔人化した黒乃さんってデタラメすぎるんですけどw 寧々先生もたいがい無茶苦茶だけれど、黒乃さんの方もうこれわけわかんなくないですか!?
ただ超人エイブラハムはちょっと残念だったなあ。超人(ザ・ヒーロー)の二つ名の通りに彼はアメリカンヒーローの具現化みたいなものだと思っていたので、そのまさに人を超えた存在として存分に立ちふさがる大きな壁になって欲しかった。偉大にして強大な敵であって欲しかった。
小物化みたいな事になってしまうのも困るんだけれど、エイブラハムの正体があんな形になってしまうと確かに敵としてはさらに脅威であり、たちの悪さについては他の追随を許さないんだろうけれど、個の格としては存在感限りなく薄くなってしまったんですよね。言わば十把一絡になってしまったとでも言うのか。
これだと、かつて彼にメタメタにやられてしまって長年復仇のために鍛え続けた末に、今回リベンジを果たした黒鉄王馬が、折角の見せ場だったのに結果として王馬くん関係ないところでなんか残念なことになってしまったのでした。まあ、王馬自身、エイブラハムの事は見切ってしまって正々堂々と戦うべき敬すべき敵にあらず、ともう見下しての勝利でしたしねえ。

まあこうなってしまうと米国そのものが戦力的にも頭の中身的にも底の浅い敵になってしまって、日本最大の危機なんて状況になっていたわりに、歯ごたえのない事になってしまったなあ、と。
物量の恐ろしさというのは、本来こんなものじゃないはずなんですけどね。
これだと、前回の大炎の方がよほど畏怖すべき脅威だった気がします。だからこそ、刀華会長の勝利が輝くのですけれど。
しかし、これが丸々前座だった、と思えば見た目派手なドンパチは花火としては十分だったのではないでしょうか。本当の黒幕、というにはすでに今回出まくってましたけれど、米国に縛られない彼個人の野望のもとに、ステラがついに古典的正統派さらわれヒロインになってしまったので、ラストは王道の王子様救出劇になるのでしょうか。なんか、状況的に寝取られそうという危険が備わっているあたりが、別の意味で切迫感を押し付けてきますけどw
まあ、このヒロインさま、ショタ化した恋人を風呂場に連れ込んで存分にショタを堪能してしまうド助平なヒロインさまなので、ちゃんと正統派さらわれヒロイン全うできるのか怪しいのですが。